公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

防犯 コロナ禍における見守りは、「できるとき」スタイルで

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:防犯編VOL.59
担当:安全インストラクター 武田信彦




東京都内の防犯ボランティアのみなさんと情報交換

 秋は、安全・防犯の季節でもあります。10月は「全国地域安全運動」の期間もあり、全国でさまざまな啓発イベントが開催されました。私も各地の県民大会等で講師を務めました。コロナ禍が続く中では、講演・研修会の中止や延期、オンライン実施が入り乱れましたが、9月末に緊急事態宣言が解除されてからは、感染防止対策を施した上での対面実施が戻りつつあります。



 さて、10月10日には、東京都が主催する「防犯ボランティアのつどい」が武蔵野市で開催されました。対面での実施は2年ぶりです。当日は、武蔵野市をはじめ東京都内で活躍する防犯ボランティアのみなさまが参加されました。第1部では、東京都が運営する「大東京防犯ネットワーク」の活用方法を知るため、実際にパソコンを使いながら体験。第2部では私が講師を務め、市民防犯の意義や効果、可能性について解説。さらに、参加団体のみなさまと情報交換を行いました。感染防止の観点から参加者同士のコミュニケーションは避け、私からのインタビュー形式で行いました。おもに、①活動紹介、②活動継続のコツ、③やりがいを感じることの3点をテーマに、みなさまから多くの意見をいただきました。



「できるとき」に行うスタイルが広がる

 コロナ禍における活動状況を確認したところ、7~8割の団体が「活動がしにくくなった」と答えました。とくに、仲間同士で集う機会を設けられなくなった団体が多いようです。感染防止対策がもとめられる中、総会や理事会、情報交換会や親睦会など、顔を合わせる場が失われてしまったのです。しかし一方で、日ごろの防犯活動については「各自ができるときに行う」スタイルで継続したという意見が多く聞かれました。仲間同士では集まれなくなったけれど、防犯活動は個々人がマイペースに続けている...といった状況です。


一方で、地域住民や子どもたちとのコミュニケーションについて、「あいさつ等がしにくくなった」と感じる団体がゼロだったことは意外でした。マスクをしながらも、小さな声やジェスチャーをとおして積極的にコミュニケーションされているのです。


参加団体の中には、愛犬の散歩やジョギングをしながら見守りを行う「ながら見守り」スタイルで活動するみなさんもいました。ちなみに、防犯ボランティア団体のみなさまの「継続のコツ」で多かった意見としても、「健康や美容のため」「防犯以外の目的も兼ねる」「子どもたちと会えることが楽しいから」など、さまざまな要素や目的を融合させながら楽しく継続している様子がうかがえました。


コロナ禍においても、地域の見守り・助け合いの雰囲気づくりに力強く取り組まれていることがわかりました。課題を抱えている団体も多いことと思いますが、「無理なく」「できるときに」は、活動継続の大きなヒントになると思います。

うさぎママのパトロール教室

うさぎママのパトロール教室主宰
安全インストラクター

武田 信彦 さん

犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。



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