コラム
防犯 オンラインで伝える防犯
専門家コラム:防犯編VOL.54
担当:安全インストラクター武田信彦
オンラインで伝える防犯
新型コロナウィルスのワクチン接種が本格的に始まりましたが、引き続き感染防止対策がもとめられています。このような状況の中で、私が講師を務める各種防犯プログラムもその多くがオンライン開催となっています。
先日は、東京都内のある自治体からの依頼で、お子さまと保護者のかたを対象とした安全セミナーを実施しました。本来は会場に集まっていただき、声や体を使いながら「自分を守る力」を練習する企画でしたが、私と主催スタッフがいる実施会場と各家庭とをオンラインでつないでの開催となりました。参加体験をともなうプログラムについては、対面実施に勝る方法はありません。少々悩みましたが、結果的にはオンラインとはいえ通常どおりのプログラムで実施するのがよいと感じました。マイクやカメラの確認・調整、参加者のフォローを行うスタッフがいるとよりスムーズに進行するでしょう。
終了後の感想では、「楽しかった!」といった声もいただきましたが、一方で「工作がしたかった...」(当日は、反射材を用いた工作も予定していました)といった声もありました。一日も早く対面での実施が安全に行える日が来るよう願うばかりです。
PTA研修もオンラインで開催
東京都内の教育委員会からはPTA研修会の依頼をいただきました。こちらも例年は対面での実施ですが、今回はオンラインでの開催となりました。会場での参加も可としていましたが来場されたのは1名で、ほとんどのかたが自宅や職場からオンラインでの参加となりました。
研修会の前半では市民防犯の視点から、地域での安全への取り組み方、PTA活動へのヒント、子どもたちへの防犯指導のコツなどを、画像を見せながらお話しました。オンライン開催の利点として、警察庁や文部科学省のコンテンツを紹介する際にリンク先を伝えやすいということも感じました。
研修会の後半では参加者をいくつかのグループに分けて、PTAが行っている防犯活動や地域活動の現状などについて情報交換をしていただきました。コロナ禍が続く中、PTA活動もやや停滞傾向にあるようです。また、小学校PTAでは見守りの方法や負担軽減などへの関心が高く、積極的に情報交換が行われました。中学校PTAでは、地域での見守りや生徒たちへの防犯指導が手薄になる傾向がある一方で、犯罪への不安は根強いようすが伺えます。ちなみにPTA活動においても、対面での会議等が行いにくい中で、オンラインを活用した情報共有が進んでいるようです。
今年度の講師依頼は、多くがオンラインへとシフトしています。昨年に比べると中止や延期の措置は減っていますが、講師の立場からは対面実施の効果をあらためて気づかされる機会ともなっています。一方、コロナ禍が終息した後も、対面とオンラインを併用することで、より多くの人に参加してもらえるといったメリットもあるのではないでしょうか
安全インストラクター
武田 信彦 さん
犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。