コラム
ネット 「子どもにスマホを貸すときは?」スマホ時代の孫育てを考える
専門家コラム:ネット編VOL.38 担当:松田 直子
スマホのある孫育て時代がやってきた
乳幼児を持つ子育て世代にとって、育児の頼れるサポート役としておじいちゃん・おばあちゃんが大きな存在であるという場合も多いのではないでしょうか。でも預けている間、孫にねだられるままスマホで動画見せ放題で...というお話も耳にします。子どもにとっては、スマホのルールから解放され、羽を伸ばせる時間になっているのかもしれません。
一方でおじいちゃん・おばあちゃんにとっては、自分たちが子育てした時代にはなかったスマホが、子育てのシーンに当たり前に存在することに戸惑いがあるのかも。そこで、おじいちゃん・おばあちゃんはもちろん、子育てに関わっている皆さまへ、乳幼児にスマホを渡す時のヒントをお伝えしたいと思います。
安全に動画を見るために知っておきたいこと
乳幼児がスマホで何をしているのかといえば、圧倒的に動画視聴です。
YouTubeを使うのであれば、「設定」の中の「制限付きモード」をオンにしましょう。完全ではありませんが、成人向けコンテンツを含んでいる可能性のある動画が表示されないようになります。自動的に表示されるおすすめ動画をダラダラと見続けてしまう、とお困りの場合は、「自動再生」をオフにしておきましょう。「ひとつ見たらおしまいね」と最初に約束しておけば、けじめをつけやすくなります。また子ども専用無料アプリ「YouTube Kids」なら、コンテンツに年齢制限があるので安心ですし、視聴時間を管理することもできるので便利です。
スマホの画面をテレビに大写しにして一緒に楽しむこともおすすめです。子どもがどんな動画を見ているのか確認できますし、大人が一緒に楽しんでくれれば子どもにとっても嬉しいものです。内容について質問すれば、得意になって説明してくれるでしょう。動画をきっかけにコミュニケーションが豊かになるのは嬉しいことですね。
乳幼児にスマホを使わせるときは「会話」を意識
最近ではスマホの知育アプリも種類が豊富になってきて、絵本アプリを使えば読み聞かせをすることもできます。紙の本ではそろえきれないほど豊富なタイトルが並んでいるので、本選びから楽しめます。
お散歩のときにめずらしい花や昆虫を見つけたら、スマホで写真を撮ったり、名前を一緒に調べたりするのも楽しいですね。
葉っぱや木の実を使った工作の紹介動画もたくさんあります。動画を見たら実際に公園に足を運び、作品作りに挑戦してみてはいかがでしょう。
いずれにしても、子どもにスマホを使わせるのであれば「個々の世界に浸る使い方」ではなく、「子どもとの会話が増える使い方」を意識してみましょう。
子どものスマホ利用、成功の秘訣
各家庭でのスマホのルールを作るときは、保護者のかたとお子さまで話し合うのはもちろんのこと、最初からおじいちゃん・おばあちゃんにも参加してもらいましょう。せっかく作ったルールなら、絵に描いた餅にしたくはありません。子どもを取り巻く大人がみんなで一緒に考えて、共通の意識をもつことが大切です。
そしてもうひとつのポイントは、あまり無理のない最小限の「守れるルール」にすることです。約束のハードルを下げることで、守れた達成感を子どもに味わってもらいましょう。もちろん守れたときはオーバーなくらいにたくさんほめてあげましょう。
スマホがあることで眉間にしわをよせるのではなく、笑いや楽しさが増える使い方を意識することが、子どものスマホ利用の成功の秘訣だと思います。
静岡県ネット安全・安心協議会委員
松田直子さん
NPO法人イーランチは、地域の情報化支援と女性の社会参加の応援を目的に、2003年4月静岡県焼津市において設立。主な活動は、母親目線を大切にする「インターネット安全教室」、子どもたちのネット利用の見守り活動「学校ネットパトロール」など。内閣府作成リーフレット「スマホ時代の子育て」監修や東京都私立幼稚園連合会「都私幼連だより3月号」「赤ちゃんとママ」「月刊ファミリス」他、多数執筆。