コラム
防犯 子どもだけでの留守番、気になる防犯対策
専門家コラム:防犯編VOL.77
担当:安全インストラクター 武田信彦
「下校時」から、防犯意識が欠かせない
私が暮らす地域でも、ランドセルを背負った新1年生が元気に登校しています。入学から約一か月が過ぎ、通学や学校生活にも少しずつ慣れてくる頃でしょうか。さて、2023年4月20日(木)の読売新聞生活面に、「留守番 下校中から注意」という記事が掲載されました。市民防犯の視点から、私もアドバイスやコメントをしております。
本来、防犯講師の立場としては、「子どもだけにしない」ことが最善の防犯対策である以上、子どもだけでの留守番を推奨することはできません。しかし、さまざまな事情で留守番させざるを得ない現状も踏まえ、防犯のコツやヒントを紹介しています。そもそも留守番の前に、まずは下校時の通学路等での防犯対策を忘れてはいけません。悪意や犯意がある者に尾行され、集合住宅の敷地内や自宅周辺で犯罪被害に遭うケースが後を絶たないからです。こちらのコラムでもくり返し伝えているように、周囲をしっかり確認すること、特に自宅ドアのカギを開ける際は、必ず後ろを振り返り、安全確認をしてから家へ入ることを習慣化してください。
留守番時の防犯対策のコツを紹介します。
- カギかけの習慣をしっかり教えましょう
- インターホンや固定電話には応対しないことを徹底しましょう
- 子どもと保護者との連絡手段を用意しましょう
- 逃げ込める場所を確認しておきましょう
玄関ドアはもちろん、窓のカギもしっかりかけるように伝えましょう。
特に子どもだけで出入りする際は、玄関ドアの施錠を忘れる場合があります。
玄関に「カギをかける!」などのメモを貼っておくこともおすすめです。
予定外の訪問者には応対しないことが安全です。
配達などは、保護者がいる時間帯に指定するようにしましょう。
固定電話は、留守番電話や転送サービスなどを使い、子どもが応対しないよう準備しましょう。
携帯電話であれば、不特定多数からの連絡を避けることができます。
また、子ども用のキッズ携帯を選ぶ、ネット利用のフィルタリングをかけるなど、携帯電
話そのものについても安全対策を考慮して選びましょう。
留守番の際も、万が一の場合に逃げ込める場所を確認しておきましょう。
自宅の近くにある公共施設や、子どもになじみがある場所がおすすめです。
近所に住む保護者同士で「逃げ込める場所」を協力し合うのもよいでしょう。
自宅はプライベートな空間のため、地域の見守りや助け合いの力も及びません。各家庭でしっかりと準備・確認をすることがもとめられます。
子どもの目線を大切に、家庭で少しずつ留守番の練習を
新聞記事の中でも述べていますが、「留守番ができるようになる年齢」は、一概に決めることはできません。個々の発達段階により、判断・行動できる幅も異なるからです。だからこそ、留守番が必要になる場合は、大人と一緒に少しずつ練習してあげましょう。その際、大人の目線ばかりでなく、子どもの目線に合わせて準備・確認する意識が重要です。
- 子どもと一緒に安全の確認をしましょう
- 大切なことはメモに書いておきましょう
- 緊急連絡・通報について教えましょう
- 事故防止、災害発生時の準備もしておきましょう
家の中で安全に過ごすための方法をお子さまと一緒に確認してみましょう。 大人では気づかない「注意すべきポイント」が見つかるかもしれません。
忘れてはいけないこと、連絡先、逃げ込める場所などについてのメモを用意して、 お子さまがすぐにわかる場所に貼っておきましょう。
万が一を想定して、保護者や頼れる大人の電話番号を伝えておきましょう。 また、警察=110番、消防=119番についても念のため教えておきましょう。 迷った場合は、110番で大丈夫です(消防へ要請ができる)。その際に重要なことは「現在地(住所)」を伝えることです。住所についてのメモを用意しておくとよいでしょう。 また、住居の設備状況によっては、インターホン等に警備会社へつながる「非常ボタン」が設置されていることがあるので確認しておきましょう。
留守番の間、転倒、転落、火や水の事故などが発生しないように確認しましょう。 安全のためのルールは、大きめのメモで書いておくとわかりやすいでしょう。 また、万が一の際の飲料水や食べ物なども多めに用意しておくと安心です。
新聞記事の後半では、セコムIS研究所の専門家が、留守番時の事故防止や災害時の非常食などについても述べています。防犯のみならず、事故・災害時をも想定した安全対策を備えておくことがもとめられます。
安全インストラクター
武田 信彦 さん
犯罪防止NPOでの活動を経て、2006年より安全インストラクターとして活動を開始。「市民防犯」のパイオニアとして全国で講演やセミナーなど多数実施中。子どもたちを対象とした「安全ワークショップ」も好評を得ている。
著書には「SELF DEFENSE 「逃げるが勝ち」が身を守る」(講談社)ほかがある。