コラム
防犯 新学期にむけての防犯対策
専門家コラム:防犯編VOL.50
担当:安全インストラクター武田信彦
感染防止対策と防犯対策の両立 子ども自身の防犯力を高める指導を
感染防止対策と防犯対策の両立
引き続き、新型コロナウイルス感染防止対策がもとめられる日々が続いています。今年こそ、終息へ向かうよう願うばかりです。そんな中、東京都内で見守り活動を行っている方から連絡をいただきました。「子どもたちへの防犯指導や見守りがしにくい状況が続いているのです...」。毎年、新1年生になる子どもたちを対象に、地域が主体となって防犯や交通安全のプログラムを実施しています。私も講師を務めているのですが、残念ながら中止となってしまいました。
子どもだけの状況になりやすい環境が広がる中で、地域の見守りや助け合いは欠かせない一方、感染防止対策の面では人との接触を避ける傾向が続いています。「人と離れていたら防犯上も安全」という考え方もありますが、地域の人とのあいさつや健全な声かけは、犯罪が起きにくい環境をつくる効果もあり、また子どもたちの育みとしても重要な要素です。積極的な防犯活動が行いづらい現状では、「ながら見守り」などのように、個々の生活を送りながら、地域や子どもたちへも目を向けるというスタイルの防犯対策が有効ではないかと思います。
子ども自身の防犯力を高める指導を
また、本来は春から夏にかけて実施される小学校での防犯セミナーやセーフティ教室が中止になったり、実施が遅れたりするケースも増えています。感染防止対策上、外部講師が学校内へ入りにくい状況が続いており、例年どおりの防犯指導がなかなか行き届いていないと思われます。それでも、新1年生の入学は近づいています。
限られた授業日数の中で防犯指導を行うことは教員のみなさまにとってもご苦労が多いかと思いますが、朝の会や帰りの会など、短時間での指導を継続して行うことをおすすめしています。なお、「『子どもの安全教室』実施プログラム」は、教材やシナリオがセットになっていて学級担任の先生の負担なくすぐに防犯指導を行えるとの声をいただいています。ぜひご活用ください。
また、ご家庭での防犯指導も忘れずに行っていただきたいと思います。通学路や習い事へ行く道などを一緒に歩いてみましょう。ひとりになりやすいところをなるべく避けて人通りやお店がある道を選ぶ、助けてくれそうな人がいるところを子どもの目線で探してみることなどが有効です。ところどころで立ち止まって、「ここから一番近くで助けてくれそうな人って、どこにいる?」などと質問することで、子ども自身が考えて確認することができます。
ひきつづき、感染防止対策が第一ではありますが、子どもたちの学びの環境と安全もしっかり守ることがもとめられています。