公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

【助成先訪問】特定非営利活動法人シェイクハンズの「生きる力を育む学びの場」を見学してきました!

特定非営利活動法人シェイクハンズ

代表理事 松本里美様

経済的困難を抱える子どもの学び支援

特定非営利活動法人シェイクハンズとは

特定非営利活動法人シェイクハンズは、愛知県犬山市にある、国際理解・協力・多文化共生社会づくりに貢献することを目的としているNPOです。愛知県では、在日外国人の増加が著しく、日本語を全く理解できない外国籍の子ども達も増えてきています。犬山市は愛知県全体に比べると外国人の割合は多くはないのですが、犬山市の最南部にあるこの県営住宅には、在日外国人が多く住んでいます。ただし、学校での子どもの日本語へのサポートは充実しているとはいえません。

もともと国際交流のボランティアをし、フェアトレードのお店を持っていたのですが(現在もお店は営業中)、そこで知り合ったペルーの方の困りごとを聞くうちに、代表の松本里美さんは、「自分でやるしかない」と考えて、NPOを設立しました。

事業は主に、
 ①日本語教室・子どもの日本語・学習支援、
 ②保護者・大人への日本語教育・啓発活動、
 ③多様な困難を抱える子ども・若者支援子ども食堂など、
に取り組まれています。

ベネッセこども基金では、シェイクハンズの「生きる力を育む学びの場と尾張北部地域の子ども支援ネットワークづくり」事業に助成させていただいております。

「生きる力を育む学びの場」とは

>代表の松本さんは、外国にルーツのある子どもたちの学びの場として、寺子屋シェイクハンズを運営しています。そこでは元教師やボランティアスタッフとともに、学校の宿題などを中心に日本語を教えています。

教室を訪問すると、ペルーやポルトガル、中国やフィリピンにつながりのある子どもたちがそれぞれ持参した宿題などに取り組んでいました。私たちには明るく挨拶をして、日本語での日常会話もそれほど苦労なく話せている印象を受けました。ただ、松本さんによると、子どもたちは、家庭では保護者の母国語を使うが、外では日本語で話をするため、どちらの言葉も中途半端になってしまっていると言います。言語と心は同時に育っていくものだが、母国語と日本語の入り混じった言葉で生活をする子どもにとっては、「母国語」がない状態となり、結果、感情表現など親に言葉でうまく伝えることができないケースがみられるとのことでした。

特に学習となると、日常会話よりも抽象度があがるため、より難易度があがります。結果として高校進学ができても定時・通信制の学校になることが多く、多くが中退してしまうとのことでした。そうなると安定した仕事に就くことも難しくなります。そこで松本さんは、この子たちに必要なのは「生きる力」だと考えるようになりました。

「生きる力」を育むには

ある勉強会で知り合った白鴎大学の先生の話に、松本さんは大変感銘をうけたと言います。 その内容は、「こうなろうと自分で目標をもたないと学習への意欲もわかない」という主旨で、「生きる力」は、自らの体験や経験を通して育むものだ、という考え方でした。 そこで松本さんは、子どもたちとコミュニティ農園をはじめることにしました。そうすると、違う学校の子ども同士で仲良くなったり、喧嘩が減ったりするなどのよい影響が表れてきたそうです。また近隣の休耕地で畑を借りたところ、畑仕事が得意なペルー人のお父さんや地元の農家との交流ができ、近隣住民からも声をかけてもらうなど、地域とのつながりもできるようになったと言います。

私たちが訪問した日も、菜園で大きなズッキーニが採れた!と子どもたちが見せに来てくれました。思わぬ大物の収穫に目をキラキラさせながら、「おいしいのかな?」「どうやって食べるのかな?」とみんなで盛り上がっていました。

まだ子どもコミュニティ農園ははじめたばかりですが、松本さんは、こうして収穫した野菜などを朝市に出して売ってみるなど、仕事として意識させることもでき、それが子どもたちの意欲や生きる力になるとおっしゃっていました。

最後に

私たちが訪問した寺子屋シェイクハンズですが、最近は日本人の子の参加も増えてきているそうです。母親の長時間労働や、母子・父子家庭の増加もあり、日本人家庭でも子育ての困難さがより多様になってきているため、地域でのサポートが必要だと松本さんは言われていました。多様な課題に対応するためには、日本語指導という団体単体ではなく、地域とのネットワークが重要になります。そこで松本さんはネットワーク化が重要と考え、今回の助成には、ネットワーク化のリーダーシップをとっていくことを提案されて、連携会議も始められたそうです。尾張北部地域の子ども支援団体や困窮者支援団体、子どもの日本語支援団体等とネットワークを作り上げるだけでなく、保育園や学校、企業や大学、行政や市長とも密接に連携して、地域のリソースをフルに活用して子どもたちの環境づくりに取り組まれています。この事業が3年間で、形づくられるようにサポートしていきたいです。

シェイクハンズの活動について

詳しくはこちらから http://shake-hands.jp/

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