公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

活動報告|森のちいさな図書館づくり(災害後の第三の居場所づくり)

特定非営利活動法人 みさと

被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成

「令和2年7月豪雨」で被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成 活動報告

団体名
特定非営利活動法人 みさと
事業名
森のちいさな図書館づくり(災害後の第三の居場所づくり)

支援地域/活動期間 災害時の状況や支援対象者の様子 支援の内容・方法・成果 今後の課題および展望

支援地域/活動期間

熊本県葦北郡芦北町の大野地域/
2020年8月1日から2021年7月11日(災害発生日)の1年をかけて、様々な人たちと図書館を作っていきながら、地域にとってまたは地域の未来にとって必要な場所をつくっていく。出来上がった後は、そこを活用した第三の居場所として活用していく。※本助成の活動期間は、2020年7月~12月

災害時の状況や支援対象者の様子

中学校の閉校や人口減少などに伴う中山間地域における子ども達の教育環境は、様々な公共施設や機会に恵まれる都市部の子ども達との格差は年々大きくなっている。
地域課題に取り組む当法人では、そのような状況や環境を改善し豊かな里山のなかでも、様々な価値観や文化にふれることができ、また困ったときにSOSがだせるような第三の居場所を小さい場所でありますが作るべく少しずつ本を集めるなどしていた。

そんな中、令和2年7月4日九州豪雨災害が発生。これまで溜めてきた本や道具は全て泥水に。
一度は諦めかけようとしたものの、子ども達の第三の居場所となるこの里山での小さな図書館の取り組みを復興のシンボルとして取り組みを行なっていくことが、災害により塞ぎ込むような空気に一筋の希望を与えるものになるのではないかと考えた。

被災直後は道路が遮断され地域が孤立し、また復旧が進んだ今も復旧作業と仕事に追われなかなか家にもいれない状況が続いている。
子どもたちは、そういった我慢や被災による不安などを抱えながら日々を過ごしている状況にある。さらにコロナウイルスの問題も重なり、ますます厳しい状況にある。今回の災害はそれらの状況にさらに拍車をかけている。
そういった時に、拠り所となれるような第3の居場所が暮らしている地域の中にあることは、大きな意味がある。
また、この取り組みに関わる様々なジャンルの大人たちや本を通して、外の世界に触れることもこの取り組みを通して行っていきたい。

支援の内容・方法・成果

◆プロジェクト全体スケジュール
2020年7月 プロジェクト及びプロジェクトチーム立ち上げ
8~11月 視察及び意見交換/アイデア出し
12月~2021年5月 各ワークショップ
壁画ワークショップ/椅子づくりワークショップ/作りたい図書館を描くワークショップ/献本(私の一冊を献本してもらう取り組み)など
6月 お披露目会準備
7月 お披露目会(被災日)
8月 図書館の運営開始予定


視察及び意見交換/アイデア出しオンラインワークショップの様子:アーティストや教育関係者、医療福祉従事者など地域内外様々な方々と共に、地方で図書館を作る事で何が生まれるか、どんな仕掛けがいいか等アイデア出しを行う

出張授業 図書館のワークショップ:画家の大平由香理氏と複数回に渡っての出張授業を教室や図書館現地で実施。アーティストならではの独自の目線からの授業を行っていく

壁画ワークショップ:小学生と大平氏による壁画の題材決めや協同制作を行っていった

家具制作ワークショップ:熊本県立大生との子ども用椅子や自主学習用机の制作を行っていった



本や図書館づくりを通した関係人口の醸成が本事業での1つのねらいでもある。大きく小学生と画家の大平氏による壁画ワークショップでは、授業時間を何度も設けて頂き、どんな図書館になれば嬉しいかや木や動物など壁画の題材を共同で制作していった。

成果として、まずは、活動を通して、歩いていける所に図書館という居場所が新たにでき、またそこにある本を通して、様々な世界や価値観に触れる機会も作ることができた。
そして、活動に共感し寄贈などの連絡も地元の団体や個人様たちから頂くこともできた。
子ども達だけでなく、近所の子育てしているお母さんも来訪されたりと、利用も少しずつ始まっている。
課外授業で関わってきたことで、自分たちの場所という意識も芽生えている様子が見られている。
貸出も順調に進んでおり、これからも色んな本を置いて子ども達の世界観や価値観を育てていければと考える。

取り組みを通し、本格的なアートやアーティストの方などと関わる機会も作ることができたことはとても貴重なものとなった。
関係人口としても小学生や地元の方々など地域内と大学生や画家の方々といった地域外との関係人口の交流と醸成が得られたことも本地域において、とても大きな財産となった。
数字で表しずらい所でもあるが、図書館という場所が地域にできたこと。そして、この取り組みを通して、地域内外や様々な方々と生まれた繋がりは本事業における大きな収穫物だといえる。

全国からも集まった献本:県立大学チームが行った献本事業。購入する本の選定を①アンケート募集、また②本自体を寄贈送付してもらう取り組みを行った。東京や長崎などから届いた。
図書館利用時の子ども達の様子:学校終わり寄ったり、子連れのお母さんが来訪されたりしている。

今後の課題および展望

皆様に、ご支援頂きとても素敵な場を作ることができた。今後はこれをいかにして、意味のある場として、運営をしていくことができるかである。 1つ目は、コロナウイルスが落ち着いてからにはなるものの、隣接するデイサービス利用者の方々や地域住民さん達とが交わる機会を増やしていく。 2つ目は、自主性の成長を促せるよう子ども館長やマイルールなどを、自分たちで考えて行動できるような仕掛けも行って行くこととしている。本についても、良い本があれば都度入れていけるよう、献本など様々な方法をしながら行っていければと考える。

特定非営利活動法人 みさと

一川 清一さん

平成21年 地域活性化を図るためNPO法人設立。理事長となる。

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