助成団体紹介
【助成先訪問】認定特定非営利活動法人ポケットサポートの取り組み
認定特定非営利活動法人ポケットサポート
代表理事 三好祐也様
認定特定非営利活動法人ポケットサポート(活動拠点 岡山県)は、病気の子どもたちやご家族を支援するため、「学習・復学支援」「交流イベント」「各種相談・機関への連携」の大きく3つの柱で活動を行っている団体です。ベネッセこども基金は、2016年度~2018年度の3年間、「自宅療養中の病弱児と学習支援者を双方向Webで結ぶ学習支援事業」に助成しました。ICTの基盤整備や運営を円滑に実施するのボランティア研究などに有効に利用していただきました。
ICTを活用した双方向授業「遠隔教育」
文科省は2018年9月、病気やけがで長期入院や自宅療養をしている小中学生がICTを活用した双方向授業「遠隔教育」を受けた場合、出席扱いとする通知を全国の教育委員会などに通達しました。この影響もあり、今後はさらにICTを活用した病弱児支援が全国に普及することが期待されています。ポケットサポートでは、以前より入院・自宅療養中の子どもたちと学校をICTを使ってつなぐ、大変重要な<中間支援>としての活動も行っており、2018年から岡山市小児慢性特定疾病児童等相互交流支援業務を請け負うなど、自治体からの支持も得ています。
このように重要な役割を果たす<中間支援>の存在の意義が広く認められ、ポケットサポートの活動をモデルケースとして全国に広がってほしいとの思いから、2019年度は「中間支援活動」に対して、ベネッセこども基金の助成を決定しました。
代表理事三好祐也さんは子どもと学校をつなぐ「地域連携コーディネーター」として「ICTプロデューサー」と連携して活動をされています。今までの活動内容や今後の取り組みについてお話を伺いました。
ICTを活用した学習支援をはじめようと思ったのは?
10年以上前に院内学級に通う中学生と担任の先生がスカイプをつないで話をしている場面をみました。ほんの15分くらいの出来事ではありましたが、直接学校に行けなくても先生やクラスの友達と実際に言葉を交わせる環境はすばらしいなと思ったのがきっかけです。
活動実績は?
過去4年間でのべ50回以上、入院中の子どもや自宅療養をしている子どもと学校をつないできました。小学生よりも中高生の利用が多いです。その背景には、定期テストがあることが影響しているようで、特に中間テストの前に分からない単元の授業を受けたいという声が多いです。また、冬の時期になると、感染症のリスクが高まり外出を控えなければならないなどの理由から、希望されるケースがあります。学習の場面だけではなく、例えば小学生の場合では、6年生を送る会などの行事に参加したいという希望もありました。
中間支援の活動を行うなかでの課題は?
学校、病院のそれぞれに配慮していくことが必要です。
学校では、ICTを活用して子どもと学校をつなぐわけですが、実際に双方の現場にスタッフが出向き、機械の設置や通信状況の確認などを常に行う必要があります。授業に関係者以外の人が同席することは、子どもたちの集中力が下がる可能性があることもあり、簡単ではありません。ですが、2018年から岡山市小児慢性特定疾病児童等相互交流支援業務を請負っているため、学校や病院の方々から信頼感を得やすくなったと感じます。
病院では、感染症予防の観点などから予防接種を受けないと院内への立ち入りができないケースや通信機器の利用制限がある場合もあります。当然のことですが、技術の進歩にも期待したいです。
<中間支援>にも高いスキルが求められています。機械を操作することになるので、ICTリテラシーが高い人員の確保が必要になります。また、子どもにとって最適な学習プランを設計して関係各所への連携を行う地域連携コーディネーターをどのように育成していくかも課題となっています。一人ひとりの子どもと向き合い実績を積み上げていくことで、多くの方にこの事業の重要性をご理解いただき、活動や支援の輪を広げていきたいと思っています。
ポケットサポートが実際に病院の中で子ども支援を行ってきたノウハウと、中間支援事業にチャレンジする中で得られる知見の双方を、今後他団体にも広く共有できればと思っています。
認定特定非営利活動法人ポケットサポート
https://www.pokesapo.com" target="_blank
過去3年間のベネッセこども基金での活動内容は下記をご参照ください。
2018年度実施 活動報告:こちら P5参照