コラム
ネット 2023年、対話型AIの利活用が始まる!
専門家コラム:ネット編VOL.36 担当:石川 千明
ネットの利活用に新ツールが爆誕!?
専門家コラムのネット編が開始されたのは2020年3月でした。
そう、コロナ禍に突入とともに始まったのです。
そして2023年5月8日からコロナ感染症が5類になりました。
まだ感染が0ではありませんし、GWに拡大する恐れもあるとの報道もあり油断はできませんが兎にも角にも非常時が平時に変わりました。
このコラムが始まった年にGIGAスクールが始まり、『ネットを使わせない』から『ネットを使う』時代に日本は大きく舵を切りました。ゲーム・動画・SNSは大好きな日本人ですが、ネット、コンピュータの利活用は苦手な人が多いそうです。
そんな私たちのところにも『ChatGPT(チャットジーピーティー)』の波が押し寄せてきたのです。
「ChatGPT」とは?
皆様はもうChatGPTは体験されたでしょうか?
ChatGPTとは、アメリカのOpen AI社が開発した、人工知能(AI)を使ったチャットサービスのことです。
公式サイト(※)にメールアドレスとパスコードを登録すれば無料で利用することができます。
ChatGPTは私たちが入力する質問に対して、まるで人と対話しているように自然に答える技術を搭載しており、日本語でも自然な会話ができること、瞬時に色々な角度から答えを導きだしてくれること、ただ答えを出すだけではなく、分かりにくいところを質問し理解を深めていくこともできます。
そしてこのAIの機能を利用したサービスが次々と登場しており、Open AI社のサイトを利用しなくても、知らない内に様々な場面で利用していくことが増えていくでしょう。
ChatGPTの出現は、インターネットの普及、スマホが登場した時と同等の大きな曲道になると感じています。
※ Open AI社公式サイト
利用のための制限や気をつける点は?
ChatGPTには一般的な利用にあたっての制限や気をつけることがあります。
①個人情報を入力しない
②著作権や商標権の尊重
(ChatGPTからの引用の場合はそれを明記すること)
③不正利用の禁止
(違法行為についての助言を求める等)
④ファクトチェックをする
(本当かどうか調べてから使う)
⑤年齢制限
(日本では13歳未満は利用不可。18歳未満は保護者や後見人の許可が必要)
利用規約については流動的で2023年3月にも年齢制限について改定が行われています。
当初は年齢制限などはありませんでしたが3月1日付で利用規約が改訂され、年齢制限についての記載が追加されました。利用前にOpen AI社の利用規約(※)を確認することが重要です。
※ Open AI社利用規約
便利だけど嘘も多い?
私の知り合いのある人が言った言葉です。
『今のChatGPTは世界中の本を読んだ4歳児』
なるほど!と思いました。4歳児は見たこと聞いたことをそのまま伝える年齢です。世界中の本を読んだ4歳児がさも本当のことのように話をつないで伝えてきている。
ChatGPTに聞くと、いかにも正しいと思える書き方で、実は嘘がたくさんあるのです。
知っている、ある程度知識があることについては嘘を見破れるけれど、知らないことだと鵜呑みにしてしまう可能性があります。なので④のファクトチェックが欠かせません。
大人ならわかる程度のことでも子どもなら?
やはり利活用するためにはそれ相応の判断ができる年齢が必要になるということでしょう。
子どもに使わせる際には必ず一緒に使うこと、情報源のファクトチェックについても一緒に行うことで、子どもたちがより健全な方法でAIの利活用ができるようになると思います。
AIの時代に求められることは?
今は4歳児レベルでも今後バージョンアップするごとにどんどん賢くなっていくでしょう。
対話型のAIは、自動応答システムによるカスタマーサポート、プログラミング、案内文、広告の作成など、様々なサービスに利用でき、ICTの時代を大きく変えていくことは必至です。
こういう時代に私たち保護者に求められるのは、AI技術についての情報収集を行い、利用する上での基本的な知識やスキルを身に付けること。学んだ知識を元に、子どもたちが利用する上でリスクや注意点の適切な指導を行うことです。
そしてAIの時代を生き抜く力が求められます。
生き抜く力とはテクノロジーに精通することだけではありません。
重要なのは、創造的思考力、問題解決能力、コミュニケーションスキル、自己管理能力、そして学習意欲のような人間の持つ人間らしいスキルや能力です。
AIは情報処理に優れていますが、人間らしい感性やクリエイティビティを合わせ持っているわけではありません。
人が持つ人らしい能力を高めることこそがAIに負けない、AIの時代を生き抜くスキルになっていくと私は考えています。
石川 千明さん
(株)カプコンでゲーム企画を担当。 退職後web企画制作、コンサルタントとして活動。'01年~子育て支援グループいこま育児ネット設立、'08年~自治体、学校等でICT支援活動を開始。それらの経験また母親目線から、わかりやすくネットトラブルの現状と対策を解説する。生駒市人権審議委員(22年任期満了)、森のムッレ教室リーダー、防災士など多方面で活動中。