公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

【助成先訪問】重い病気の子どもの家族を支援する施設「チャイルド・ケモ・ハウス」を訪問しました。

特定非営利活動法人チャイルド・ケモ・ハウス

病気・障がいを抱える子どもの学び支援

「重い病気を抱える子どもの学び支援活動助成」の助成団体である、特定非営利活動法人チャイルド・ケモ・ハウスが協力し(公財)チャイルド・ケモ・サポート基金が運営する、重い病気の子どもの家族を支援する施設「チャイルド・ケモ・ハウス」を訪問しました。

特定非営利活動法人チャイルド・ケモ・ハウス

公益財団法人チャイルドケモサポート基金

「チャイルド・ケモ・ハウス」の助成事業

子どもたちが病気を抱えながらも、自分の想いを大切にし、可能性を必要以上に狭めることなく自分の将来や仕事について考えることができるような機会を提供する「おしごとカフェ」を実施します。小学校高学年から高校生を対象に、様々な職種の方々やボランティア、就労支援の方々と出会い、話したりすることで、将来へ視野が広がることで、病気の子どもと家族の心の支援を目指しています。今年度は感染症流行の状況を鑑み、オンラインで実施します。




施設の様子 付き添い家族の現状 ハウスで七五三

施設の様子

訪問した「チャイルド・ケモ・ハウス」は神戸空港やショッピングセンター、先進的な病院などが立ち並ぶ人口島神戸ポートアイランドの一角にあります。白いおしゃれな平屋の施設はコンドミニアムのように、居住スペースと、共有スペースと事務スペースがあり、病気療養している子どものご家族が長期滞在しています。病児の家族が病院からハウスに帰ってくると、スタッフの方が「おかえり!あ~髪切ったんだね」「今日のビーフシチューは最高だよ。ポテトサラダもあるよ」と声をかけ、家族のような会話が。共同キッチンにはハウスのボランティアさんや、時には患児家族が作り置いてくれた温かい料理や、サッと料理できる食材のストックがあり、部屋にはキッチン、バストイレも完備。とても充実しているホテルのようですが、利用料は1泊1000円。ハウスの前の駐車場には関西だけでなく、全国各地のナンバープレートが付いた車が並んでいます。

とても清潔でリラックスできるプライベート空間。ボランティアさんがお掃除をしてくださいます。
共同キッチンからは今日もいい匂い。左:ご案内してくださった副理事長田村さん

付き添い家族の現状

2013年に完成したこの施設は、当初、入院治療が行える施設を目指してきましたが、近年、全国から小児がんや難病のお子さんたちが近隣の高度医療を受けられる病院に来られようになり、お子さんに付き添われる家族の滞在施設としてのニーズが高まるようになりました。 現在は長く過酷な生活が続く付き添い家族が、チャイルド・ケモ・ハウスで少しでもリラックスして過ごされることでお子さんの前で笑顔になれるようサポートしているそうです。


小児がんなどの病気は、診断が下ったその日から突然長期にわたる闘病生活が始まり、また、住み慣れた家から遠く離れた病院に入院することも珍しくありません。治療を受ける患児本人が大変なことはもちろん、付き添い家族も、自分の着るもの、食事、睡眠もままならず、車の中で寝泊まりする人もいます。また最近はコロナで人との交流も限られ、精神的にも経済的にも大変な負担がかかっているのが現状です。そのような家族の状況をサポートしようと、チャイルド・ケモ・ハウスは、病院のそばに、家族が一時でもほっとできる宿泊施設を低額で提供しているのです。

買い物に行く暇もない家族のために、食材や日用品の無償提供も。
明るくお出迎えくださった(公財)チャイルドケモサポート基金理事長、堀内正美さん。利用者家族お一人お一人にも、明るくフランクに声をかけておられました。

ハウスで七五三

着付けもできるボランティアさんの力をかり、ハウスで七五三のお祝いをしたというエピソードを伺いました。 入院治療をしている3歳の女の子のお母さんは七五三のお祝いは難しいと思っていましたが、お母さんが子どものときに着た着物を着せてあげ、おばあちゃんも呼び、スタッフの方も交え、共有スペースでお祝いしたそうです。同じく着物で七五三をした5歳の男の子のお母さんは「久しぶりにメイクをした!」と、とてもいきいきされていたそうです。 他にも美容師さんを呼んで家族の髪を切ったり、映画に行きたいと言った子には映画に連れて行ったり。病気であっても、できるだけあきらめずに日々を楽しみ、思い出ができることを大切にしているそうです。

温かい雰囲気の共有スペース。きょうだい児もここでリラックスできる。

患児家族に寄り添って、先進的なサポートを物心両面からされているチャイルド・ケモ・ハウスさん。このような素晴らしい施設に出会えたご家族は本当によかったと思う反面、全国には多くの家族が大変な闘病生活を強いられている現状を思うと、私たちにできることを今後も考え行動し続けていかねばと思いました。

特定非営利活動法人 チャイルド・ケモ・ハウス

副理事長

田村亜紀子 さん

大学在学中、阪神・淡路大震災後に発足した外国人地震情報センターにて被災した外国人を支援するボランティア活動に加わる。
2000年 第 1子出産。
2002年 長男が神経芽腫(小児がんの一種)と診断され、1年間の入院付添い生活を送る。
2006年 長男との闘病生活の経験よりNPO法人チャイルド・ケモ・ハウスの発起人メンバーおよび事務局長として活動を開始。
2009年11月 長男が亡くなる(享年8才)。長男の他界後、小児がん治療中でも家族とともに家のように過ごせる施設の設立に奔走。
2013年2月 神戸ポートアイランドに「チャイルド・ケモ・ハウス」完成。現在同法人副理事長として、 小児がんだけでなく地域で暮らす重い病気をもつ子どもと家族の支援にも取り組んでいる。TED神戸(当時 TEDx三宮)に出演。

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