活動実績
「知らない」をなくす一冊 ― 病気療養するこどもの学びを支える「小慢自立支援員 まるわかりハンドブック」
「どこに相談していいかわからない」をなくしたい
「勉強を続けたい」「進学のことを考えたい」「友だちと学校生活を送りたい」――病気や長期療養がきっかけで、そうした希望に必要な情報や、支援につながれないまま、不安や諦めを抱えるこどもたちは少なくありません。
学校現場からもよく聞かれるのが、「誰にどう相談していいかわからない」「相談を受けた教員自身、情報が少なくどうしていいかわからない」という声です。保健所には、慢性疾病をきっかけにした不登校の相談、医療的ケア児の通園バス利用に関する悩み、療養児の親の職場復帰の進め方など、個別性の高い相談が日々寄せられます。しかし一つひとつのケースがそれぞれ大きく異なるため、対応のノウハウが自治体内に蓄積されにくいという構造的な課題があります。
そもそも、家族の相談先となるべき「自立支援員」という存在自体が、十分に知られていません。実際、全国の病気療養児支援者を対象にした調査において、 「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業(通称:小慢自立支援事業)」の認知度は約2割、自立支援員の認知度がわずか3%にとどまるという結果があります。一方で、「地域を越えた横断的な支援体制を望む」との回答が9割にのぼり、ニーズの高さがうかがえました。「支援したい」という思いはあっても、「何を、どこに、どうつなげばよいか」がわからない――それが多くの現場の実情です。
相談できる存在がいることをまず知ってほしい
こうした状況を変えるために生まれたのが、「小児慢性特定疾病児童等自立支援員 まるわかりハンドブック」です。病気療養するこどもとご家族に向けて、「自立支援員」という、相談できる存在がいることを知ってもらうために、認定NPO法人ポケットサポートと協働で制作しました。
冊子では、自立支援員がどのような人で、何をしてくれる存在なのかをQ&A形式でわかりやすく紹介。
病気のこどもとその家族の悩みや不安を、0歳の入園相談から20歳前後の医療移行の時期までライフステージに応じて具体的に取り上げ、「困りごとが変わっても、相談できる窓口がある」ことを伝えています。
また、家族・学校・医療機関・患者会など、自立支援員がどのように多方面の関係者をつなぐ存在なのかを図解したページや、全国各地の支援団体の活動事例、実際に自立支援員とつながる保護者から寄せられた「ありがとう」の声も収録。「いざというとき、相談できる存在がある」ことの重要性が、当事者の言葉を通して伝わる構成になっています。
さらに、小児慢性特定疾病に関する公的な情報サイトも一覧できるようになっており、支援を届けたい・受けたい双方にとっての"入り口"として使える内容になっています。
冊子の最終ページには「私たちの街にある相談窓口」という案内欄があります。通常版は認定NPO法人ポケットサポートの拠点である岡山県内の情報が掲載されていますが、この部分を差し替えることで、どの自治体でも自分たちの相談窓口を案内する独自版として活用できる設計になっています。
現在は福井県福井市、千葉県柏市、鳥取県鳥取市、富山県など他地域でも導入が進み、電子ブックを2自治体、冊子を計2000部配布しています。
「知らなかった」を理由に支援の機会を逃さないために
「支援の仕組みを一から作る」のではなく、「すでにある冊子の窓口情報を差し替えて配る」だけで、地域の保護者や学校現場に届けられる支援情報がぐっと増える。そんな小さな一歩が、大きな変化のきっかけになります。
小慢事業は、すべての自治体で一律に取り組みが進んでいるわけではなく、取り組みの有無や内容には地域差があります。しかし、こどもの病気やライフステージは自治体を選びません。一人の教員、一つの学校、一つの窓口だけで抱え込まず、「知らなかった」を理由に支援の機会を逃さないために――まずはこの一冊を手に取ってみませんか。
自治体・学校・支援団体の皆さまには、ぜひご自身の地域版として活用いただくことをおすすめします。
詳しくは認定NPO法人ポケットサポートかベネッセこども基金まで、お気軽にご相談ください。
「小児慢性特定疾病児童等自立支援員 まるわかりハンドブック」のお問い合わせはこちらから▼
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構成/中屋葉月