コラム
コミュニケーション力が防犯の力になる
専門家コラム:防犯編VOL.49
担当:安全インストラクター武田信彦
活かそうコミュ力! コミュニケーション力は地域の安全にも欠かせない
活かそうコミュ力!
先日、防犯に関する新著「活かそうコミュ力!中高生からの防犯」が発刊されました。私の著書の5冊目となるこの本は、「コミュニケーション力」に着目した中高生向けの防犯ブックです。「なるにはシリーズ」で有名なぺりかん社から発行されており、おもに学校向けの本ですが、一般のかたにも広く役立てていただける内容となっています。
この本で大切にしている「コミュニケーション力」には、人づき合いやビジネスなどで何かを伝えるときに使ういわゆるコミュニケーション能力よりも、もう少し柔軟で幅広い意味を持たせています。よく観察すること、距離感をとること、断ること、助けを求めること、そして、地域や社会で助け合うことまでも、広い意味でのコミュニケーション力が必要になる場面と考え、提案しています。
また、日常生活を安心して過ごすためのヒントも紹介しています。学校生活においてお互いが「ほどほどに快適」に過ごせるにはどうすればよいのか。特に、人とのつき合いの中では、想像力をもとめられる機会が多くあります。対面のみならず、インターネットでの安全のためにも欠かせない力ではないでしょうか。
コミュニケーション力は地域の安全にも欠かせない
そしてもう一つ、「学生防犯ボランティア」をもっと推進したいという願いも込められています。私自身は、大学時代に防犯活動にデビューして、多くのことを学んできました。そろそろ25年が経ちますが、まだまだ学ぶことの多い日々を過ごしています。学生のみなさんに防犯に関わってほしいという思いは、単に防犯ボランティアの人数を増やしたいということだけではありません。参加して得られる出会いや経験の場としての魅力も多く、これからの人生におけるエッセンスになると考えているのです。
「なぜ、防犯が必要なのか?」「なぜ、あいさつは大切なのか?」...。この本の後半では、一般市民が行う防犯の意義や効果、可能性、取り組み方のヒントも紹介しています。今後、学生防犯ボランティアを広めていくときのテキストとしても活用いただけると思います。
この本を通して、いまだに根強い「防犯=護身術」というイメージも少しずつ変えていければと考えています。特殊な技ばかりでなく、家庭や学校生活で身につけたさまざまなコミュニケーション力こそが、身を守る力のベースであり、まさに「生きる力」といえるものです。そして、防犯とは、その力を実践していく分野だと思うのです。
※書籍情報※ 『活かそうコミュ力!中高生からの防犯』
安全インストラクター
武田 信彦 さん
犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。