コラム
防犯 子どもの防犯、欠かせない2つの「距離感」
安全インストラクター武田信彦のコラム
「一般市民による防犯とは?」(第33回)
夏休みは、子どもたちが大きく成長する季節でもあります。
ぜひ、安全に楽しく過ごしてほしいものです。そのためにも、自分を守るための防犯の力を確認しておきましょう。
このコラムでも、度々ポイントを紹介していますが、今回はあらためて「距離感」について。防犯で重要なことは、悪意ある人からコントロールされないことです。そのためには、自分を守るための距離感を知ることがもとめられます。距離感には2種類あります。
①身体の距離感
②心の距離感
身体の距離感とは、「触られない、つかまれない」こと。人の手が届く距離感から被害が重大化することが多いため、距離感を知ることは防犯の基礎的なことです。手が届かない距離感を知るためには、実際に大人の腕の長さを確認する練習が効果的です。
心の距離感とは、「断る」ことです。 「変だな...」と感じるお願い事、誘い文句などをキッパリ断ります。「お母さんが言っていたから...」「学校でダメって言われたから...」など言わずに、「できません!」だけが効果的。断るためのコミュニケーションの中で、心の隙(すき)が生まれることもあるからです。 ちなみに、心の距離感は、ネットの安全利用でも不可欠なものです。プライベートな情報や写真を送らない、ネットで出会った人と直接会わない...なども断る力です。
ところで、防犯に特効薬はありません。 「距離感さえ、とればよい」がすべての答えでもないのです。地域のみなさんや、見守りをするボランティアのみなさんとのあいさつなど、助け合いの環境作りのためには、「適度な距離感」も必要なのです。
そのあたりは、また次回へ。
安全インストラクター
武田 信彦さん
犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。
子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。