コラム
防犯 一斉休校における子どもの防犯対策
安全インストラクター武田信彦のコラム
「一般市民による防犯とは?」(第41回)
新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的として、全国的に臨時休校の措置がとられています。感染拡大防止における効果が期待される一方で、子どもの防犯においては平常時とは異なるため、さまざまな配慮が必要となります。
本来、子どもの防犯の基本は「子どもだけの状況にならない」ことですが、感染拡大防止対策の性質上、さらに各家庭の事情により「子どもだけでの行動」「子どもだけでの留守番」にならざるを得ないケースが想定されます。今回のような特殊な状況下においては、社会全体で見守り・助け合う意識と、各家庭での防犯対策がもとめられます。
一斉休校の防犯面での特徴
1)通常の防犯対策の範囲を超える
→登下校中の防犯対策だけでなくさまざまな状況を想定する必要がある
2)通常の長期休暇での体制ではない
→地域や社会も通常営業と自粛が入り乱れている
3)子どもだけの状態が発生する可能性がある
→家庭の事情によっては子どもだけでの留守番&外出が想定される
おもな対策
1)個々の状況に合わせた防犯対策(留守番時&外出時)
2)子どもを見守る雰囲気づくり(ながら見守りなど)
3)子どもが駆け込める場所の確保(自粛や休業などを考慮して再確認)
4)子どもからのSOSを受け止める体制(子どもからの緊急通報、駆け込みに対応する準備)など
子どもだけで留守番をする際の防犯対策
1)カギかけの習慣をしっかり教えましょう
玄関ドアはもちろん、窓のカギもしっかりかけるように伝えましょう。
とくに子どもだけで出入りする際は、玄関ドアの施錠を忘れる場合があります。
玄関に「カギをかける!」などのメモを貼っておくこともおすすめです。
2)インターホンや固定電話には応対しないように
予定外の訪問者には応対しないこと。
配達などは、保護者がいる時間帯に指定するようにしましょう。
固定電話は、留守番電話や転送サービスなどを利用し、子どもが応対しないよう準備しましょう。
3)子どもと保護者との連絡手段を用意しましょう
携帯電話であれば、不特定多数からの連絡を避けることができます。
また、子ども用の携帯電話を選び、家族など登録した相手以外と通話できないようにする、インターネット利用のフィルタリングをかけるなど、携帯電話そのものについても安全対策を施しましょう
4)逃げ込める場所を確認しておきましょう
留守番時でも外出時でも、万が一の場合に逃げ込める場所を確認しておきましょう。
休校期間中でも開いている公共施設や、子どもに馴染みがある場所がおすすめです。
近くに住む保護者同士で「逃げ込める場所」を協力し合うこともよいでしょう。
※子どもだけの留守番を推奨するものではありません。
※それぞれの発達段階や性格に合わせて無理のない対策を行いましょう。
子どもだけで外出をする際の防犯対策
1)玄関のカギをかけるのを忘れずに
子どもだけで外出しなければいけない場合は、家のカギや携帯電話を忘れないこと、そして玄関のカギをしっかりかけることを忘れないようにくり返し伝えましょう。
大切なことなので、見えるところにメモを貼っておくことをおすすめします。
2)「だるまさんがころんだ!」でまわりに意識を向けよう
外に出たら、自分で自分を守ることがもとめられます。自分の身を守る
基本は、まわりの人、車、自転車などへ意識を向けることです。「だるまさんがころんだ!」のリズムと動きで、前、横、後ろ...全方向へ意識を向ける習慣を身につけさせましょう。
ひとりで歩くとき、信号待ちのとき、集合住宅の敷地内、エレベーター前、そして自宅玄関でカギを開ける際などは「だるまさんがころんだ!」をしましょう。
3)防犯ブザーを持ち歩こう
防犯ブザーは、「伝える」「逃げる」を助けてくれる防犯道具です。
防犯のために持ち歩ける道具はほとんどないため、ぜひ防犯ブザーを身につける習慣をもちましょう。休校期間中はランドセルを使わないため、外出用のカバンなどにつけ替えて、必ず持ち歩くように確認しましょう。
4)近づいてくる人、ついて来る人からは離れよう
人の悪意は外見だけではわかりにくいものです。さらに、感染防止のためマスクをしている人も増えています。見た目だけで判断せず、その人の「行動」をしっかり見て判断・行動することが重要です。
とくに、近づいてくる人、ついて来る人がいて不安を感じたら、すぐに離れること。逃げてよいのです。「逃げる」判断は、自分でしてよいと伝えておきましょう。
5)あやしい声かけをされたら、すぐに逃げよう
登下校時の防犯対策で、声をかけられても「ついていかない」「車に乗らない」などを確認していると思います。
とくに感染拡大防止の期間中は「警察官だよ」「保健所の人です」など、身分を偽るような声かけも想定されます。絶対に「ついていかない」「車に乗らない」こと。
もし不安を感じたら、助けてくれる人がいる所へすぐに逃げましょう。
6)逃げ込める場所を確認しておきましょう
逃げるとは、助けてくれる人がいる所まで急いで行くことです。
子どもが行動する範囲の中で、逃げ込めそうな場所を確認しておきましょう。
感染防止の期間中でも開いている公共施設、地域のお店、さらに子どもに馴染みのある所(友だちの家、塾など)がおすすめです。
7)不安なことがあったら警察へ連絡・相談しましょう
もし、防犯面で不安なことや気がかりなことがあったら、警察へ連絡・相談しましょう。
①緊急時は「110番」
②相談したいときは、警察相談専用電話「#9110」
③所轄の警察署へも相談することができます。
所轄の警察署については窓口の連絡先などをぜひ確認しておきましょう。
※子どもだけの外出を推奨するものではありません。
※本来は「子どもだけにしない」ことが一番の安全対策です。
安全インストラクター
武田 信彦さん
犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。
子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。