公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

ネット 三つ子の魂百まで~乳幼児期にスマホやネットは必要?~VOL.1実態編

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:ネット編VOL.17 担当:岡田 典子


スマホデビューの実態は!

乳幼児期の成長は著しいものです。例えば脳は0歳~2歳頃に急速に発達し、その後6歳頃から20歳頃まで緩やかに成長していきます。
言葉、運動機能や五感等も乳幼児期に急速に発達します。そしてこれらの発達は、体験と比例しています。
乳幼児期に様々な体験を重ねることで健康な土壌が作られ、その健康な土壌に、その先の人生に重要な土台が作られます。

健康な土壌にしっかりと人生の根を張れると、小学生、中学生...と太く真っすぐな幹をどんどん伸ばし、大人になる頃にたくさんの枝を伸ばしたくさんの葉をつけ、その後の人生で奇麗な花をいくつも咲かせます。
大人になる前の大事な思春期で折れない幹を育む原動力が、乳幼児期のたくさんの遊び体験と大人から受ける愛情体験です。

一方、善悪の判断がちゃんとできるようになるのは、思春期頃です。
携帯電話が普及する前には、様々な研修や講座で「テレビのチャンネルは、小学生の間は親が持ちましょう」と聞きました。
ところが最近は、まだ知識や経験が少なくて自分で善悪の判断ができない小学生が、スマホを持つようになってきました。

2016年に京都市内の子育て支援施設等で調査した『乳幼児スマホデビュー年齢』の結果から、身近でも低年齢化が進んでいることが分かりました。
0~1歳児のスマホ利用が非常に増えています。今年度はまだ調査中ですが、0歳のスマホデビューは少し減少していますが、1歳からのデビューは多いようです。

乳幼児のスマホデビュー調査 2016年2月1日~20日京都市内子育てサークル・児童館等子育て支援施設利用者103名


供給が先か、需要が先か乳幼児期の使用は親の判断にかかっている!

子ども用の番組やゲームだから、子どもが使ってもいいのでしょうか?

生まれた時から既に、おっぱいをくれる親がスマホを自分に向けているのを毎日のように見ています。
使い方もルールも危険性も何も知らないまま、赤ちゃんは、親が毎日持っているものを自然と見慣れて育ちます。 親が使っているものは危険へのハードルが下がってしまいます。

何歳になれば善悪が分かってルールを守れるようになるということではありません。
赤信号を無視して赤ちゃんを抱いて渡っていれば、赤ちゃんには赤信号は進むと刷り込まれてしまいます。 子どもは親がしている通りに、見て刷り込まれて育ちます。
ルールを守っている親の姿を見ていたら、乳幼児でもちゃんとルールを守れます。 赤ちゃんの時から親がルールを守って使う姿を見せるようにしたいものですね。
また、子どもが使えるアプリがあるから使わせてもいいのでしょうか。
業者のは方々は、楽しく使ってもらえるように、また売れるように、工夫を凝らしていますが、 子どもの成長発達を考える時、あるから使わせるのか、あってもまだ使わせないのかは親に委ねられているといえるでしょう。

私は、長く幼稚園教諭をしていた経験から、乳幼児期には乳幼児期にしかできない体験があると思っています。
乳幼児期に、わらべうたや読みがたりで言葉と心を育み、コミュニケーションの力をつけることをおすすめします。

読みがたりにオススメの本については、『三つ子の魂百まで~乳幼児期にスマホやネットは必要?~VOL.2行動編』で具体的にご紹介します。



この本だいすきの会(京都南支部)

京都府警察ネット安心アドバイザー/近畿総合通信局e-ネットキャラバン準専任講師/人権擁護委員/放課後児童支援員

岡田 典子さん

幼稚園教諭、子育て支援のNPO副理事長を経て、子どもたちの健全育成への関わりを深め、2008年より主に京都府内小中学校・高校を中心に情報モラル教育の講師として尽力。現在、放課後児童支援員として児童館に勤務しながら人権擁護委員としても、情報モラル講座や人権教室を実施。読みがたりや昔ばなしの再話研究にも力を入れ、特に乳幼児の保護者に「スマホより絵本とわらべうたで子育てを」と伝えている。

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