コラム
ネット オンラインゲームで、子どもがいじめの被害者、加害者にならないためにできること
専門家コラム:ネット編VOL.25 担当:谷山 大三郎
子どもたちの間で流行っているオンラインゲームの特徴
数年前から子どもたちの間では、オンラインで協力しながら遊ぶことのできるゲームが流行しています。小学校で情報モラル等の授業を行う際、子どもたちから「荒野行動」や「フォートナイト」などバトルロイヤル型のゲームを楽しんでいるという話をよく聞くようになりました。
オンラインゲームの特徴は、いつでもどこでも繋がれること、顔が見えないまま遊べること、複数人同時に参加ができることなどがあります。そのため子どもたちは、お互いが自宅にいて、離れた場所でゲームを楽しむことも多いです。
オンラインゲームがきっかけで起こるトラブル
ゲームで遊んでいるときに、熱中するあまりつい相手に対して強い口調で話したり、とっさに非難をしてしまうことがあります。そして特にオンラインゲームでは、「顔」が見えないまま声だけのコミュニケーションで遊ぶため、無自覚のうちにさらに攻撃的になってしまう傾向が見られます。さらには複数人で遊んでいると、ゲームの不得意な子どもが一方的に責められるなど、ひとりが多数から攻撃されることも少なくありません。
またオンラインでいつでもどこでも繋がれるため、エスカレートした状況から距離を置くことが難しく、こういった状況が長時間続いてしまうこともあります。
オンラインゲームについて子どもと話し合うポイント
オンラインゲームのトラブルは、ゲームに熱中するあまり無自覚に相手に対して攻撃的になってしまうことに特徴があります。そのため「〜してはいけない」など注意だけをするのではなく、一緒に話し合い考えることが大切です。例えば、以下のポイントを話し合うとよいと思います。
・オンラインゲームに熱中するあまり、自分でも気づかないうちに攻撃的・暴力的な言葉を使うようになってはいないだろうか。また、仲間内で盛り上がるあまり、攻撃性や暴力性がエスカレートしてはいないだろうか。そうしたことに、どうしたら気づけるだろうか。
・仲間のノリについていけないと感じたときに、どうつきあっていったらよいのだろうか。特に、オンラインでのコミュニケーションのように繋がり続ける時間が多い場合にどうしたらよいだろうか。
・ゲームの中だけなら、攻撃的・暴力的な言葉を使っても許されるだろうか。
子どもと話し合うための教材のご紹介
私は、授業づくりの専門家、各界のクリエイターが共同し、学校や家庭、地域で活用できる無料教材を開発、公開するプロジェクト「いじめや人権、話し合おう、変えていこう。Changers(チェンジャーズ)」を行っています。
このプロジェクトの中で「白熱するオンラインゲーム」というマンガ作品を公開しています。
白熱するオンラインゲーム
作品内の主人公がゲームで遊んだ後、「楽しかったはずのゲームが、なんだか楽しくなってきた」とひとりつぶやく主人公の気持ちを想像しながら、オンラインゲームでのコミュニケーションについて子どもと一緒に考えていただけたら幸いです。
谷山 大三郎さん
1982年12月生まれ。ストップイットジャパン株式会社代表取締役、一般社団法人てとり代表理事、千葉大学教育学部附属教員養成開発センター特別研究員。いじめに苦しむ子どもたちがいつでも相談、報告できるアプリSTOPitの普及*1、アスリートと協働して、いじめなどの悩みを相談する窓口を周知するプロジェクトの推進*2、いじめ防止啓発を目指した学校向け教材の開発に取り組む。