公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

ネット ネットの出会いにご用心! 必読:SNSで必ず守ってほしい5か条

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:ネット編VOL.6 担当:菅原 邦美

会う?会わない? 会ったことがないのに、気になる? ネットでの出会いに潜む危険 SNSで必ず守ってほしい5か条 過信は禁物!わが身を振り返って

会う?会わない?

先日テレビの街頭インタビューで、「インターネットで知り合った人と実際に会ったことがありますか?」という質問に対し、女子高校生がこんなことを言っていました。
「今の彼はツイッターで知り合った人。好きなアーティストが一緒でとても楽しい。」と。また、別の女子高校生は、 「SNSで知り合った人と会うことになったけど、不安だったから友達と一緒に行った。でも服とかダサくて、すぐ帰っちゃった!」とケラケラと笑いながら答えていました。 ほかにも、「会うのはなんとなく怖いけれどSNSで会話はする」「今までは会ったことがないけれど、今後会うことがあるかもしれない」などの声も。

「ネット」「出会い」というキーワードからは、あふれかえるほどの情報が出てきます。逆に、ネットで知り合った人と会うときの注意点を載せているサイトもありましたが、 「何かあったときに逃げやすい服装や靴で行く」「二人きりで密室で会わない」「会う場所の周辺の交番やコンビニなど逃げ込めそうなところを事前に確認しておく」など、 読んだだけでも何だか物騒です。え?そこまでして会いたいの!?と驚くやら、呆れるやら...。

会ったことがないのに、気になる?

ネットで知り合った人と実際に会うのは不安、怖い、という心の声は当たり前のことです。しかし同時に、「一目見たい」「会いたい」という好奇心や、まだ見ぬ相手への「恋心」にも似た気持ちがもうすでに生じてしまっているようです。なぜ、会ったこともないのに、そんな気持ちが生じてしまうのでしょうか?

SNS上で見知らぬ相手とつながりやすいツールはツイッターです。#○○(ハッシュタグ)でキーワードを入れることで、共通の話題・趣味など、見知らぬ相手とつながる入口がいくらでもできてしまいます。 一度つながってからは共通の話題をきっかけに盛り上がり、一体感が生まれてきます。知らない相手だからこそ気兼ねなく話せてしまう、ちょっとしたウソもつけてしまう、といった要素も加わり、リアルな人間関係よりもつながりが深くなっていくことも。いい面しか見せなかったり、本当かどうかを見抜くことが難しかったりもするため、想像の中で相手を理想化してしまうのかもしれません。

そうしたやりとりを重ねる中で、気を許して個人情報や写真を送ってしまい、事件やトラブルに巻き込まれるといったケースが後を絶ちません。

ネットでの出会いに潜む危険

どうして、ネットで知り合った人に心を許してしまったんだろう?どうして、そんなに簡単に会ってしまったんだろう...?ネットをきっかけとする犯罪に青少年が巻き込まれたという報道を目にするたびに、そうした思いが駆け巡ります。

ネット上のコミュニティサイトで悩みを打ち明けるなどしているうちにやりとりが続き、実際に会うことになったものの、強制わいせつの被害に遭ってしまったり、無念にも殺害されてしまったり...といった事件が近年起こっています。被害者が未成年の場合も少なくありません。十代の女の子が会う約束をした相手が中年の男性だったら、どう思うでしょうか?それでも、一度だけでなく何度も会ってしまうケースや、車に一人で乗ってしまい被害に遭うケースもあり、悔やんでも悔やみきれません。

SNSで必ず守ってほしい5か条

私たちは幼いころ、家族から「知らない人と話さない」「知らない人について行かない」と教えられてきました。そして、自分の子どもにもそう教えてきました。 しかし、今はネット上で何らかの接点があればそれはもう「知らない人」ではないのです。文字だけであっても、やりとりを積み重ねていくうちにつながりが強くなり、相手を知っているかのように錯覚してしまうのでしょう。実は本当のことは何も知らないということに気づかず、会うことへの不安や危険性への心理的ハードルを下げてしまうことの恐ろしさを感じます。

中・高生や保護者対象にネット上の出会いの危険性をお話しするときには、次の5か条をお伝えしています。

  • 個人情報・顔写真・背景などに注意をし、公開しない
  • SNSで知り合った人には個人情報を教えない
  • ネットで知り合った人とは会わない
  • ネットの情報は信用しない
  • 困ったときは、まず相談

自分を、そして自分の大切な人を守るために、ぜひ覚えておいてください。

過信は禁物!わが身を振り返って

SNSの危険性についてお話しした後にアンケート等でいただく感想としては、 ・とても勉強になった/・ネットの中を信用せず気をつけて使用したい/・友達にも教えてあげて一緒に気をつけたい。といったものが半数を占めるのですが、一方で・危険なのはわかったが自分は大丈夫だと思う/・うまく回避できると思う。というものも目立ってきました。

ほかに、・悪いことばかりではなく、良いこともある/・極端に怖い動画を見せられてもこんなことは非現実的だ/・自分は嫌なことは嫌と言える姿勢でSNS上のやりとりをしたり、実際に会ったりするので不安はない...という自信(?)に満ちたものもあります。

コロナ禍で友人と会う機会が激減したことでSNS上でのつながりをより強く求めるという気持ちはたしかにあるでしょう。しかし同時に、青少年が犯罪に巻き込まれる数は右肩上がりに増加しているのも事実です。 「自分は無関係」「自分だけは大丈夫」「友達と一緒なら大丈夫」...その気持ちが一番危険です。 SNS上でたくさんのやり取りをしたから安心、ではありません。見えない相手は、危険なのです。

家族でテレビを観ていて、SNSでの出会いに関連するニュースが報道されたら、わが身を振り返り、いま一度危険性の確認をしましょう。 過去にあったSNS上での出会い関連の事件を知るということも大切です。 SNS上で出会うすべての人が危険な目に遭ったり、犯罪に巻き込まれるとは限りませんが、万が一自分が巻き込まれてしまったら、それはもう取り返しがつきません。

ゲームのようにリセットボタンを押すことはできないのですから...。

京都府警察ネット安心アドバイザー、京都市教育委員会情報モラル市民インストラクター、近畿総合通信局e-ネットキャラバン認定講師

菅原 邦美さん

ネットトラブルをきっかけにインターネットについて学びはじめ、ソーシャルメディアを含むインターネットの危険性・依存性について保護者目線で共に学び・考え・話し合い、子どもを見守る学校・地域に根差した啓発活動を続けている。

SNSでこの記事をシェアする

一覧に戻る