公益財団法人ベネッセこども基金

活動実績

【交流会を開催しました】2025年度活動 経済的困難を抱えるこどもの学び支援活動助成

経済的困難を抱えるこどもの学び支援

経済・病気の全助成団体が参加し、対面での交流会を実施。
事業のこれからを考える上で重要な学び・交流の場に

助成事業の非資金的支援として毎年行っている、助成団体間の交流や知見・ノウハウ共有のための参加型交流会を、今年も実施しました。今回は久々に対面での開催となり、「経済的困難を抱えるこどもの学び支援活動」を行う助成団体に加え、前回対面での開催が叶わなかった「病気を抱えるこどもの学び支援活動」を行う助成団体も一部のプログラムに参加。総勢50名での深い学び、幅広い交流の場となりました。

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交流会概要

開催日時
2025年10月17日(土)・18日(日)
開催場所
MIDORI.so Nagatacho(東京都千代田区)
参加人数
助成事業活動団体 22団体、選考委員、事務局スタッフなど50名

参加団体一覧
経済助成団体:アイキャン/Kids Code Club/志塾フリースクールラシーナ/ソーシャルペタゴジーネット/地域子育てネットすくさぽ/Learning for All/e-Education /うみのこてらす/オリーブの家/くじら寺子屋/ソウレッジ/BORDER FREE/ABC ジャパン/茨城 YMCA/かごしまヤングケアラー支援ネットワーク/佐賀県外国にルーツを持つ生徒交流を支援する会/ミタイ・ミタクニャイ子ども基金/UME プロジェクト

病気助成団体 ※1日目のみ:エゴノキクラブ/シャイン・オン・キッズ/Child Play Lab/北海道こどもホスピスプロジェクト/ポプルワークス/にこり



プログラム概要 ※すべて対面にて実施
1日目

○こども家庭庁 長官官房参事官 鈴木太地さんによる講演会

○NPO法人e-Education三輪開人さんによるケーススタディ

〇株式会社ボーダレス・ジャパン代表取締役COO鈴木雅剛さんによる講演会・ワークショップ

○懇親会

2日目
○各団体の活動報告

○ディスカッション


【1日目第一部・こども家庭庁の政策を知り、NPOの活動とのつながりを考える】

1日目の前半では、こども家庭庁・長官官房参事官の鈴木太地さんがご講演。こども基本法やこどもに関する政策について大切にしていることや新たに注力している施策などのお話をいただきました。
こどもの貧困対策や、困難に直面するこども・若者支援などを国が進めていくには、現場で活動している団体などの参画が欠かせません。国の政策について解像度を高め、具体的な支援策や補助金といった情報にアンテナを張っておくことで、各団体も機会を逃さず活用することにつながるといえるでしょう。
こどもを取り巻く環境は年々厳しくなっており、一人一人のこどもが健やかに育つよう支援することが喫緊の課題であるという鈴木さんの実感のこもったお言葉に、会場も熱い空気感に包まれました。
また、実際に自治体などとうまく連携しながら活動を進めている団体側のケーススタディとして、NPO法人e-Educationの三輪開人さんがオンラインでご参加。国や自治体からの政策や支援策に対し、現場のNPOとしてしっかり活動で貢献するにはどうしたらよいか、大切にしていることや工夫していることなどをお話ししてくださいました。
行政も現場で活動する団体も、それぞれが立場は違っても同じ方向を向いていること、そして、こどもたちのウェルビーイング向上のために力を尽くしていきたいという思いを共有することができました。
参加者からも、「こども家庭庁の助成金の仕組みと、いままで資料を読んでもわからなかった他の省庁の助成金との違いや見通しなどを聞く事ができました」といった感想が聞かれています。

【1日目第二部・持続可能な事業の作り方を知り、自団体の強みを考える】

1日目の後半では、株式会社ボーダレス・ジャパン代表取締役COO鈴木雅剛さんより、社会課題を解決する事業をどのように成り立たせ、持続させていくかというテーマでお話をいただきました。
世界中でソーシャルビジネスに取り組み、営利と非営利の両方の事業で成果をあげている株式会社ボーダレス・ジャパン。公共性の高い課題にビジネスとして取り組む「社会起業家」という仕事は若者からも支持されており、注目の活動スタイルです。
鈴木さんが事業で大切にしているのは、「強みを生かせる組み合わせで、価値を作る」ということ。自分たちにとっては当たり前に思えることも、ほかの誰かにとっては「大きな強み」であり、「価値のあるもの」になると言います。
さらに、課題となっていることの原因を根本まで深堀り、それを解決できる事業案に落とし込んだ「ソーシャルビジネスモデル」を描くことが重要であると教えてくださいました。
お話を聞いた後は、実践編としてワークショップを実施。各団体が担う社会課題を解決するために、どんな商品やサービスが考えられるのか、おさえておくべき条件は何か、などを整理していきます。
難易度の高いワークでしたが、「いつもの活動」「いつものやり方」から発想を転換し、自分たちがもっている強みは何か、どうすれば価値を作れるかなどを見直す機会になったのではないでしょうか。

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▲ワークシートを使いながら課題や事業内容を整理していく

参加者からも、「NPOの活動をソーシャルビジネスという新しい視点から考えることができ、今後の活動に活かせるヒントを得ることができました」「資金的な持続可能性を乗り越えられない状況が多くある中で、少し違う視点から自分たちの事業をとらえる機会は重要だと感じました」といった感想が寄せられています。
1日目の夜は懇親会を開き、「経済的困難を抱えるこどもの学び支援活動」、そして「病気を抱えるこどもの学び支援活動」の助成団体の皆さんで、広く交流していただくことができました。




【2日目・各団体の活動報告と、ディスカッション】

2日目は「経済的困難を抱えるこどもの学び支援活動」助成団体の皆さんが集まり、それぞれの活動内容を報告。6団体ずつ3つのグループに分かれ、発表、そしてディスカッションを行いました。自団体で課題となっていることが、ほかの団体でも同様に課題となっていると気づいたり、それぞれの団体での解決方法を共有しあったりと、有意義な時間になりました。中には、「いっしょにこんなことができるかも」といったコラボレーションの種も生まれており、各団体の活動の深まりや広がりが感じられました。


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▲他団体の発表を聞き意見交換することで、横のつながりが生まれる

参加者の声からも有意義なディスカッションであったことが伺えます。「皆さんの活動の背景や願いに触れられたことが嬉しかったです。団体同士の知恵の出し合いはもう何時間かやっても尻すぼみすることなく学びにあふれるだろうなと思いました」と、話は尽きなかったご様子でした。
また交流会全体への感想として、「これだけ寄り添って、助成期間終了後のことも考えてくれる助成機関はこれまでありませんでした」といったうれしいお声もいただいており、事務局として今後も各団体の活動を支える伴走者としてともに進んでいけたらと決意を新たにしております。お忙しい中ご参加くださった団体の皆様、ご登壇いただいた鈴木太地さん、三輪開人さん、鈴木雅剛さん、本当にありがとうございました。

構成/竹内彩子

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