コラム
防犯 見守りと助け合いを支える「ありがとう!」
専門家コラム:防犯編VOL.52
担当:安全インストラクター武田信彦
警察庁がオンライン研修会を実施 防犯活動のエネルギーは「ありがとう!」
警察庁がオンライン研修会を実施
先日、警察庁主催「防犯ボランティアリーダー研修会」が行われました。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンラインで各警察本部をつないでの開催。私は後半の全4回の講師を務め、各回6~8地域、計27府県を担当しました。各警察本部には最少人数の参加者が集まり、感染防止対策を施した上での実施です。
研修会の前半は、警察庁の担当者より、「登下校防犯プラン」の内容や、昨年制作された「犯罪被害等防止マニュアル(動画、リーフレット)」についての説明がありました。ちなみにこのマニュアルについては、全編を通して助言を務めております。(こちらをご覧ください→★)
続く私の講義では「市民防犯」をテーマに、一般市民が行う見守りや助け合いの意義や効果、正しい取り組み方、可能性などについて画像を用いて解説しました。警察と協力して防犯に取り組んでいく上で、市民としてできること、できないことを把握し、あらためて目的を確認するのはとても重要なことです。
防犯活動のエネルギーは「ありがとう!」
研修会の後半は、警察本部ごとに参加者同士で情報交換をしていただきました。
お題は、「やりがい」と「活動継続のコツ」です。そのほか、自己紹介や特色ある活動の紹介など、自由に意見交換を行う時間を設けました。マスク着用、席の間隔を離す、パーテーションの設置などコミュニケーションが取りづらい部分もありましたが、活発な意見交換が行われました。その後、地域ごとに発表を行い、他地域から感想や質問をいただきました。
「やりがい」について多かったのが、子どもたちや地域のみなさんからの「ありがとう!」がエネルギー源になるという意見です。多くの地域で「ありがとう」を伝え合う環境があり、防犯活動が地域のきずなをはぐくむ良い事例もたくさん紹介されました。また、「活動継続のコツ」としては、「無理をしない」「生活の一部として取り組む」など、ライフスタイルに合わせた活動が紹介されました。
講師を務めたとはいえ、私自身が多くの学びを得ることができた研修会でした。また、子どもたちや地域の安全を願うみなさまの情熱に触れ、胸が熱く、心が温かくなりました。コロナ禍は人々の心の距離をも遠ざけてしまう怖さがありますが、安全安心のためには、見守りや助け合いなどの優しい底力が欠かせません。子どもたちへのメッセージとしても大きな効果がありますので、引き続き、活性化のために発信を続けてまいります。
安全インストラクター
武田 信彦 さん
犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。