公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

ネット 災害発生時のSNS利用とお子さまへの対応

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:ネット編VOL.45 担当:石川 千明


令和6年1月1日に、令和6年能登半島地震が発生しました。
まずは被災者の皆様へ、心よりお見舞い申し上げます。一日も早い復旧と復興をお祈りいたしております。

私たちは、このような震災が発生したとき、SNSを通じて情報を得ることが一般的になりました。
しかし残念ながら今回の震災でもフェイク画像やまちがった情報、悪ふざけの情報など心無い書き込みを多数見かけ、ネットリテラシーと情報の取り扱いについての力を養う必要があることを改めて強く感じています。

SNSには利点もありますが、このような非常時においては正確な情報を得ることが最も大切です。まちがった情報に振り回されないために、SNSをどのように使ったらよいのか、またご家庭でそれをお子さまにどう伝えたらよいのか、そのポイントをまとめてみました。


・公式アカウントの情報を確認しましょう
災害に関する正確な情報は、気象庁や、都道府県の災害対策本部など公的機関の公式アカウントを確認しましょう。SNSで話題になっていても、正しい情報とは限りません。すぐに鵜呑みにせず、信頼性の高いニュースサイトなど複数の情報源を確認するようにしましょう。お子さまがSNSでの情報について話していたら、「本当に正しい情報かな?県の公式アカウントでも確認してみよう」などと一度立ち止まるよう、うながしましょう。

・フェイクニュースの可能性を常に考える
SNSや動画サイトで広まる情報は必ずしも正しいとは限りません。フェイクニュースや不正確な情報である可能性を常に考えておきましょう。知っている人から送られてきたものであっても、フェイクだと気づかずに意図せず拡散してしまっている場合もあります。フェイクニュースにだまされないよう、また、自分がフェイクニュースを拡散する側になってしまわないよう注意する必要があります。

お子さまには「最近こんな情報が回っていたようだけど、後からフェイクニュースだとわかって話題になっているみたい」など、実際のフェイクニュースの事例などを挙げて、情報には不確かなものが混じっているということを伝えておきましょう。さらに、「どうしてこういうフェイクニュースを流すんだろうね」と、フェイクが生まれる心理について考えたり、「フェイクニュースかどうかどうやって見分けたらいいかな」と、どこを確認すれば正しい情報を手に入れることができるかなど考えたりしてみましょう。家族での話し合いが、ネットリテラシーを高めるきっかけとなります。また、お子さま自身がおもしろがってフェイクニュースを拡散することはもちろん、意図せず拡散してしまうことのないよう、「まちがった情報が広まるとたくさんの人が困るよね」「こういうメッセージが回ってきてはいない?」と確認しておきましょう。


大きな災害が起こると、ニュース映像でショッキングなものが流れ続けたり、SNSで情報が爆発的に広がったりすることもあります。こうした情報に触れすぎてしまうと、心が不安定になってしまうことがあります。SNSを見続けたりテレビをつけっぱなしにしたりせず、メディアをオフにする時間をとりましょう。

お子さまの心を守るために、SNSやテレビを消してゆっくりお子さまと話す時間を作りましょう。そして何より大切なのは、お子さまのまわりに「頼れる大人」がいることです。災害のさなか、保護者のかたがたも大変かと思いますが、お子さまがつらい気持ちや不安な気持ちになったときに相談できる場所になりましょう。保護者は「相談できる」相手だということをきちんと伝えておいてください。そしてお子さまが不安な気持ちを話した場合には、次のような対応をしてみてください。

1.傾聴する
お子さまの声に真摯に耳を傾け、受け止めてください。
むやみに否定せず、心にたまっている気持ちを少しずつ吐き出させること、そしてその気持ちを受け止めることが大切です。

2.安心感を与える
保護者の状況は安全であることを伝えます。家族や周りの人々が協力して支え合っていることを強調し、お子さまに安心感を与えましょう。

3.正確な情報の提供
不安を解消するために、正確な情報を提供します。お子さまの年齢や発達段階に合わせて、理解しやすい言葉で説明しましょう。SNSなど不正確な情報を見せ続けることは避けましょう。

4.気持ちを伝え合う場面を設ける
お子さまが感情を表現できるような環境を整え、安心して気持ちを打ち明けられる場所や時間を作りましょう。

5. 専門家の支援を受ける
必要に応じて心理カウンセラーや専門家の支援を受け、お子さまの心のケアを行います。

非常時には大人も心に余裕を持つことが大変ですが、お子さまにとって保護者のサポートや声かけは安心して生活するために必要不可欠です。どうか1日でも早く、落ち着いた生活に戻れることをお祈りしております。


石川千明公式サイト

NPO法人 奈良地域の学び推進機構・理事、京都府警察 ネット安心アドバイザー

石川 千明さん

(株)カプコンでゲーム企画を担当。 退職後web企画制作、コンサルタントとして活動。'01年~子育て支援グループいこま育児ネット設立、'08年~自治体、学校等でICT支援活動を開始。それらの経験また母親目線から、わかりやすくネットトラブルの現状と対策を解説する。生駒市人権審議委員(22年任期満了)、森のムッレ教室リーダー、防災士など多方面で活動中。

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