コラム
ネット スマホ時代の子育て~他律と自律~/乳児期のゲームどう付き合う?
専門家コラム:ネット編VOL.14 担当:松田直子
乳幼児のスマホ利用の実態
乳幼児も手にするようになってきたスマホは、むずかる子どもに見せるとすぐに泣き止むし、使わせている間に家事や休憩ができるなど、子育ての助けになる面があります。しかし反面、使わせすぎなどを心配する声もあります。
内閣府の調査によると0歳で7.1%、1歳で17.2%がインターネットを使っていると回答し、内容としては動画視聴とゲームが人気です。(出典:内閣府「令和2年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」)
ゲームの楽しさと心配
ゲームというだけで否定的に捉える大人も少なくないですが、対象年齢(レーティング)を確認し、子どもの発達段階に合わせて良質なアプリを選択すれば、特にコロナ禍においては家の中で安全に過ごせたり、創造性が育まれたりするものもあります。ただ、楽しいばかりに時間のけじめがつきにくいのも事実で、「ゲーム障害」という新しい疾病が生まれ、医療関係者からは「早くから習慣的にゲームをすると、その後のゲームへの依存度に影響が出る可能性がある」という意見もあります。
まずは時間のルールづくりを
そこで、もし乳幼児の段階からゲームをさせるのであれば、まずは時間のルールをしっかりと決めることが大切です。ルールがないままゲームを使い始めて、生活習慣が乱れてからルールを作ってもなかなか言うことを聞いてくれません。そのため、デビューの時はまさにベストなタイミング。この機会を逃さず、子どもに関わる家族全員で真剣に話し合ってルールを決めましょう。
大人は子どものお手本に
また、NPO法人イーランチの独自の調査では、親のスマホ利用時間と子どものスマホ利用時間は比例し、親の生活習慣や家庭環境が子どものスマホ利用に影響していることがわかりました。
子どもにはゲーム時間を決めておきながら、パパはずっとゲームし続けている「ゲームパパ問題」もよく耳にします。パパにとってみれば、1日働いたあとのお楽しみの時間、という思いもあるかもしれませんが、ゲームをしている姿だけを見せていたら、子どもにもけじめがつきません。常に大人は子どものお手本でありたいものですよね。
安全設定は必要不可欠
ルール作りのほかには「ペアレンタルコントロール」や「フィルタリング」などの安全設定も必要不可欠です。もし安全設定の方法がわからない場合は、YouTubeなどに説明動画がアップされているので、それを利用するのも手です。
他律から自律へ
子どもの成長には自然体験やリアルなコミュニケーションといった実体験も欠かせません。それらを積み重ねることで「自律」のもととなる「道徳心」や「判断力」も育んでいただきたいです。 子どもが幼いうちはルールや安全設定という「他律」の力を借り、子どもの成長とともに少しずつ他律の割合を減らしていき、やがて親元を離れるときには、自律的にスマホをコントロールできるようにしてあげるのが、スマホ時代の子育てだと思います。
静岡県ネット安全・安心協議会委員
松田直子さん
NPO法人イーランチは、地域の情報化支援と女性の社会参加の応援を目的に、2003年4月静岡県焼津市において設立。主な活動は、母親目線を大切にする「インターネット安全教室」、子どもたちのネット利用の見守り活動「学校ネットパトロール」など。内閣府作成リーフレット「スマホ時代の子育て」監修や東京都私立幼稚園連合会「都私幼連だより3月号」「赤ちゃんとママ」「月刊ファミリス」他、多数執筆。