コラム
ネット 成人年齢が18歳に。変わること考えること
専門家コラム:ネット編VOL.24 担当:石川 千明
いよいよ成人年齢が18歳に
コロナ禍3年目の2022年度が始まりました。
今年は小中学校に続き、高校でもGIGAスクールが始まる予定です。スマホだけでなく、学習においてもネットの長時間利用が始まります。
そして2022年度から、18歳を迎えたら成人になり、高校3年生は大人と子どもが混在することになります。
成人になったらできること、できないこと
成人(18歳)になったらできることに、以下のようなものが挙げられます。
・親の同意なしで契約ができる(携帯電話、ローン、クレジットカード、一人暮らしの部屋を借りる等)
・親の同意なしで進路が決められる
・10年のパスポートが作れる
・公認会計士、司法書士などの国家資格が取得できる
・結婚(男女とも18歳から)
・性別の取扱いの変更審判が受けられる
※普通免許の取得は以前と同様18歳から取得可能
成人(18歳)なってもできないこと(20歳にならないとできないこと)は、以下のようなものです。
・飲酒や喫煙
・公営ギャンブル(競馬、競輪、オートレース等)
・大型・中型自動車運転免許の取得
※大型自動車運転免許の取得は21歳以上
・養子をとる
詳しくは政府広報オンライン、法務省のページをご覧下さい※1
契約は特に! 成人年齢引き下げの注意点
できることを見るととても心配になってしまいますが、高校生でまだ収入がない場合、まっとうな会社であれば契約できない可能性が高いです。でも、そうでない場合は・・・?
SNS経由のネット通販、リアルでも悪意を持った相手であれば、18歳以上であれば契約できてしまうケースもあり、特に消費者被害の拡大が懸念されています。※2
大人と子どもの階段がなくなる
『これまでの20歳成人と18歳成人は2年しか違わないし、2年早まっても大きな影響はないのでは?』と言われることがありますが、やはり18歳と20歳は大きく違うと思います。
一番は社会経験が少ないまま成人すること。
高校まではアルバイトが許可されていない学校も有り、学校と家庭以外で大人との関りが少ない子どもが圧倒的です。
これまでの、高校を卒業して、社会人になったり、大学や専門学校に進学し一人暮らしをはじめたり、アルバイトをしたり、大人の中で少しずつプレ社会人としての経験を積んでいけた2年間がなくなってしまう。
高校生まで大事に育てられているが故に、いきなり大人としての判断を求められたり、悪い大人に騙されたりと困ってしまう場面が多くなるかもしれません。
保護者や子どもに関わる方にお願いしたいこと
今19歳のお子さんは2022年4月1日から成人です。
今年18歳になるお子さんは18歳の誕生日まであと何日残っていますか?
それ以下のお子さんは成人まであと何年残っていますか?
それぞれカウントダウンが始まっていることに気づかされます。
これからは高校卒業後に社会の中で育ててもらう時間はありません。
毎日の生活の中で、いかに18歳までにマナーや社会のルール、常識、法律、人権意識など、大人としての素養を積ませていけるか?そんなことを頭の片隅に置いて子どもと接していただけたらと思います。
※1 政府広報オンライン 法務省 民法(成年年齢関係)改正 Q&A
※2 国民生活センター 18歳から"大人" 18歳・19歳に気を付けてほしい消費者トラブル 最新10選 消費者庁 「18歳から大人」特設ページ
石川 千明さん
(株)カプコンでゲーム企画を担当。 退職後web企画制作、コンサルタントとして活動。'01年~子育て支援グループいこま育児ネット設立、'08年~自治体、学校等でICT支援活動を開始。それらの経験また母親目線から、わかりやすくネットトラブルの現状と対策を解説する。生駒市人権審議委員、森のムッレ教室リーダー、防災士など多方面で活動中。