公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

防犯 SOS・相談は、大切な防犯対策

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:防犯編VOL.57
担当:安全インストラクター 武田信彦




警察などの相談窓口を活用して

 新型コロナウイルスの感染が急拡大し、不安な日々が続いています。ワクチン接種が進んでいるとはいえ、収束にむけては一人ひとりの感染防止対策が欠かせません。なお、厚生労働省や自治体等では、新型コロナウイルスに関する電話相談窓口などを開設しています。心配・不安がある場合は早めに相談することをおすすめします。



 電話相談窓口といえば、安全・防犯に関するものも年々広がっています。たとえば、犯罪や事故の発生には至っていないが警察に相談したいことがあるときは「#9110」。けがや病気で救急車を呼ぶべきか迷っているときは「#7119(一部地域で実施)」などの救急電話相談へ。また、「189」は児童虐待や子育てに関する悩みがある場合に相談できる窓口です。そのほかにも、性犯罪、いじめ、ネットトラブルなどに関する相談窓口、これまで対応が難しいとされていたストーカーやリベンジポルノについて専門の相談員が対応してくれる窓口など、官民問わずさまざまなものが下記のように開設されています。



※相談窓口は地域によって異なります。

 このような相談窓口の広がりは、社会全体として個人のSOSを受け止める姿勢の表れといえるものです。一方、私たち一人ひとりが身を守る選択肢として相談窓口の存在や利用する意識がなければ、活用されません。早め早めにSOSを出すことは、トラブルの重大化を防ぐ上でも重要なことです。

情報がなければ動けない

 防犯分野で仕事をしていると、多くの警察官のかたと出会います。情報交換する中でよく耳にするのが、「情報がなければ動けない...」といった声です。コラム48でも紹介していますが、警察への相談方法も増えています。緊急時は「110番」、相談ダイヤルは「#9110」、そして、警察署へ直接連絡することも可能です。とくに所轄の警察署であれば、地域のようすや地理にくわしく、情報共有がしやすいというメリットもあります。

 私が担当する教職員やPTA対象の研修会では、心配なこと、不安なことと遭遇した場合は、速やかに警察へ連絡・相談することをすすめています。ときに、子どもが伝えてくれることも大切な情報なので、「変だな...」と感じたらうやむやにしないことが一番です。最近では、「前兆事案」として、女性や子どもなどをねらう犯罪行為の予兆的な行為等に対しても警察が対応し、重大化を防ぐ取り組みが進められているからです。

 一方、警察へ相談することにハードルを感じてしまうのであれば、犯罪行為の拡大や被害の重大化を防ぐことが難しくなるかもしれません。情報をもとに確認・対応を行うのは警察の責務です。連絡・相談したからといって一般市民が責任を負うようなことはありません。地域や子どもたちの安全のためにも、心配や不安なことがあれば、早めに警察へ連絡・相談することをおすすめいたします。



うさぎママのパトロール教室

うさぎママのパトロール教室主宰
安全インストラクター

武田 信彦 さん

犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。



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