公益財団法人ベネッセこども基金

活動実績

【交流会開催報告】2021年度重い病気を抱える子どもの学び支援活動助成団体

病気・障がいを抱える子どもの学び支援

全助成団体参加型の交流会を毎年実施しています

ベネッセこども基金では、助成による支援に留まらず、助成団体間の交流や相互の知見やノウハウ共有等のサポートにも取り組んでいます。
その活動の一つに、全助成団体参加型の交流会を毎年実施しています。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点より、今年もオンラインによる開催となりました。

参加者には当事者や当事者家族の方が多いので、団体報告で語っていただいた、活動を始めたきっかけや活動にかける思いへの共感で、オンライン、初対面というハンデも乗り越え、参加者の皆様の距離が一気に縮まったように感じました。その後のディスカッションも大変活発に意見交換がされました。

交流会概要

開催日時
2021年9月16日(木)13:00~17:00 @ZOOM
参加団体/人数
2021年度重い病気を抱える子どもの学び支援活動助成 全7団体 13名/選考委員1名/事務局4名
プログラム概要
1. 冒頭挨拶
2. 第1部 各団体による自己紹介および事業内容発表
3. 第2部 テーマ別ディスカッション
4. 諸連絡、締めの挨拶 ※終了後、懇親会(任意参加)




全団体の共通課題3テーマについてディスカッション

他団体の事業の方法や工夫点、ノウハウを聞くことで、自団体の課題解決のヒントを持ち帰っていただけるように、7団体に共通する課題をテーマに設定しました。

テーマ① オンラインでの子どもサポ―ト
テーマ② 子どもの支援記録や成長記録
テーマ③ 保護者との関係性構築


各テーマでディスカッションした内容をご紹介します。



テーマ①オンラインでの子どもサポート
『オンラインボードゲーム大会を開催予定!』
テーマ②子どもの支援記録や成長記録
『あったかい記録って何だろう?』
テーマ③保護者との関係性構築
『保護者と団体のつながりを大切に』

テーマ①オンラインでの子どもサポート
『オンラインボードゲーム大会を開催予定!』

①オンラインでの子どもサポートグループでは、年齢別によく使うコンテンツやツールの情報交換で盛り上がりました。

幼少期は複数名でボードゲームを楽しみながら対話を楽しむケースが多く、中学生や思春期になるにつれてゲームよりも個別トークやお悩み相談が多くなるとのことでした。
思春期の子の中にはLINEなどのコミュニケーションツールも併用することも多いとのこと。スタンプが使えるのがお互いとても便利なのだそうです。

オンラインで楽しめるボードゲームについては、低学年など最初は「すごろく」が導入しやすいそうです。
配信者はWebカメラでボードの上から撮影し、参加者それぞれのコマを動かしていきます。その時、サイコロを振るのも配信者だと子どもからクレームがつくそうで(笑)、「サイコロ自動振り機」を使うのがよいとのことでした。

その他には、低学年には「なんじゃもんじゃ」「ガムトーク」「カタカナーシ」、高学年には「宝石の煌めき」「月面探検」「コードネーム」「人狼ゲーム」などの頭脳系、協力系のように達成感が得られるものが人気だそうです。

ツールとしてはiPad2台でZoomやMeetに入り、手元とボードの上から撮影。あとはスピーカーフォンがあれば十分とのこと。

やり方がイメージつかない参加者もいたので、選考委員から「みんなで一度オンラインボードゲームやってみましょうよ!」という提案をいただきましたので、ぜひICTを活用したゲーム大会を近日開催したいと思います。

テーマ②子どもの支援記録や成長記録
『あったかい記録って何だろう?』

子どもの成長や体験を「あったかい記録」として残す方法を模索している、という相談が挙がりました。
「あったかい記録」について、ご自身の体験やエピソードが沢山でてきました。

たとえば、『写真』です。「この時はじめて〇〇ができたんだよね」「この時□□って話をして大爆笑したよね」と写真一枚で、楽しかったことが次々に思い出されて、とてもあたたかい気持ちになります。

保育士さんと保護者で交わす分厚くなった『保育園の連絡帳』は大切な子育て記録です、という実体験のお話も。たくさんのあったかいエピソードでほっこりした時間になりました。

テーマ③保護者との関係性構築
『保護者と団体のつながりを大切に』

孤独になりがちな長期にわたる闘病生活において、保護者同士の交流や支援団体とつながりは、大変重要で有効です。
ただ、病院の方針や、病気というセンシティブさがあり、なかなか距離を縮められなかったり、誤解が生まれたりすることも。

支援団体同士、そのような状況の悩みの共有や、親御さんの様子を見ながら、多少の軋轢があってもつながることの大切さや、 つなげることから解決できることがたくさんあるということを、確認しあう場となりました。




事務局より~交流会を振り返って~

最後に選考委員の米田さんから、例年より踏み込んで話し合いができたのではという感想に加え、

・ピアサポートの力はもちろん大きいが、当事者以外の持つ力も非常に重要であると思う。支援者として団体に関わられた第三者の立場の方々の持つ多様性の力を生かして、自分たちの近くの方々と交流する中で支援者としての力を高め、ぜひ関係人口、連携人口を増やしてほしい。周辺から始めていくことで社会全体を変える力になると思う。

・医療的ケア児は増えているとは言われているが、まだまだ少数派で、かつ病気の種類や年齢によって子どもたちの状況も大きく異なっているため、支援の仕方も様々であるし、そのとき支援する子どもも限られると思う。しかし、少人数であることを後ろめたく思わずに、丁寧に子どもを支援した中で得た知見を、ぜひ他の団体に共有していくことを成果としてほしい。

と2つの視点でアドバイスをいただき、交流会は終了いたしました。

おまけとして引き続き行われた懇親会にも、多くの方が残られ、コロナ禍での厳しい活動の辛さや、病気で子どもを失った保護者との関わり方など、それぞれの思いや考えを正直に話し合うこともできました。

皆様の活動の素晴らしさと、志を同じくする者同士の交流の大切を深く感じた大変濃い時間となりました。改めてご参加いただいた皆様、ありがとうございました。



参加者の声:アンケートに回答者全員から、『参加して満足』とご回答いただきました。一部ですが、いただいた感想をご紹介します。

交流会ありがとうございました。コロナ禍の中、こうやって交流の場をつくってくださったことに感謝いたします。オンラインでの開催で、進行もとてもスムーズだったので、さすがだなと感じていました。直接会って話をしたいこともたくさんありましたが、オンラインでも皆さんの様子が知れてよかったです。ありがとうございました。
何よりも、選考委員の方やベネッセこども基金の皆様が明るく親身になってお話しくださり有り難かったです。
プログラムについて:多彩な取り組みを学ぶことが出来てとても良い経験になりました。コロナ禍でも前向きな姿勢で活動されている団体さんのお話を伺い、私達も今出来る事を更に模索していかなければと感じました。

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