公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

ネット 保護者としてどう向き合う?小学生のネット動画

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:ネット編VOL.27 担当:高橋 大洋


小学生はネット動画が大好き

小学生のネット利用といえば、ネット動画とゲーム。特にYouTubeは学年を問わず大人気で、毎日1時間以上見るという子どもの割合は、低学年で37%、高学年で43%に達しています※1。
最近は「短い動画」の広がりも目立ちます。代表格とも言えるTikTokの利用率は、低学年女子で3割近く。これはLINEを上回る数字です※2。



保護者の悩みと不安

保護者の悩みはつきません。「夜遅くまで見ている」「言ってもやめない」「食事中に見ている」「呼んでも返事をしない」などの様子に、与えたのは失敗だったかも...と後悔の声が聞こえてきます。

さらに心配になるのは「依存」の二文字。そこまででなくても、動画で覚えたままに「それってあなたの感想ですよね」とか「はい、論破」などと、わが子に言われるのは腹立たしいものです。



なぜそんなに夢中になるのか

ネット動画は、マンガやテレビなどより、はるかに魅力的です。多種多様な選択肢から、自分好みのものが必ず見つかります。
人気配信者の多くは、毎日新作をアップするので、いつも新鮮な刺激が得られます。調べものにも便利です。しかもその説明は、周りの大人よりずっとわかりやすく楽しいのです。

自分に主導権があるところも最高です。何を見るかから、飛ばし見、倍速再生まで、小学生が思い通りにできるメディアは他にはありません。



子どもたちが見ているのは「ネット動画」ではない

一口に甘いもの好きと言っても、その対象は和菓子からケーキまでさまざま。さらにはケーキならなんでもOKというわけはありません。「あのお店のこれがスキ!」という方が多いでしょう。

小学生のネット動画も同様です。特に人気の分野は「ゲーム実況」「ミュージックビデオ」「やってみた、ネタ、面白い」あたり。その他、習い事や趣味、スポーツ、語学や勉強に役立つ動画など、一人ひとりが「ホッと一息つきたい」から「情報収集」まで、用途に応じて違うものをみています。
あなたのお子さんは、いかがでしょうか。



保護者に期待されていること

YouTubeを見ていることを、頭から否定しがちですが、これは最悪の対応です。
手始めに、お子さんが推すユーチューバーを教わり、しっかりと見てみましょう。それも、一本だけではなく、「チャンネル登録」などをして、一ヶ月くらいの流れから、その特徴を感じることが望まれます。

感心したところ9、気になるところ1の割合で、大人の気付きをフィードバックしながら、お子さんが何のためにどんなものを見ているのかを把握し続けましょう。動画以外のネット利用や、スポーツ、趣味との関係はどうでしょうか。

技術的な対応も併用

低学年のうちは、YouTubeやTikTokではなく、YouTube KidsやNHKキッズなど、子ども専用アプリの利用がおすすめです。
主な動画アプリでは、「成人向けコンテンツを表示しない」などの設定も利用できますが、「子どもにふさわしい」の判断は難しいものです。

それよりも、睡眠時間を削ったり、食事しながら視聴することがないように、「利用時間」や「利用場面」についての約束や制限設定の利用を優先させたいところです。

※1 モバイル社会研究所(2021年11月)

※2 モバイル社会研究所(2022年4月)



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株式会社ミヤノモリ・ラボラトリー 代表取締役

高橋 大洋さん

テックコーチ。フィルタリングやセキュリティなどIT企業勤務をきっかけに、「ネットとのつきあいかたをオトナにも分かりやすく」に取り組む。子どもとネットの問題についての調査・研究や教材開発、指導者養成の他、保護者・教員向け研修講師としても活動。著書(共著)『学生のためのSNS活用の技術』(講談社)。子どもたちのインターネット利用について考える研究会 事務局、一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA) ネットセーフティ教育プログラム事務局、ポールトゥウィン株式会社 契約パートナー、国立大学法人小樽商科大学 非常勤講師。札幌市在住、子どもは15歳と12歳。

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