コラム
防犯 「子どもの安全・安心ハンドブック」をご活用ください
安全インストラクター武田信彦のコラム
「一般市民による防犯とは?」(第44回)
全国で20万冊以上配布され、安全指導に役立てられています
6月に入り、学校では短時間授業や分散登校などを取り入れながら、授業が再開されました。夏休み前のこの時期は防犯への関心が高まるため、例年は多くの学校で安全教室が開催されています。しかし、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、私が担当する安全教室もほとんどがキャンセルとなりました。外部講師を招き、児童が一か所に集まるかたちでの安全教室は実施しにくい現状ですが、このような状況下でも子どもたちへの防犯指導をおろそかにしてはいけません。そこでおすすめしたいのが、私が執筆と監修を務めた「子どもの安全・安心ハンドブック」(無償配布) です。小学校の児童と保護者をはじめ、子どもの安全に関わるみなさまに活用いただくことを目的に、身を守るためのヒントや、地域での取り組み方についてわかりやすくまとめた冊子です。
全国の学校、自治体、PTA、ボランティア団体などを中心にご活用いただき、配布数はこれまでに20万冊を超えています。私が担当する講演や研修会でもテキストとして利用していますが、わかりやすいと好評です。子どもたちの安全力向上の一助となれば幸いです。
安全教室からワークショップまで実施可能
ここで、「子どもの安全・安心ハンドブック」の使い方をいくつか紹介したいと思います。
① 児童や保護者への配布物として :
時間がない中でもすぐにできる活用方法です。しっかり理解してもらうコツとしては、自分事としてとらえることができるように、配布する際に一言メッセージを添えること。数分でもよいので、内容やポイントでとくに大事だと感じたことを直接伝えてみてください。
② 児童むけの安全指導のテキストとして :
クラスでのちょっとした時間を使って指導ができる活用方法です。ハンドブックの内容は、私がふだん実施している安全教室の流れに合わせて構成されていますので、安全指導ができるテキストとしてそのまま利用できます。帰りの会やホームルームなどの短い時間でくり返し実施することもでき、児童の防犯意識を高めていくことができるでしょう。
③ シナリオやスライド資料とセットで、安全教室やワークショップを開催 :
外部講師を招かなくても、同等の安全教室が開催できる活用方法です。「子どもの安全・安心ハンドブック」のほかに、講師用のシナリオと、投影用のスライド資料がセットになった「『子どもの安全教室』実施プログラム」(無償配布)を使うと、シナリオに沿って進めていくだけで誰でも簡単に安全教室の講師になることができます。体育館や各クラスでスライドを用いた安全教室を開いたり、実際に声や体を使って防犯のシミュレーションをするワークショップを行ったりすることができます。シナリオやスライドの内容と、ハンドブックの内容はリンクしているので、安全教室の後の「ふり返り」や「家庭での確認」にハンドブックを活用することもできます。
ハンドブックやプログラムに共通するテーマは、「自分を守る力に気づく」ことです。児童の安全は、社会全体で守るべきものですが、どうしても「ひとりになる」状況は出てきてしまいます。その際に、学校や家庭で身につけたさまざまな「生きる力」を発揮して自分を守ることが求められます。生きる力は、特別なものではありません。そのほとんどは、児童が持っているコミュニケーション力やその延長にあるものなのです。
身近な大人たちがその力を引き出し、くり返し確認してあげることで、自分を守る力を知り、実践できる環境が広がっていくことを願っています。
※「子どもの安全・安心ハンドブック」や「『子どもの安全教室』実施プログラム」は、公益財団法人ベネッセこども基金にお申し込みいただいたかたに配送しています。
くわしくは下記のページをご覧ください。
■子どもの安全・安心ハンドブック
■「子どもの安全教室」実施プログラム
※この情報は2020年6月時点のものです。ハンドブックやプログラムの内容・配布については変わることがあります。
安全インストラクター
武田 信彦 さん
犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。