公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

【助成先訪問】0歳~102歳を同じ空間でケアし、地域との交流も行われている高松の「おかげ様・お互い様の応援団」

一般社団法人 在宅療養ネットワーク

代表理事 英 早苗さん

病気・障がいを抱える子どもの学び支援

2020年度「重い病気を抱える子どもの学び支援助成」助成先である在宅療養ネットワークの事業所におうかがいしました。介護の現場にお伺いする機会はなかなかありませんので、大変勉強になりました。


在宅療養ネットワーク

地域に根差した介護ステーション 英さんのこだわり① リフト 英さんのこだわり② おふろスペース 高松の就学前の医療ケア児 0~90歳が一緒にいる場 助成事業について

地域に根差した介護ステーション

2014年から始めた事業所ですが、2020年3月に、日本財団の助成を得て新しく建て替わりました。
こちらは介護だけでなく、地域の交流スペースの役割を兼ねています。
近くのお年寄りの健康維持の会、患者の会、地域の伝統工芸を伝承する団体などが自由に使える場所となっています。

元銭湯だった広い敷地  野菜も育てている

英さんのこだわり① リフト

遊びのスペースとたくさんのベッドがあるスペースには、天井からリフトが下がっています。これでどんな場所にも動けます。介護する側、される側、両方とも負担が少なくできています。

事務局スタッフも初リフト

英さんのこだわ② おふろスペース

この中にはお風呂は3つ、子ども用の湯あみスペースを含めれば全部で5つお風呂があります。介護する際にはお風呂が一番難しい部分といわれていますが、工夫を凝らしたつくりのスペースになっているので、ここでお風呂に入れば、家庭での負担が少なくなります。

ベットに居ながら、一方通行で進んでいくことで、トイレ→お風呂→口腔ケアを済ますことができる間取りになっています。一方通行だと、ほかの人と顔を合わせなくてよいという利点があるそうです。

ゆっくり入れる広さ

高松の就学前の医療ケア児

高松には、就学前の医療的ケア児を、母子分離で預かる場所がありませんでした。英さんは、子どもの自立、母子分離を作る必要性を感じていて、2018年5月より就学前の医療的ケア児の預かりを始めました。
保育園の巡回訪問も実現させ、保育園とこちらの事業所のどちらかで過ごすことができるようになりました。
現在は、導尿処置、インシュリン処置が必要な子、気管切開をしている子どもを預かっています。また、現在年長さんの子どもたちが、小学校に入って、学童の形をどうしていくかを検討しているそうです。

子どもの預かりを始めるきっかけとなったゆずちゃんを囲んで英さんと諏訪先生

0~102歳が一緒にいる場

0~102歳まで、同じ場所で生活し、基本自由に行き来しているそうです。こういう年代を超えた施設はほぼないということですが、歩けない子が、おばあちゃんたちに励まされてあるけるようになったり、寝たきりだった人が子どもの動きに刺激され、目があいたりしたといった思わぬ効果があるそうです。

助成事業について

2020年度は、医療的ケアが必要な子どもたちが、その症状を周りのお友達にわかるように説明された紙芝居を作り、絵本作家のかたからお友達の前でお話いただくという、参加型読み聞かせ活動に助成しています。紙芝居は子ども一人ひとりに合わせて作成しています。
本来は、所属している園や学校で行い、その様子をフォトブックにする予定ですが、新型コロナウィルスの影響でまだかなっていません。活動期間を延長していただき、対応いただく予定です。
英さんは、子どもの自立をとても大切にしています。小学校低学年までに、処置なども自分でできることが重要と考えていらっしゃいます。その第1歩として、病気のことを自分で言える、まわりのお友達に伝えられることを目指しています。その補助輪として、紙芝居による参加型読み聞かせ活動に、我々も大変期待しています。

導尿について伝える紙芝居


SNSでこの記事をシェアする

一覧に戻る