公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

防犯 子ども、保護者、地域。みんなで参加する防犯講座

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:防犯編VOL.66
担当:安全インストラクター 武田信彦



世代を超えて考える、子どもの防犯

初夏を迎え、熱中症対策が欠かせない季節となりましたね。
さて、ひとつ前のコラムでは「みんなで見守り、助け合う」環境づくりの重要性をお伝えしました。そのことを実践するような取り組みがあったので、紹介いたします。2022年5月21日(土)、草加市の主催で「ぼうはんパワーアップ講座」が草加市文化会館にて開かれ、私が講師を務めました。おもに小学生の親子(未就学児の兄弟姉妹含む)と、防犯ボランティアのみなさまが対象です。

ちなみに、防犯に関する講座等の企画は、世代ごとに実施することがほとんどです。子ども向けの防犯セミナー、PTAや地域の方対象の防犯研修会、学生対象の防犯ボランティア講座、などです。私が講師を務める研修会の中でも、世代を超えた参加者を対象とした企画は年間でも数件です。それだけ「新しい視点の防犯講座」ともいえるものです。主催者である草加市の防犯啓発への熱意とともに、地域のきずな作りを重視する姿勢を感じます。

子どもも大人も理解できるように講座を進行

各世代参加型の防犯講座は、見守り・助け合いの大切さを確認するためにも効果的です。一方、講師としては、実施の難度が高まります。未就学児や小学生から年配の方々まで、幅広い世代の参加者全員が理解できるように進める必要があるからです。主役は、子どもたちです。しかし、保護者や防犯ボランティアのみなさまへの補足や説明も欠かせません。

今回は、本編の開始前に子どもの防犯対策の必要性、取り組み方や現状について簡潔に解説しました。その後は、草加市の巡回指導員(警察官のOB)の方にサポートいただきながら、子どもたちを対象とした参加体験型の防犯セミナーを実施。さらに、保護者や地域のみなさまへ補足や解説が必要なところでは、特製の「ポイント」シートを掲示して簡単な説明を加えました。

クイズや、体を動かしての練習も

クイズなどで盛り上がりつつ、体を動かす時間も設けました。固定席のホールだったため、通路等のスペースも活用。感染防止対策上、参加人数も制限しているため、密を避けて広々と使うことができました。「だるまさんがころんだ」で予防力の大切さを理解、新聞棒を使ったゲームで人との距離感を楽しく確認、そして、簡単なステップで練習する「にげる技」。最後に、実演を交えながら「できません!」と断る練習も行いました。

子どもたちがもつ「自分を守る力」を引き出す行動を、保護者とともに楽しく練習する良い機会になったと思います。また同時に、見守り・助け合いを実践されている防犯ボランティアの方々の活動や姿をしっかり確認する大切な時間ともなりました。日ごろの防犯活動への感謝と敬意を込めて、みんなで拍手をプレゼント。温かな雰囲気が、会場いっぱいに広がりました。


うさぎママのパトロール教室

うさぎママのパトロール教室主宰
安全インストラクター

武田 信彦 さん

犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。



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