助成団体紹介
2019活動報告|子どもの意見を大切にした拠点づくり
特定非営利活動法人アスイク
報告者:ふれあい広場サテライト コーディネーター 伊藤 雄高さん
2019年度事業「居場所のない子どもたちのフリースペースの継続性・支援力を高めるための自治体との協働事業」についてご報告いただきました。
団体紹介 利用者のニーズの実態 子どもたちの過ごし方 スタッフの役割
団体紹介
東日本大震災後、いつ学校が始まるか分からない中、避難所での生活を余儀なくされた子どもたちへ、学習サポート活動を始めたのをきっかけに立ち上がった団体です。活動の中から見えてきた、「子どもの貧困問題」をテーマにして、「困難を抱えた子どもたちが、多様な関係の中ではぐくまれ、見守られる社会」をビジョンに、貧困の連鎖を断ち切るために活動をしています。
宮城県や仙台市などの自治体と協力しての、学習支援事業や、こども食堂、フリースクール(現ふれあい広場サテライト)などを行っています。また、2019年度からは、これまでより若年層からの支援のために保育園を開園、2020年度からは0歳から18歳まで長期的に関わることができる児童館を開館しました。
いずれの事業も地域と協力し、ボランティアさんにも携わってもらいながら運営をしています。
企業、ボランティア、行政などとのネットワークを活かし、子どもたちがさまざまな人と触れ合い、多様な人生観を育んでいける環境をつくることを心がけています。
利用者のニーズの実態
様々な要因から不登校となっている子どもたちが利用しています。仙台市には行政運営の適応指導教室の他様々なフリースクールがあり、ふれあい広場サテライトに繋がってくる子どもたちは、学校での集団活動や、何かをさせられることに疲弊している子どもたちが多く、自分のペースでゆっくり過ごしたいという希望を持っている子ども、親が多いと認識しています。
そのため、ふれあい広場サテライトではタイムテーブル等は設けておらず、利用者がその日の活動内容を自分で決められるようにしています。
子どもたちの過ごし方
ふれあい広場サテライトでは各拠点に任天堂switchを準備しており、男子利用者が主にゲームをして過ごすことが多いです。11歳から18歳までの異年齢の子どもたちが自分たちでルールを決めたり、人数が多いときに譲り合ったりなど、ゲームを通して社会性を身に付けている場面は多々見られるます。
一方、女子利用者はおしゃべりをしたり、好きなアイドルのダンス動画を見るなどして過ごしています。ダンス動画を見ながら実際にダンスを練習し、イベントで披露するなど、本人たちの自己表現の場であったり、成功体験を積むことで自己肯定感が向上したりするきっかけとなっています。
スタッフの役割
スタッフ一人一人が居場所のオーナーとして子どもと関わり、多様な大人の在り方を示すことで、多様な子どもたちの受け皿となるよう心がけています。また、スタッフそれぞれがロールモデルとなることで、正解は一つだけではないことを知り、自分なりの正解を見つけ出すきっかけにしてほしいと思っています。
活動中に大人から子どもへ指示を出すことはほとんどなく、子どもの意見を吸い上げることを念頭に子どもと関わっています。ふれあい広場サテライトでの過ごし方のルールなども最低限のものしかなく、何かトラブルが起こった場合は子ども同士の話し合いを促したり、スタッフも一緒にどうのようにすべきかを考えたりしています。
伊藤 雄高さん
ハロウィンの仮装と称し、落書きをされました!
アスイクに入社して2年目です。それまでは、仙台市が運営する適応指導センターに6年間勤務し、不登校の子どもたちと関わってきました。
入社時の健康診断で、非アルコール性の脂肪肝であることが分かり、妻から1日30分のウォーキングを命じられています。ウォーキング後のご飯はとてもおいしいです。坊主頭ですが出家はしていません。
採択団体一覧|2019年度<経済的困難を抱える子どもの学び支援活動助成>