公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

【助成先訪問】学習支援教室に来ることができない子どもたちへの訪問型学習支援をスタート! ~ 一般社団法人 栃木県若年者支援機構

一般社団法人 栃木県若年者支援機構

副代表 塚本竜也さん 学習支援事業部部長 吉井ひさのさん

経済的困難を抱える子どもの学び支援

 

今回訪問させていただいた一般社団法人 栃木県若年者支援機構は、2010年の設立時より

 ①一人ひとりの子ども・若者と、その家族を支える
 ②社会の中に子ども・若者のセーフティーネットをつくる
 ③子ども・若者を育む地域社会を築く

の3つを使命とし、困難を抱える子どもから若者まで連続的、一体的に学習支援を中心に活動されています。

主な支援活動

①学習支援活動「寺子屋」
団体設立時より、自主事業の無料の学習支援として「寺子屋」事業を実施。主に高校中退者や不登校の中学生を対象にボランティアの皆さんと共に学習支援活動を実施。現在7カ所で40人が利用。

②2015年度より「生活困窮者支援制度の学習支援」事業を受託
栃木県、宇都宮市、結城市の委託を受け実施。

③2016年度より「こども食堂」の運営開始
学習支援を行うなかで、子どもたちの生活や食の課題にも触れる機会が増え、少しでも子どもの食を支えたいとの思いから運営。毎週月曜日に実施し、平均利用者数は約20人。

④2018年度「キッズハウス・いろどり」を設置
子どもたちの、食べる、遊ぶ、学ぶ、安心をワンストップで支える拠点。クラウドファンディングで寄付を募り開設。「キッズハウス・いろどり」では、<こども食堂><学習支援教室><居場所プログラム>を実施。

⑤ 2018年度「学習支援サポートセンター」の開設
無料の学習支援教室を県内に増やすべく、学習支援教室の開設や活動をサポートする ため開設。個別の相談や、学習支援ボランティアの募集広報に力を入れている。

こども食堂

訪問した6月3日は毎週月曜日に実施している「こども食堂」の日!ということで現場を見学しました。責任者荻野友香里さんにお話を伺いました。

Q:献立や買い出し、料理は誰がどのように決め、運用しているのですか?

A:私がメニューを決めて買い出しをしています。地域の方が食材を持ってきてくださることもあります。料理はボランティアの方と一緒に協力して行っています。

Q:赤ちゃんを連れたお母さんもいらっしゃいますね。

A:「こども食堂」と言っていますが、子どもだけではなく、保護者や地域の方など誰でも利用できる場所にしています。子どもたちは食事が終わると宿題やプレイルームで遊ぶなど自由に過ごしています。そのため保護者の方同士は、ゆっくりご飯を食べながらおしゃべりを楽しめる憩いの場になっています。

こども食堂での学びの広がり

料理をしているボランティアさんのもとに数名の子どもたちがやってきて、 「わたしもやってみたい!」とトマトを洗い、卵を焼く姿が見られました。
食べるだけではく、食材を手にすること、料理の過程を見ることなど様々な「食」を通して、たくさんの学びが広がっていました。
子どもからお年寄りまで、誰もが気を休めることのできる地域に根付いた場である「こども食堂」が運営されていました。

(左)お話を伺った「キッズハウスいろどり」は、一軒家を借りて運営。
(中央)おいしそうなお食事。バイキング形式でご提供。
(右)メニューが書かれた黒板を玄関に掲示。

助成事業の内容について

『学習支援教室に来ることができない子どもたちへの訪問型学習支援と学習支援人材育成事業』において、ベネッセこども基金の助成を決定しました。事業内容について、副代表の塚本竜也さん、学習支援事業部部長の吉井ひさのさんにお話を伺いました。

Q:2019年度の活動予定を教えてください。

A:これまで行ってきた若者への訪問型支援(アウトリーチ)の経験をいかして、子どもへの訪問型学習支援の仕組みづくりを確立したいと考えています。また、学習支援ボランティア養成研修やファドレイズ強化の計画も同時に実施することで、2か年で事業の自立的継続と発展を見込んでいます。今まで手を差し伸べられなかった子どもたちへ「訪問型学習支援」という新しい支援を形にしたいと思います。

Q:子ども向けの訪問支援型学習支援を実施されようと思われた背景をお聞かせください。

A:若者向け支援では設立当初より訪問型の支援を行っていますが、子ども向けには支援が実施できていなかった現状があります。若者であればバスなどを利用し、ある程度遠い場所の支援場所へ自分で足を運べますが、子どもが行ける範囲は近場に限られてしまいます。そのような近くに支援場所がない子どもを取り残しているという現状を打破したいという思いから、今回の事業をスタートさせました。若者向け支援で培ってきたノウハウを子ども向けに仕組み化する、そんな土台作りの1年にしたいと考えています。

訪問を終えて

訪問時に出会った子どもたちは、「自分を見守ってくれる安心して過ごせる場所」で、のびのびと元気に過ごしていました。また、その場に集まる大人もとてもリラックスされており、 地域に根ざしたみんなが心地の良い空間になっていることが伝わってきました。 これからの事業活動によって、一人の取り残しもなく子どもの「学びたい」を実現できるモデルケースのひとつとなり、栃木県全域はもちろんのこと、全国に広がってほしいと思っています。

(左)学習支援事業部部長 吉井ひさのさん

(中央)こども食堂責任者 荻野友香里さん

(右)副代表 塚本竜也さん

 

●一般社団法人栃木県若年者支援機構:https://www.tochigi-yso.org/

SNSでこの記事をシェアする

一覧に戻る