公益財団法人ベネッセこども基金

活動実績

【質疑応答】「院内学級プロジェクト成果報告会」@分身ロボットカフェ

病気・障がいを抱える子どもの学び支援

ベネッセこども基金では、分身ロボットOriHime(オリヒメ)の開発元であるオリィ研究所とともに、東京都の特別支援学校の先生をお招きして「院内学級プロジェクト成果報告会」を開催しました。

成果報告会の時間内に回答できなかった17のご質問について、登壇者に回答いただきましたので、こちらに掲載いたします。



報告会の様子は下記ページよりご覧いただけます。

ベネッセこども基金MeetUp2021_#1「院内学級プロジェクト成果報告会」@分身ロボットカフェ


①OriHimeの管理について

質問1
OriHimeを学校に置いてもらうとき、子どもたちは優しく扱ってくれるでしょうか。

回答:OriHimeはお友達の「分身」であることを丁寧に伝えることで、子どもたちに優しく扱ってもらうようにしています。子どもたちがOriHimeに慣れるまでは、前籍校の校長先生、担任の先生など、地域の団体など、大人の支援をいただくのが良いと思います。



質問2
教室でOriHimeを使用する場合、先生がOriHimeを連れて教室にはいられるのですか?

回答:授業内容にもよりますが、初回の授業では院内学級の先生が設定や操作を主導することが多いです。OriHimeがどのような目的で教室に来たのか説明することで、クラスメイトの理解が深まります。

一方で、担任の先生に管理をお願いする場合もあります。導入時は院内学級の先生が付き添うことも可能ですが、常時OriHimeに付き添うことは困難な場合もあるためです。管理上の課題は十分な話合いが必要でありますが前籍校の校長先生、担任の先生による管理、また場合によっては保護者に管理を常時お願いするケースもありました。



質問3
前籍校でOriHimeを使ってもらうためには,その管理はどうしているのでしょうか。

回答:今回の実証実験では、院内学級の先生が都度、特別支援学校からお持ちするという形を取りました。

Q2にも関係しますが、OriHimeや周辺機器の管理については、前籍校にできる限り負担のかからないように話し合いが大切です。この点については保護者の協力も必要になります。管理上の問題をクリアにできないと、前籍校とのOriHime活用は頓挫してしまう恐れがあります。



②通信環境について

質問4
病室にwifiがないことがあるかどうか。(調査では病室でwifiが使えるのは全体の2割とか)

回答:実証実験では通信環境が整わない病院や、前籍校が多くありましたので、ポケットモバイルWiFiルーターをベネッセこども基金より借用していました。今後はGIGAスクール構想により通信環境が整備されます。そうなると特別支援学校と前籍校とのやり取りだけでなく、区市町村の教育委員会の協力も不可欠になります。

Q6にも関係しますが、OriHimeの活用した前籍校との交流は、クラス全体の児童生徒、保護者にも周知しますので、学校は区市町村の教育委員会にも報告が必要になります。安心して学べる通信環境を整えるためにも、児童生徒の病状、家庭の環境、前籍校の協力等などを整理して、課題を迅速に解決するようにしています。



質問5
OriHimeの費用以外に必要なもの、環境整備はありますか?

回答:モバイルWifiルーターの他、OriHimeを操作するためのPC/タブレットが必要です。



③費用面について

質問6
経済的コストと必要な人の配置についてもお聞きしたいです。

回答:費用は通信環境により価格がかわりますので、リース料はオリィ研究所にご確認ください。ご参考までに実証実験では月4~5万円でした。人の配置は、本児童生徒の操作のアシスト、前籍校のアシストを最初は配置していましたが、こちらも状況に合わせて柔軟に対応しました。



質問7
OriHimeを個人発信で学校現場で導入したい場合、個人の費用負担を減らす手立てはありますか?

回答:導入理由によりますが、地域の補助金、助成金、寄付など外部財源を活用する方法も考えられます。

学校サイドの例としては、病弱特別支援学校や肢体不自由特別支援学校で、校内で共用できるように学校予算で導入している学校もあります。そうした方向で進める場合は、導入の意義と予想される効果とともに、授業計画・予算・管理分掌などの具体案を添えて、担当する分掌等から次年度の予算要望スケジュールに則り、進めていくことが基本です。うまく進めるのは、その理解が広がり、賛同者が多数となるよう、これまでの導入事例等を収集して校内に浸透させていくことがポイントです。

保護者サイドの例としては、PTA等が経費を計上して試行導入し、希望する会員が活用できるようにして、その活用実践を基に効果や継続導入の機会とすることも可能です。



④中高生について

質問8
校外学習など持ち運べる点や、簡単に設置・開始ができるのはメリットだと思います。一方で、中学生や高校生など黒板の文字をしっかり見て学習や勉強をしたい場合には、Chromebookや他ツールの活用になると思います。すべてのターゲットに合わせるのは難しいと思いますが、OriHimeはどんなターゲットに適していると思いますか?

