公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

【第一回助成先団体のご紹介 Vol.3】一般財団法人ヒューマンライツ協会(大阪府)

一般財団法人ヒューマンライツ協会

代表理事 寺本様

経済的困難を抱える子どもの学び支援

第1回(平成26年度)「経済的困難を抱える子どもたちの学習支援活動助成」の助成先である、大阪市の一般財団法人ヒューマンライツ協会。

*2016年1月より一般財団法人ヒューマンライツ教育財団から団体名変更されました。

財団では、助成を活用した事業として、高校中退者等の再チャレンジ支援事業に取り組み、市の交流センターの会議室を利用して毎週火曜・木曜の週2回、フリースペース『マナビバ!』を開いています。

今回は、「マナビバ!」運営に関わられている皆さんにお話をうかがってきました。

************************************

2016021001.jpg
お話をうかがった皆さん。左から、寺本良弘さん(ヒューマンライツ協会代表理事)、菊池伊代さん(フリースペース マナビバ!事務局)、田中勝則さん(ヒューマンライツ協会)、園田瞳さん(フリースペース マナビバ!事務局)

■『マナビバ!』開設の背景

『マナビバ!』は、高校中退、不登校あるいは中卒後進路未決定などの状況にある若者のためのフリースペースとして開設されました。(2015年度現在:開設2年目)

「地域の高校の中退率が高く、ではその若者たちはその後どうなるのか、という課題意識があり、この事業をスタートしました」(寺本さん)

運営に当たっては、課題意識を共有する、地域の公立高校、A'ワーク創造館(大阪地域職業訓練センター)などとも連携し、支援ネットワークを構築しながら取り組まれています。

■現在の運営状況

『マナビバ!』には、2015年1月現在、10~20代の3名の方が参加されているそうです。

それぞれに課題を持たれて、この『マナビバ!』にいらっしゃっています。そのため、就労や高校入学など将来の目標も異なります。

10時~16時までのオープン時間のなかで来所時間は自由、このスペースで過ごす時間のなかでそれぞれが実現したい目標に応じて学習に取り組まれます。

園田さん、菊地さんに加え、大学生のスタッフ、ボランティアで協力いただいている方々がサポートする形で場が運営されています。

2016021602.jpg
(「マナビバ!」会場)

「学習では市販教材を活用しています。それぞれ学びたい学習内容がさまざまで、単元別のものが対応しやすい状況です。『できた』という体験を感じてもらいたいです」(園田さん)

「学習だけでなく、月一回程度、季節行事などに合わせたイベントや外出も企画しています。12月はクリスマス会を行い、その準備としてパステルアートでカードを作りました」(菊地さん)

イベントでは単純な楽しみというだけでなく、将来のことを決めてその準備に取り組むことや、体験のとりもどしについても意識されているそうです。

2016021603.jpg

2016021604.jpg

■今後の活動について

現在利用している大阪市の施設の廃止に伴い、今年4月からは団体が新設した地域交流拠点内に場所を移して、『マナビバ!』の運営を継続するとのことです。この施設には、カフェや会議室など交流センター機能があるほか、保育園やサービス付き高齢者住宅も入居します。

「団体としては投資を伴う大きなチャレンジとなりますが、この施設を活かして、子どもの支援領域においては、現在の『マナビバ!』事業だけでなく、小~中学生を対象とした学習支援・居場所支援まで拡大していきます。学校の長期休み期間には子どもに昼食を出す取り組みも考えています。
『マナビバ!』事業は、我々の取り組む地域サポートの大きなデザインのひとつとして考えています」(寺本さん)

■ベネッセこども基金への期待

最後に当団体への期待をお話しいただきました。

「社会のさまざまな支援制度からも漏れている存在がいます。今後は、民間の団体として助成を行うだけでなく、そうした方々の課題について発信・共有することを通して、広く社会にアプローチすることを考えてもらいたいです」(寺本さん)


************************************


一般財団法人ヒューマンライツ協会(http://www.human-ref.jp/)
1993年、世界の人権侵害問題、貧困や飢餓問題、国内の人権問題や労働問題の調査・研究、並びに次代を担う人材育成を目的に設立。
奨学金事業、研究事業に取り組む一方で、地域の子どもたちの基礎学力向上を目指した学習支援活動にも新たに着手し、現在に至る。

SNSでこの記事をシェアする

一覧に戻る