コラム
防犯 防犯対策に欠かせない、「想像力」
安全インストラクター武田信彦のコラム
「一般市民による防犯とは?」(第14回)
「誰を信じてよいのか、分からない...」、「見守り活動に不安を感じる...」―
最近、子どもに関わる者、地域の見守りに関わる者による犯罪が相次ぎ、各方面から不安の声が届いています。当然のことですが、犯罪は、許されません。また、地域のみなさまが丁寧に育んだ安全・安心の想いを傷つけ、信頼を損なう重大な問題でもあります。とはいえ、防犯活動や見守り活動そのものが否定されることではありません。健全に行われる見守り活動は、地域安全のまさに底力です。自信をもって継続いただければと思います。
ところで、防犯対策には、柔軟な想像力が欠かせないと考えています。たとえば、子どもたちへの安全指導の際に「聖域」のようなものを設けてしまうことがあります。「男の人に声をかけられたら...」「知らない人についていかない...」「怖そうな人がいたら...」など。表現の中で、逆に「安全な人」を決めつけるようなことが生じます。しかし、残念ながら、犯罪原因を抱えた人と、どこで遭遇するかは、分からないのです。すなわち、性別、職種、外見などで「安全な人」と決めることはできません。身を守るためには、いかなる人であれ、その言動をみて、判断することが重要です。相手がどのような人であっても、誘われる、触られるなど、心理的かつ身体的にコントロールされないこと。「予想外だった...」ことが起きないよう、想像力豊かな防犯対策がもとめられます。
安全インストラクター
武田 信彦さん
犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。
子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。