コラム
防犯 子どもたちを守る!防犯力向上のために
安全インストラクター武田信彦のコラム
「一般市民による防犯とは?」(第27回)
政府による「登下校防犯プラン」を受けて、関係機関では、子どもの安全のための取り組み強化や、通学路の再確認などが進められています。一方で、「より安全確保するためには、どうしたらいいのか?」などの声も聞かれます。いま、「子どもだけの状態になりやすい」、「犯罪がどこで発生するのか分からない」といった背景を受けて、子どもたちの安全確保はさらに難しさを増しています。今回は、現状の中で、子どもを守るための防犯力向上について、私の視点からポイントをまとめてみます。
1)既存の防犯力の活性
防犯ボランティア活動は、引き続き盛んに取り組まれています。しかし、高齢化やメンバー数減少などの課題も抱えています。活性化のためには、「やりがい」を感じられる環境づくりが欠かせません。いま一度、活動の目的や期待できる効果、可能性を確認しあうのはいかがでしょうか。また、子どもたちの防犯教育についても、時代や社会の変化に応じて、丁寧に見直す必要もあります。リニューアルは活性化にもつながります。
2)潜在的な防犯力の促進
日本の現状では、小学1年生から「子どもだけの行動」が一気に増えます。ですので、幼稚園や保育園での防犯教育は不可欠です。就学前に、防犯に関する基本的な知識をつけ、おうちのかたとお子様が一緒に町歩きをするなどの準備をすることをおすすめします。ただ、一人で実施するのは難しいこともあります。また、小学校PTAなどの保護者の集まりも大きな力です。義務感や負担感がなくライフスタイルに合わせた活動を提案することで促進が期待できます。
3)世代横断的な防犯力の連携
警察、学校、地域、家庭など、それぞれが取り組む「子どもの防犯」。しかし、当事者同士がつながる機会が少ない現状もあります。様々な事件などの影響で、「安全のために、あいさつやめよう」などの寂しい声も聞えます。助け合いの地域をつくるためには、「子どもの防犯」という共通のテーマで集い、一緒に考え、行動する機会を設けることが重要であると考えています。
私が行う講演や研修、安全セミナーでも、常に上記3点を意識しています。とくに、世代横断的な連携については、「全世代参加型の防犯講演」といった依頼も届きはじめており、自治体等でも積極的に取り組まれるのではないかと感じています。
安全インストラクター
武田 信彦さん
犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。
子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。