公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

ネット キャッシュレス時代のおこづかいの使い方(ゲーム課金)を考える

子どもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:ネット編VOL.46 担当:松田 直子

子どものオンラインゲーム...保護者の心配事は?

子どもたちが大好きなゲームは、遊びのひとつとして子どもたちの生活にすっかり根付きました。楽しく安全に楽しむ分には問題ありませんが、ゲームに対する保護者の心配事は、ゲームが登場したころから尽きることはありません。

国民生活センターによると「20歳未満のオンラインゲームに関する相談件数が増加傾向にある」という報告もあり、中には小学生の子どもがオンラインゲームで150 万円以上も課金してしまったという驚きの相談事例もあります。ゲームの課金については保護者として知っておきたいことのひとつといえるでしょう。


課金トラブルが起きてしまった時の対処法

もし課金トラブルが起きてしまった場合は、突然の事態に動揺すると思いますが、冷静に最寄りの消費者センターや消費者ホットライン「188」に相談しましょう。
未成年であれば、民法の「未成年者取消権」により取り消すことができる可能性もありますが、オンラインゲームでは未成年者が契約したことを証明することが難しく、必ずしも取り消されるとは限りません。相談先の手を借りながら、ねばり強く対応していくことが必要です。


相談に行く前の準備

相談をスムーズに進めるために、課金の請求書、利用明細、課金の通知メール等は保存しておきましょう。(「ごみ箱」や「迷惑メールフォルダ」も確認)
またゲームアカウントも課金取り消しの相談に必要な情報です。「これ以上、子どもにゲームをさせてはいけない」と、あわててアカウントを削除するようなことのないようにしましょう。ほかにも子どもから課金した時の手順や状況などをよく聞いて、情報を整理しておくと、相談や解決に役立ちます。


ゲームをするときは子ども専用アカウントを

しかし、なんといってもそんなトラブルにならないよう事前に対策をしておきたいところです。それにはまず子どもがゲームをしたいと言ったら、子ども専用アカウントを作ることです。基本は課金できないように設定しておき、課金したい時には大人に相談する、というような約束をしておきましょう。

さらに、子ども専用のアカウントであれば、保護者は子どもがどのくらいの時間ゲームを利用しているかがわかったり、子どもの年齢により不適切なコンテンツに触れるリスクが軽減されたりと、見守りがしやすくなります。また一部のゲーム機では、子ども向けのアカウントでは他のプレイヤーとのコミュニケーションを制限する機能があるなど、子どもの安全性を高めることができます。


未然防止にも必要な、日頃のコミュニケーション

そして、子どもがどんなゲームが好きなのか関心を寄せることも大切です。子どもと一緒にゲームをやってみるのが一番わかりやすいのですが、それが難しい場合はYouTubeなどで、子どもがどんなゲームをやりたがっているのか、ゲームの雰囲気だけでも把握しておきたいものです。そして課金方法なども事前にチェックしておけば安心です。


キャッシュレス時代のおこづかい教育

キャッシュレス化が進み、子どもに金銭感覚を教えるのが難しいという声も聞かれるようになりました。高額課金をしてしまった子どもは、もしかするとお金の価値を理解せず、まさにゲーム感覚で課金してしまったのかもしれません。
私たち大人もキャッシュレスで暮らしが回るようになってきました。現金をあつかわないことで、子どもにお金の価値を想像させ、教えることはこれまで以上に難しくなっています。

「お金は自然と手に入るものではない」「使えばなくなる」「お金がないと食べたいものや必要なものが買えない」という基本を教えるためにも、まずはリアルに現金でのおこづかいを持たせ、どう使うかを経験させてみてはいかがでしょう。

参考:
国民生活センター[2021年8月12日:公表]
「スマホを渡しただけなのに...」「家庭用ゲーム機でいつの間に...」子どものオンラインゲーム課金のトラブルを防ぐには?

国民生活センター[2021年10月8日:公表]
未成年の子どもがスマホゲームで高額課金してしまった!



NPO法人イーランチ

NPO法人イーランチ 理事長
静岡県ネット安全・安心協議会委員

松田直子さん

NPO法人イーランチは、地域の情報化支援と女性の社会参加の応援を目的に、2003年4月静岡県焼津市において設立。主な活動は、母親目線を大切にする「インターネット安全教室」、子どもたちのネット利用の見守り活動「学校ネットパトロール」など。内閣府作成リーフレット「スマホ時代の子育て」監修や東京都私立幼稚園連合会「都私幼連だより3月号」「赤ちゃんとママ」「月刊ファミリス」他、多数執筆。

普及啓発リーフレット集

SNSでこの記事をシェアする

一覧に戻る