公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

2022年事業紹介|病気のある子どもの創作・表現の機会を提供する「こどもアーティスト」ワークショップ

認定NPO法人 ラ・ファミリエ

病気・障がいを抱える子どもの学び支援

病気のある子どもの創作・表現の機会を提供する「こどもアーティスト」ワークショップ


重点実行項目
テーマ①
プロのアーティストと協働した病棟内でのアート活動

テーマ②
長期療養中の子どもたちのアート活動に関するニーズ調査

テーマ③
病院での展示会と病気のある子どもたちの創作・表現活動に関する理解啓発活動

助成金額
1,265,530円

選考にあたっての評価点
・病気の子どもたちの体験的活動のモデルになる可能性を評価します。
・取り組みの継続性やアンケートと報告会を行ったあとの展開にも期待します。

1)団体の紹介

ラ・ファミリエ は、病気のある子どもとそのご家族を支援する団体です。
活動内容は大きく2つあり、①病気のある子どもとその家族が入院中・外泊時・外来通院時等に利用する滞在施設『ファミリーハウスあい』の運営、②『地域子どものくらし保健室』にて、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業(愛媛県・松山市委託)をはじめ様々な相談の窓口として、愛媛県内の病気のある子どもとその家族対象の相談支援、就職支援、学習支援、相互交流支援、きょうだい支援等を実施しています。


2)今回助成を受ける事業の紹介(課題、実行項目)

新型コロナウイルス感染症により、家族や友人等と会う機会が減少し、孤独感を抱えている病気のある子どもは入院生活や自粛生活では単調な日々のルーティーンの繰り返しで経験不足に陥っていることが少なくありません。そこで、自主学習等で不足しがちな学習、言葉以外の自己表現の経験など、子どもたちの成⾧発達に不可欠な経験の機会として、美術や音楽などの創作・表現活動を病棟内で実施することが必要だと考え、「こどもアーティスト」ワークショップを開催しようと考えました。 2022年度は主に以下の3点に取り組みます。

1.病院3箇所と当法人事務所内にて、プロのアーティストと協働して人形、絵画、陶芸、立体工作などのアート活動を実施します。

2.アート活動に参加した病気のある子どもたち、家族、当法人に登録されている方を対象に、⾧期療養中の子どもたちや病気のある子どもたちへのアート活動に関するニーズ調査を実施します。

3.完成した病気のある子どもたちの創作物を病院等にて展示会を行います。子どもたちだけではなく、医療関係者やその他病院を訪れる人、不特定多数の方々に見てもらうことで、病気のある子どもたちの創作活動や地域での社会生活の周知理解啓発を図ります。


3)事業を実行していく上でのポイント・抱負

アート活動を通して、普段触れない活動に楽しさや面白さを感じたり、言葉以外の自己表現の方法を知ったり、活動に没頭したりすることで、病気のある子どもたちが治療に向かうエネルギーを蓄えることができるような機会を作りたいと考えています。子どもたちだけでなく、協働するアーティストさんも医療関係者もみんなが楽しんで生き生きできるような活動を目指します。

事務所を訪問しました

愛媛県松山市にあるラ・ファミリエさんの事務所をベネッセこども基金事務局がご訪問し、助成事業に限らず、ラ・ファミリエさんが行っている事業全体についてもお話や、助成事業の背景や想い、今抱えている課題などを伺いました。

ラ・ファミリエさんは、小児科医である檜垣理事長をはじめとして、介護福祉士、管理栄養士、社会福祉士、ウェブデザイナー、教員免許状をもつ自立支援員など多彩で専門性の高いメンバーによって、運営されています。そのネットワークを生かし「地域子どものくらし保健室」では様々なご相談に対して自分たちで解決できなくても必ず専門のところにつなぐことを大切にしているそうです。 また、コロナ以前は病児の子どもを連れてキャンプにも行っていて、医療的ケア体制も万全に整えた環境で、親から離れ、普段できない体験ができたとても貴重な機会だったそうです。再開したいと思いつつ、なかなかかなわない日々の中でも子どもたちのかけがえのない時間は過ぎていくので、学習支援に加えて、地元愛媛で活動されているアーティストともに、病気の子どもたちとの表現活動を行うという企画に至ったそうです。

多様な専門性を持ったスタッフのかた、そして地元のアーティストの方が一緒になって、きょうだい含め、病気であってもいろいろなことを体験し、刺激を受け、成長する機会を生み出しているラ・ファミリエさんの活動を、1年間応援させていただきたいと思います。

ラ・ファミリエさんの事務所
左から、西さん、檜垣先生、越智さん キャンプで制作した子どもたちの絵を背景に。
刺し子人形のサンプル。今年子どもたちと一緒に作ります

認定特定非営利活動法人 ラ・ファミリエ

理事長

檜垣 高史 さん

小児科医として病気のある子どもやご家族と関わる中で、子どもたちやご家族には多くのハードルがありそれぞれ個々にあった支援が必要であると感じ、現在の活動につながっている。
愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学講座 教授
特定非営利活動法人ラ・ファミリエ 理事長
愛媛大学 移行期・成人先天性心疾患センター センター長

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