公益財団法人ベネッセこども基金

コラム

ネット ネットやスマホの約束事、こどもとどう話す?

こどもの安心・安全を守る活動

専門家コラム:ネット編VOL.52 担当:谷山 大三郎


最初に決めたきりになっていませんか?ネット・スマホの約束事

新しい学年にも慣れてきたころ、友人関係も少しずつ深まってきているかもしれません。
今どきの友達付き合いにつきもののスマホやネットでのコミュニケーションについて、何か心配事はありませんか?
まだ先のことのように思える夏休みも、意外とあっという間に来てしまうもの。
こどもだけでネット・スマホを使う時間が増える時期を迎える前に、こどもと一緒にインターネットやスマホの使い方について確認し、必要に応じて約束事を見直しておくことが大切です。

ここで重要なのは、保護者が一方的に押しつけるのではなく、こどもと対話しながら一緒に約束事をつくっていくことです。こども自身が納得し、自分ごととしてとらえ、考えることが、トラブル防止にもつながります。


【インターネット・スマホの使い方についての、スムーズな話し合い方】

約束事を決めていくときには、次のようなステップで進めるとよいでしょう。

① 保護者が心配していることを率直に伝える
例)「最近は夜遅くまでスマホを使っていることが多いみたいだけど、睡眠がしっかり取れているか心配してるよ」

② おたがいに意見を出し合う
例)「夜8時以降はスマホをリビングの充電器に置いておくっていうのはどうかな? それなら家族みんなで安心できると思うけど、どう思う?」

③ 話し合って決めたルールを、書き出して明文化する
紙やホワイトボードなどに書いて、目につく場所に貼っておくと、家族全員で意識しやすくなります。


こうして話し合って決めた内容も、こどもの成長や状況の変化に応じて、少しずつ見直していけるものです。新しい心配事や問題が起きたときには、その都度、話し合って内容を見直し、追加・修正することが大切です。定期的に見直す習慣をつけると、こども自身の成長にもつながります。


約束を守れなかったときこそ、話し合いのチャンス

いっしょに決めた使い方をこどもが守れなかったとき、「約束したのに...」と注意の言葉が出てしまうこともあるかもしれません。そのようなときは、その理由や背景に目を向けることが、より深い理解と支援につながります。

たとえば、利用時間を守れなかった場合:

  • 本人は望んでいないが、付き合いで友達とのやりとりが深夜まで続いていた
  • 勉強や部活動の悩みから、現実逃避として使っていた

こうした背景があるのかもしれません。
ただ注意するのではなく、「何か困っていることはない?」と声をかけることで、こどもも本音を話しやすくなり、対話のきっかけにつながります。


こどもとの対話が、解決のカギに

ネット・スマホの約束事やルールづくりは、あくまで問題解決の「手段の一つ」にすぎません。
もし、悩みやトラブルの根っこにある原因が別にあるなら、それに気づき、いっしょに向き合うことが本当の意味での解決につながります。また、家庭だけで抱え込まず、学校の先生や外部の支援機関に相談することも大切な手段の一つです。
こどもの年齢や性格、家庭の状況に合わせて、「そのこどもに合ったスマホとの付き合い方」をいっしょに探っていくことが、何よりのトラブル予防になります。

ネット・スマホの使い方について考える時間をきっかけに、こどもと話し合う時間が生まれ、信頼や安心感を育む対話の場になればと願っています。


スタンドバイ株式会社

スタンドバイ株式会社 代表取締役

谷山 大三郎さん

1982年12月生まれ。スタンドバイ株式会社代表取締役、一般社団法人てとり代表理事、千葉大学教育学部附属教員養成開発センター特別研究員。いじめに苦しむこどもたちがいつでも相談、報告できるアプリSTADNBYの普及*1、アスリートと協働して、いじめなどの悩みを相談する窓口を周知するプロジェクトの推進*2、いじめ防止啓発を目指した学校向け教材の開発に取り組む。

*1 https://standby-corp.jp

*2 https://standbyyou.jp/

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