公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

ネット 新学期スタートの際に立て直しておきたい、スマホ・ネットの使い方

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:ネット編VOL.40 担当:三井 俊和


夏休み明け、スマホやネットで注意が必要な点は?

長い夏休みも終盤となり、もうすぐ新学期というお子さんも多いのではないでしょうか。 長期休みは、普段の生活とは違って学校に行くという日課がない分、自由な時間が増えることと思います。
そんな中で、スマーフォン・インターネットの使用状況はどうなっているでしょうか?

ふだんはスマホ・ネットの使用ルールを決めていても、長い夏休み期間にはそのルールが崩れてしまうことがよくあります。学校がない期間も友達と連絡を取り合いたい、帰省中や旅行中だから長い時間使いたい、宿題や調べものに使っていたらつい関係ないものを見ていた...など、「夏休みだしいいか」ということが起こりがち。ふだんは学校がある時間帯も、夏休み中は子どもだけで過ごしていてスマホやネットの使用についてはまかせている、という場合もあるかもしれません。

長期休みに崩れてしまったルールをそのままにして新学期を迎えてしまうと、あいまいなままルールもいつの間にか形骸化してしまいます。今回のコラムでは、新学期を迎える前に立て直しておきたいポイントについて、考えていきたいと思います。

・長時間利用
・スマホ・ネットの使用範囲
・SNSへの投稿
の3点です。

長時間利用に陥っていませんか?

普段の生活では日中の多くの時間を学校や部活・習い事などで過ごしている子どもたちですが、夏休みになるとそうした時間の多くが家族や友だちと過ごす時間、あるいは一人で過ごす時間に変わります。

そうなるとスマホやインターネットに接する時間も自然と増えてしまいます。 また、朝に学校に登校するという習慣がいったん途切れることになり、生活リズムの変化から、夜遅くまで使ってしまうということも起こりがちになってきます。

夏休みの終盤に、新学期を見すえてスマホ・ネットの使用時間について、ルールを再確認しましょう。ご家庭でしっかりとコミュニケーションを取り、今の使用ペースで新学期が始まったときにどうなるかを話し合ってみましょう。できれば新学期の始まる前の数日前までには、学校があるときと同じ使用ルールに戻しておきたいものです。


夏休み中に、スマホ・ネットの使用範囲が広がっていませんか?

長期休みを利用して、実家に帰省したという方もこの夏は多いかと思いますが、そうしたふだんと違う環境でのスマホ・ネット使用をきっかけに使用範囲が広がることもあるようです。

祖父母の家に行ったときにゲームを買ってもらったり、親戚とゲームをしたりネットをしたりと普段触れている情報から、さらに広い範囲の情報に触れることになります。また、一人でスマホ・ネットを使用する時間が長くなるということもあるかもしれません。
その中で、お子さんの発達にあった情報に触れていくだけでなく、「うちの子にはまだ早い!」という情報に触れた可能性もあります。

情報の触れ方には注意をし、保護者のかたが気にかけていただければと思います。今一度、フィルタリングの設定を見直したり、危険なサイトなどについて話し合ったりするとよいでしょう。

SNSに、不用意な投稿をしていませんか?

SNSへの投稿にも、注意が必要です。
ストーカー・防犯という2つの視点から考えてみたいと思います。

近所やレジャー施設などで遊んでいる姿を動画や写真に撮ってSNSに投稿することは、楽しい思い出を友だちと共有するという意味ではよくある流れかと思います。しかし実は、子どもたちをねらう犯罪者からすると情報の宝庫でもあります。
遊んでいるところの背景から普段行く遊び場所を特定したり、SNSの投稿から予定を推測して待ち伏せしたりと、楽しいだけでなく犯罪に巻き込まれる可能性もあります。

家族旅行中の投稿などは、泥棒に対して家が留守であることを示してしまうことにもなりますので、防犯上もあまりよくなく、それをきっかけに窃盗に入られるという事件も実際発生しています。SNSの投稿によって、意図しない情報を犯罪者に提供してしまうリスクがあると留意することが必要です。

お子さんの投稿に、個人情報が特定されてしまうようなものがないか、改めて確認してみましょう。思わぬところから場所が特定されるリスクがあることや、旅行中にリアルタイムで投稿しないことなどを、お子さんと話し合ってみましょう。秋にもシルバーウイークや連休がいくつかありますので、犯罪に巻き込まれる危険性が減るでしょう。

スマホ・ネットはとっても便利なもの

いろいろと書いてきましたが、スマホ・ネットはうまく付き合えば生活を快適にしてくれます。同時に、子どもたちの発想や考えに対してプラスに働くことが多いツールでもあります。

夏休み中に使用ルールやモラルが崩れてしまったという場合は、ぜひ新学期を迎える前にお子さんとしっかり向き合って、使用状況を確認したり、ルールを再確認したりするとよいでしょう。長期休み明けも、スマホやネットを上手に使いこなし、充実した生活を送れるよう応援しています。



一般社団法人関西ICT協会・理事、京都府警察ネット安心アドバイザー、近畿総合通信局e-ネットキャラバンplus認定講師

三井 俊和さん

2010年よりインターネットの危険性などの情報モラル啓発活動に関わり、現在では企業のSNS活用などの企業向け活用講演なども実施。1児の父として父親視点から、わかりやすく現状と対策を解説している。

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