コラム
防犯 子どもたちは、大人の背中を見て育つ!
安全インストラクター武田信彦のコラム
「一般市民による防犯とは?」(第28回)
最近、教育界やスポーツ界において、指導の範囲を超えた暴言や暴力が社会問題となっています。また、携帯端末で録画された動画などがインターネット上で拡散され、いわゆる「炎上」(批判のコメントなどが殺到し、収拾がつかなくなること)をしてしまうケースもあり、個人の発言や行動が大きく取沙汰されることが多くなっています。
防犯ボランティアの研修会などで講師を務めていると、ときどき、「今の時代こそ、カミナリおやじが必要では?」などの意見が出てきます。地域の子どもたちに目を向けて、見守りや安全指導を行うことは、子どもの安全に欠かせないことです。しかし、「カミナリおやじ」のような乱暴な言葉遣いや態度では、大きなトラブルを招きかねません。
自治体の担当者や防犯ボランティアの方から、「防犯活動の延長で子どもに声をかけたら、不審者メールに流れてしまった...」という相談を受けることがあります。励ましのつもりで背中を軽く叩いた、「クイズに負けたら罰金ね」と言った、危険な行為に対して厳しく叱った...。どれも状況と内容を詳しく知れば、不審者メールに流れる内容ではないものの、子どもや保護者の感じ方や、コミュニケーションそのものに誤解が生じてしまったのでしょう。
いま、あいさつや声かけがしにくい時代となりつつあります。一方で、子どもだけで過ごす状況も多く、地域の見守りは欠かせないという現状もあります。「子どもたちに、どのように声をかければいいのか」は、大きなテーマです。私は、「子どもたちに目を向けて、元気なあいさつを!」と伝えています。なぜなら、子どもたちは、地域の大人の活動や想いをしっかり見ているからです。健全なあいさつや声かけを続けていくことは、子どもたちに「助け合い」の大切さを知ってもらうためにも、とても重要なことなのです。(コラム6参照)。
安全インストラクター
武田 信彦さん
犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。
子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。