公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

助成事業紹介|訪問型学習支援へのトライアル~仕組みの確立と支援者育成~

一般社団法人 栃木県若年者支援機構

経済的困難を抱える子どもの学び支援

助成事業名:学習支援教室に来ることができない子どもたちへの訪問型学習支援と学習支援人材育成事業

重点実行項目
①訪問型学習支援活動 仕組みの確立とモデル活動実施
②学習支援ボランティア養成研修 プログラム確立と研修の実施
③ファンドレイズ
助成金額
初年度 2,840,000円
2カ年 5,340,000円
選考にあたっての評価点
・学習支援教室へ姿を現さない子どもへの支援をどうするかは共有すべき課題である。これまでの活動の蓄積を活かしたチャレンジで、3か年の計画や将来的な体制づくりも視野に入っている。
・モデル化、政策化につなげることを期待する。


無料学習支援・就労支援・居場所・子ども食堂・訪問支援




団体紹介 助成事業の詳細 助成事業のポイント・抱負

団体紹介

一般社団法人栃木県若年者支援機構は、困難を抱える子ども、若者を連続的に、総合的に支えることを目的に2009年に設立されました。若者の支援活動としては、就労支援として中間的就労訓練の実施や相談事業、居場所活動などを行っています。子どもの支援活動としては、無料の学習支援教室(寺子屋)の運営、委託事業の生活困窮世帯の子どもの学習支援活動を行ってきました。昨年、困難を抱える子どもの、食べる、学ぶ、遊ぶ、安心をワンストップで支える拠点、キッズハウス・いろどりを、宇都宮市内に開設しました。キッズハウス・いろどりは子ども食堂、居場所プログラム、学習支援活動、外国にルーツを持つ子どもの学習支援活動を展開しています。毎日たくさんの子どもたちが利用しています。このキッズハウス・いろどりは、市民の皆様からの寄付で開設、運営しています。

助成事業の詳細

    栃木県の子どもの貧困の現状は全国的な状況の類に漏れず深刻です。要保護児童数は1,227人、準要保護者数9,482人で、少子化の流れにおいても高止まりが続いています「平成26年度就学援助実施状況等調査」等結果)。また、子どもの学びに関わる課題として、栃木県内の小学校から高校におけるいじめの認知件数は年間4,343件、小中学校における不登校児童数は2,288人「平成27年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査結果」(栃木県)など厳しい状況が続いています。

    こうした困難な状況にある子どもたちのための無料の学習支援教室(寺子屋)を団体設立時より続けてきました。その延長線上で、行政からの委託による生活困窮世帯の子どもの学習支援事業を行うことになり、関わる子どもの数が近年一気に増えました。それに伴い、子どもたちが抱える多様な、具体的な困難についても知ることが増え、その対応として支援活動の幅を広げる努力をしてきました。キッズハウス・いろどりの開設はその一つです。

    しかしながら、幅が広がることで力不足も増えました。学習支援活動においてはスタッフの学習指導スキルの向上については力を入れてきましたが、学習面以外での子どもたちとの関わりについて学び、研修を行う機会を持つことはあまりできていませんでした。今後学習支援活動を子どもたちとの貴重な接点として捉え必要に応じたさらなる個別支援ができるようにスタッフの技量を向上していく必要があると感じています。

    また、学習支援活動においても教室へ来ることができない子どもたちへの支援はほとんどできていません。これまでも外に出ることが難しい子どもや、学習支援教室までの距離が遠く移動に困難があり教室に来ることができない子どもたちの存在を知る機会が多々ありましたが、その支援については具体的な形を作ることができていませんでした。訪問型学習支援活動を始めることで、教室に来ることができない子どもたちの支援も開始したいと考えています。

    そこで、今回の助成をいただき2つのことを実現していきます。

    一つは、家庭訪問型の学習支援活動の開始です。主に不登校の小学生、中学生を対象とした、来るのを待つのではなく、出向く学習支援を形にします。相談機関やスクールソーシャルワーカーからの依頼を受け保護者の同意のもと、週1回程度自宅を訪問し勉強を行う仕組みを築きます。また、訪問を継続し関係性を築くなかで、訪問から教室(寺子屋)での学習に移行したいと希望する子どもがでてくれば、移行もサポートすることにも取り組みます。

    もう一つは、学習支援ボランティアの数、質を高めるための研修プログラムの実施です。当法人が運営している学習支援サポートセンターとして、学習支援ボランティアスタッフ養成研修を構築していきます。従来の学習支援スタッフ/ボランティア研修から研修内の幅を広げ、学習支援スキルだけでなく相談スキルや県内の子ども支援に関わるソーシャルキャピタルについても学び、子どもたちの課題により対応していける人材を増やしていくことを目指します。研修修了者には「修了証」も発行し、現場につなげるとともに人材バンクとして数を増やしていきます。

助成事業のポイント・抱負

この事業を実現していくためには、職員だけで完結するのではなく、ボランティアの皆さんの力をあわせ、高めていくことが不可欠だと考えています。子どものために自分も何かしたいと考えている人たちにこれまでもたくさん出会ってきました。そうしたみなさんの想いや力を、この訪問型学習支援の実現にいかしていきたいと思います。そのために研修を通じて一緒に学び力を高めていきたいと思います。

また、子どもやその保護者の方へ機会を届けるためには、つながりと関係性が必要です。当法人だけではそのつながりと関係性のなかから活動を展開することは困難ですので、子どもを支援する団体や機関とも連携し、仕組みを整えていきたいと考えています。

加えて、この事業を継続的に発展的に取り組んでいくためには、財源の安定確保も必要になります。本事業へのファンドレイズにも力をいれ、こうした事業の必要性を伝えながら子どもたちの学びと成長を支えていただける協力の輪を広げていきます。





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