コラム
防犯 自分を守るコツ、人との「距離感」
安全インストラクター武田信彦のコラム
「一般市民による防犯とは?」(第18回)
中高生時代は、空手を稽古していました。大学1年生で黒帯を得たときはうれしかったものです。また、青春のほとんどを繁華街でのパトロール活動に費やしました。武道と、パトロールでの事案対応、共通していることは「距離感の大切さ」です。とくに、パトロールの現場では、接近してくる人、対応する相手との距離を保つ難しさとコツを学びました。距離をとり過ぎれば、コミュニケーションを拒絶することになります。また、距離が近すぎると、すぐに手が届くため、万が一攻撃されると重大な被害を受ける危険性があります。
子どもたちの安全セミナー等では、「予防力」に続いて、「距離感」を伝えています。あいさつや会話ができても、「触られない、つかまれない」こと。しかし、「〇メートル離れなさい」とマニュアル的に教えられるものではありません。地域の人たちとのあいさつなど、健全なコミュニケーションを否定することにもなるからです。私のプログラムでは、新聞棒を用いて1メートルほどの長さを確認します。「これ以上近づいてきたら、触られる...」ギリギリの長さを知り、接近してくる人、そばにいる人に意識を向ける練習をします。街の中では、1メートルですら保ち続けるのは難しいですね...。ところで、子どもの連れ去り等の被害を防ぐためには、「心の距離感」も必要になります。キーワードは、「断る力」です。
うさぎママのパトロール教室主宰
安全インストラクター
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。
安全インストラクター
武田 信彦さん
犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。 子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。