公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

ネット スマホを買い与える前に

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:ネット編VOL.10 担当:石川 千明


スマホを渡すならいつ?

2月になり進学の時期を迎え、スマホを購入されるご検討をされているご家庭も多いのではないでしょうか。
ネットの安全教室をしていてよく聞かれるのは『スマホを渡すならいつ?』です。
このタイミングについては、各ご家庭の環境、子どものパーソナリティにもよりますので『いつ』を明確に言及することはできません。
まずは本当にその子にとってスマホが必要かどうかを考えてみましょう。



「みんな持ってる」は本当?

その際、「みんな持ってる」はあまりあてになりません。また「中学校でクラブの連絡網がLINE」は全員がLINEを使っているわけではないので連絡網がLINEであることは考えにくいですが、もしそのように言うなら学校に確認してみましょう。
住んでる地域の小中学校に進学通学する場合は行動範囲が狭いので生活に必要な場面は少ないと思いますが、遠方への進学が決まったら道中に連絡が取れた方がいい場合もあるでしょう。
それぞれの通学の環境も考慮する必要があると思います。



スマホがなくても連絡できる手段を合わせて確認!

スマホを買う前に、通学路にある公衆電話、公衆電話のかけ方、テレホンカードの使い方、災害伝言ダイヤルの使い方、災害の際の避難場所の確認、子ども110番の家の確認など、携帯電話がなくても連絡ができる方法や災害の際の行動についても必ず教えておいてください。



ルール作りは、まず子ども自身に考えさせましょう

もし子どもがスマホが欲しいと話したらルール作りを始めましょう。
スマホ購入前はルールづくりをするチャンスです。子どもも買ってもらうために積極的にルール作りに参加します。
ルールは具体的に、まずは子どもに考えさせ、子どもが無茶なルールを提示してきたときは軌道修正をするのが保護者の役目です。
その後それを元に親子でしっかり話し合って紙に書かせ、みんなが見る場所に貼りだします。ルールに違反したときのペナルティも決めておきましょう。ペナルティも子どもに考えさせます。ルール違反したときは厳格にペナルティを実行します。例外を作らない方がいいでしょう。一度許すと次も許すことになり、ルールが形骸化します。



ルールづくりでは話し合った時間こそが重要!

ルール作りの時に、どれくらい話し合えたかはとても重要です。
持たせたあと、トラブルが起こったときに『あんなに話し合ったのにごめんね』と悩みを打ち明けやすくなるからです。
逆に話し合いなく、なし崩し的に買ってしまった場合、『あなたがほしいって買ったんだから自分で考えなさい』と親は突き放す傾向になります。こうなると誰にも相談できず悩みを抱えてしまうことになるわけです。



困ったときに相談できる場所に

どんなに注意しても人間関係などのネットトラブルは起きることがあります。
その時に一番最初に相談する人は保護者が当たり前と思っている方が多いですが、実際子どもたちはネットトラブルが起こった時に最初に相談するのは「ネットに詳しいネットの友だち」と言います。
その人は大人か子どもかわからない人です。そのよくわからない人に相談することで性犯罪や連れ去りなどの怖い事件に巻き込まれることにつながってしまいます。
そんなことにならないよう、親はいつでも安心して相談できる場所だということを伝え続け、子どもの話をよく聞いてあげましょう。そのためにも日頃の親子の関りがとても重要になります。



石川千明公式サイト

NPO法人 奈良地域の学び推進機構・理事、京都府警察 ネット安心アドバイザー

石川 千明さん

(株)カプコンでゲーム企画を担当。 退職後web企画制作、コンサルタントとして活動。'01年~子育て支援グループいこま育児ネット設立、'08年~自治体、学校等でICT支援活動を開始。それらの経験また母親目線から、わかりやすくネットトラブルの現状と対策を解説する。生駒市人権審議委員、森のムッレ教室リーダー、防災士など多方面で活動中。

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