助成団体紹介
活動報告|熊本豪雨水害とコロナ禍におけるオンライン学習支援サポート提供事業
NPO法人 いるか
「令和2年7月豪雨」で被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成 活動報告
- 団体名
- NPO法人 いるか
- 事業名
- 熊本豪雨水害とコロナ禍におけるオンライン学習支援サポート提供事業
本事業の目的(支援対象と解決したい課題) 本事業の内容と活動経過 事業の成果 今後の課題および展望
本事業の目的(支援対象と解決したい課題)
令和2年7月豪雨により被災した熊本県において、地元自治体の社会福祉協議会が「災害ボランティアセンター」を申請時点で設置している自治体、すなわち八代市・人吉市・天草市・芦北町・津奈木町・球磨村に居住する子どもたちを対象とした。自宅や学校、通学路、生活圏内の地域が被災し生活に様々な制約が課される中、またコロナの感染拡大に伴い日々の活動も制限されている中で、子どもたちは大きな不安・ストレスを感じることを課題ととらえ、学校や自宅以外の学習を中心とした居場所としての空間、子どもたちが安心して学習に取り組める場所の創出を目的とした。
本事業の内容と活動経過
社会福祉法人熊本県ひとり親家庭福祉協議会てとてとての仲介によって、球磨村教育委員会と具体的な学習支援の方法について協議した。村内の小学校において放課後の時間にオンラインでの講師ボランティアによる学習支援の実施のため詳細を詰めていたが、学校児童のバスによる集団登下校の時間変更により、実施が困難になった。そこで球磨村と同じく被災地域の人吉市に支援対象を変更し、同市教育委員会の協力により市内中心部の商工会議所を会場として学習支援を実施するに至った。教育委員会を通じ市内の小・中学校全校生徒児童に学習支援を周知してもらい、学習支援を実施した。
また天草市の子ども食堂「いこいスペース こあ まるちゃん家」にも学習支援の会場提供を要請し、子ども食堂利用の家庭を中心に周知してもらい、学習支援を実施した。
教室運営に関しては弊団体のオンライン学習支援のスキームを利用し
1.学習時間を家族単位で区切る
2.衛生管理スタッフの常時配置
3.オンラインでの講師ボランティア派遣
以上を行うことにより感染拡大のリスクを避ける環境を構築しつつ、質の高い学習支援を提供した。加えてオンライン環境を運営側で用意することにより、経済的事情や仮設住宅の制約等様々な理由により通信環境のない子どもでも気軽に参加できる環境を整備した。
事業の成果
人吉市では2020年12月20日から2021年3月21日まで、年末年始を除く毎週日曜日に計10回、のべ22人に学習支援を実施した。不登校傾向の子どももおり、参加回数を重ねるにつれ、生き生きと学習に取り組む様子が見られるようになった。
天草市では2021年3月4日から3月18日まで毎週木曜日に計3回、のべ18人に学習支援を実施した。こちらも不登校傾向の子どもがいる他、発達障がいを持った子、家庭が経済的に困窮した状態にある子など、参加者全員が何らかのハンディキャップを抱えた子どもであった。1対1の個別の学習支援によって、子どもたちがそれぞれのペースで学習に向かうことができ、安心感や楽しさを感じながら参加できている様子であった。参加者は基本的に学校の宿題や課題、各自が持つ教材で学習したが、1人の子どもは不登校で学校の宿題もなく自前の教材もない状況だったので、弊法人より教材を提供した。
今後の課題および展望
人吉市・天草市ともに、現在参加中の子どもたちは全て4月以降も継続して参加する予定である。人吉・天草のいずれも今後も事業を継続し、参加する子どもの人数を増やす予定である。また、参加家庭(保護者)との連絡を密にし、ニーズに応えられるよう改善を図る。
運営については、天草では子ども食堂の関係者や地元の方の協力を得て、現地の人々による運営をすでに実施できている。人吉では、現地の人々による運営には至っていないが、これを課題として、早急な解決を図っていく。
オンラインで遠隔地にいる講師ボランティアが、子ども一人ひとりのペースに合わせた支援を行っている。
子ども食堂「まるちゃん家」を利用していた子どもたちへの学習支援を行っている。学習の後は、おにぎりや手作りのお菓子が「まるちゃん家」より子どもたちへふるまわれる。
「まるちゃん家」では限られたスペースの中でも子ども一人ひとりの距離を十分に確保し、参加する時間帯を分散することで、感染防止対策を徹底している。
田口 吾郎 さん
大学時代に地元の市営団地から大学進学者が一人もいないということに疑問を抱く。子どもの貧困連鎖解消のための教育格差の問題は深刻であると考え、無料学習会「マナビバ」を平成25年12月に様々な団体の協力の基、立ち上げを行った。