回答:対話やグループワークなど双方向のコミュニケーションに向いていると思われます。児童・生徒の個性をみながら、どのような手段がよいのか選択できるとよいと思います。可能であれば必要に応じて併用できるとよいと思います。

質問9
現在、義務教育ではない入院中の高校生への学習保障、学習支援も求められていると思うのですが、今後OriHimeを使って解決できることはありますでしょうか。"実際にOriHimeを使っています。

回答:重複障害のある肢体不自由児の個人宅で導入されて活用を試行されている例を伺ったことがあります。不在時は、働く親に代わって分身ロボットを生徒の居室において会話しているとの話もうかがったことがあります。積み重ねる中で親の分身であると認識が育ったとのことでした。



質問10
肢体不自由支援学校にOrihimeの必要性を感じています。導入に向けてどのように取り組んでいけば良いでしょうか?

回答:東京都でも肢体不自由支援に2020年に導入されました。現在は就労支援のために使われております。東京都の前例を示しつつ、イベントでもあったように事例を積み上げていくことが有効かと思います。

病弱特別支援学校や肢体不自由特別支援学校で、校内で共用できるように学校予算で導入している学校もあります。そうした方向で進める場合は、導入の意義と予想される効果とともに、授業計画・予算・管理分掌などの具体案を添えて、担当する分掌等から次年度の予算要望スケジュールに則り、進めていくことが基本です。うまく進めるのは、その理解が広がり、賛同者が多数となるよう、これまでの導入事例等を収集して校内に浸透させていくことがポイントです。



質問11
県内の学校にも使っていただけるよう働きかけをしていますが、小学生には向いているが、中学生以上になるとGIGAスクールが進んだし、Zoomで十分ではと良く言われます。私自身は存在感が違っていて、Zoomなどと違ってまわりにたくさんの人が集まってくるというのを知っているのですが、なかなか理解してもらえません。中学生以上を対象としている先生などにこの良さを伝えるとしたらどう伝えると響くでしょうか?

回答:おっしゃるとおり「存在感」が他のツールとしての差別化ポイントかと思います。「分身」であること、「ただそこにいるだけでいい」ことを事例とともにお伝えするのが有効だと感じています。今回のイベント動画を共有いただくなど、ご検討いただいたらいかがでしょうか。



⑤OriHime(プロダクト)に関する質問

質問12
声が出せない状態の場合も会話ができるのでしょうか?

回答:OriHime単体でも豊富なジェスチャーを通してある程度のコミュニケーションが可能です。意思伝達装置OriHime eye+Switchを併用すれば視線入力やスイッチ操作で合成音声にて発話する事が可能となります。



質問13
OriHimeは個人販売はされていないんですか?

回答:分身ロボットOriHimeは法人向け・個人向けのOriHimeレンタルプランをご用意しております。個人向けOriHimeについては下記ご参照頂けたらと思います。
https://orihime-lite.orylab.com/



質問14
OriHimeはWi-Fi接続のみですか?4G/5Gの通信機能も搭載すれば移動教室でも通信の不安が減るのではないかなと思います。

回答:有線LAN、5Gにも対応したOriHimeもございます。オリィ研究所までお気軽にお問い合わせ頂けたらと思います。



質問15
OriHimeのログインは1対1なのでしょうか?公共施設(美術館、博物館、劇場など)などでOriHimeを導入して遠方からいろいろな方にログインしていただけると、今回のような入院している子供たちや障害のある方など、普段来れないような方に来ていただいたり社会見学に活用していただいたりできるのではないかと思いました。

回答:1台のOriHimeに対してユーザー1名接続が基本仕様となっております(別時間に別ユーザーが遠隔操作する事は可能)
例)1台のOriHimeで〇時~〇時はAさん、△時~△時はBさんに入って頂く事も可能です。様々な場所にOriHimeがあり、どこにいても全国各地にあるOriHimeを操作できて社会参加できる世の中を目指しております。



質問16
特別支援学校中学部に勤務しています。生徒がOriHimeカフェに職業体験として参加することは可能でしょうか?いわゆる中学生が職場体験をするような感じです。

回答:現在その様なサービスはまだないのですが、随時社内で検討は進めて参りたいと思います。具体的な情報発信できるようになりましたらホームページSNS等でご案内させて頂きます。



質問17
学校の生徒さんが来られると聞いて思ったのですが、テレバリスタでコーヒー以外の例えばカルピスなどの飲み物がいつかできるようになりますか?

回答:とても楽しいご質問有り難うございます。まだ実証実験ではございますが、珈琲も淹れられて、卵焼きも作れるようになってまいりました。OriHimeでスポーツをする実験も行っております。今後のオリィ研究所からの情報発信を楽しみにして頂けたらと思います。

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お忙しい中、ご回答を賜りました先生方、オリィ研究所の皆様には御礼申し上げます。 イベントに参加いただいた方のご参考になり、子ども支援の充実につながりましたら幸いです。

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