助成団体紹介
事業紹介|病気療養する子どもがいる自宅や病室と学校の教室とをICT 活用によって「確実につなぐ」学びの支援事業
一般社団法人日本育療学会
病気療養する子どもがいる自宅や病室と学校の教室とをICT 活用によって「確実につなぐ」学びの支援事業
【重点実行項目】
① 全国特別支援学校病弱教育校長会等と連携した、病院にある学校のWEB 会議による遠隔授業実施に関するニーズ調査
② 病院にある学校での携帯型モバイルWiFi ルーター等を活用したWEB 会議による遠隔授業の実施(日本育療学会会員である大学教員、小児医療関係者が学びの活動を全面的に支援する)
③ 「病気療養する児童生徒のためのICT 活用による遠隔授業」に関する研修会の実施
1,680千円
【選考にあたっての評価点】
退院後の子どもたちに遠隔授業を実施する試みは先駆的であり、助成終了後も校費で持続可能性が高いモデル
自宅や病室と学校をICTでつなぐ遠隔授業
団体紹介
日本学術会議協力学術研究団体である一般社団法人日本育療学会は、病気や障害のある子どもの現在及び将来にわたって、充実した生活が営まれるようにするために、教育、医療、福祉、家族及び本会の目的に賛同する関係者(病気や障害のある子どもの教育、小児医療、小児看護を専門とする大学教員、小児医療に関わる医師、看護師、メディカルソーシャルワーカー、作業療法士、理学療法士、社会福祉法人職員、福祉行政担当者、学校教員等)が一体となって、子どもの健全育成を図るための研究・研修を推進し、その成果を普及することを目的としている。
目的達成のため、次の事業を行っている。1)研究会・研修会の実施、2)学会誌及び図書等の刊行、 3)関連団体・機関との連携、4)教育、医療、看護、福祉等に関する調査研究・知識の普及、5)その他本会の目的を達成するのに必要な事業。
助成事業の概要
◆課題の背景
病気療養する子どもは、病状や治療等によって、授業時数の制約、学習の空白や遅れ、病気の不安等による学習意欲の低下、身体活動の制限、経験の不足や偏りによる社会性の未熟などの傾向が見られる。そこで、病院にある学校の教員は、医師や看護師等と連携して、病気の子どもが主体的で意欲的に活動できる環境を整備し、達成感、自己効力感をもつことができるよう配慮しながら教育活動を行う。
しかしながら、退院後、感染症予防等のため在宅療養を余儀なくされる子どもは、学校教育の機会を失うことになる現状がある。また、義務教育ではない高等学校段階での入院生徒への教育支援は、教育制度が十分ではなく、入院と同時に学習する機会を失うこととなる。特に小児がん等で入院を経験する高校生のうち36%の生徒が退学しており(文部科学省,2014)、通信制、単位制等の高等学校へ転校する生徒も少なくない。病気療養する子どもを対象とする具体的な学習支援のためのシステムづくりと学びの支援活動は、喫緊の課題である。
病院にある学校では、学校の教室と病室、自宅とをICT 活用によるWEB 会議等によって同時双方向で授業を行う取り組みが行われつつある。しかしながら、多くの自治体において、携帯型モバイルWiFi ルーターは、公費での購入対象物品でなく、購入不可である。そのため、教員個人所有の携帯電話でのテザリング等による同時双方向通信とならざるを得ず、積極的な学び支援活動にはなっていない。結果、学校に通うことができない病気療養する子どもの「学びの機会」が保障されていない状況が続いている。
助成事業のポイント
◆解決の方向性
病気療養する子どもの教育支援、生活支援、小児看護、小児医療等を研究フィールドとする研究者、教員等によって構成している日本育療学会が学びの支援活動の中心となり、全国特別支援学校病弱教育校長会、都道府県教育委員会、市町村教育委員会と連携して、携帯型モバイルWiFi ルーター等のICT を活用した、病院にある学校の教員による入院療養や在宅療養する子どもへの遠隔授業等の教授学習活動等を確実に行い、継続した学びの支援活動にする。
◆期待される効果
入院や在宅療養する子どもを対象として、病院にある学校の教員が、小・中学校、高等学校等と連携し、ICT を活用した遠隔教育による教授学習活動を行うことによって、病気療養する子どもの発達と成長に寄与する新しい学びの支援活動システムを創ることができる。その際、日本育療学会会員である大学教員、小児医療関係者が、積極的に参画することにより、教育や医療の専門性を確保しながら学びの支援を確立することができる。当事業終了後は、使い切り型SIM カードを公費で購入することによって継続して行うことができる。
京都女子大学発達教育学部 教授・京都教育大学大学院連合教職実践研究科 教授
滝川 国芳さん
2019年4月 - 現在 京都教育大学大学院 連合教職実践研究科 教授
2019年4月 - 現在 京都女子大学 発達教育学部教育学科 教授
2013年4月 - 2019年3月 東洋大学 文学部教育学科/大学院文学研究科 教授
2008年4月 - 2013年3月 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 総括研究員
2007年4月 - 2008年3月 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所 主任研究員