助成団体紹介
2022年事業紹介 多職種連携での支援事例を伝え広めるWEBアウトリーチ事業
認定NPO法人 ポケットサポート
多職種連携での支援事例を伝え広めるWEBアウトリーチ事業
- 重点実行項目
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テーマ①
地域の多職種と連携して取り組む支援事例蓄積 -
テーマ②
支援対象者へのWEBアウトリーチと支援事例の情報発信 - 助成金額
- 1,000,000円
- 選考にあたっての評価点
-
・学校現場と病気の子どもたちの支援現場の状況をよく捉え、アイディアに満ちた新しい取組みとして意義を評価しました。GIGAスクール構想を活用して全国に発信されることを期待します。
1)団体の紹介
私たち認定NPO法人ポケットサポートは岡山市を中心に、小児がんや心疾患などの慢性疾病を抱える子どもたちの支援を行っています。「病気を抱える子どもたちが自分らしく将来に希望を持って暮らせる社会」をビジョンに掲げ、学習支援や復学支援などの「環境を作る」、病気を抱える子どもたちやその家族へのピアサポートや専門家たちとの連携の中で「生きる力を育む」、子どもたちを支える人たちをコーディネートすることや理解者や支援者を増やし、彼らの思いを事業として届けるために「人や気持ちをつなぐ」という3つのミッションで日々活動を行っています。ひとつのNPOだけでは解決できない、個別性の高い子どもたちの要望や課題に対応するため、教育委員会や保健所などの行政、医療機関、学校など様々な機関連携の中で支援を行っています。小児期から慢性疾病を抱えている人たちを中心に団体運営を行っていることも特徴です。
2)今回助成を受ける事業の紹介(課題、実行項目)
<解決すべき課題>
①県内の医療機関や学校など多職種と連携した支援事例の積み上げ
②地域や年齢、病気等の個別性の高い病弱児支援における事例共有や教職員が勉強できる場の不足
③コロナ禍による面会制限により当事者家族と新たにつながる機会の減少
上記①~③の重点課題を解決するために下記の実行項目を進めていきます。
実行項目A:[地域の多職種と連携して取り組む支援事例蓄積]
2021年度の助成事業として実施している地域連携支援から、さらなるセキュリティ向上や個人情報保護を徹底し、個別の相談事例や支援事例を蓄積していきます。また、連携する行政も事例の閲覧や検索が可能になることで医療や教育を横断した実践ノウハウを幅広く伝え広めることができ、これまで以上に多職種が連携して地域で暮らす子どもと家族を支える岡山モデル構築を目指していきます。
実行項目B:[支援対象者へのWEBアウトリーチと支援事例の情報発信]
病気療養中の子どもたちへ幅広く支援を届けるため、「難病子ども」「小児 白血病」「小児がん復学支援」などをGoogle検索した際に、WEBページを検索結果の上位に表示させ、団体とつながるきっかけを作ります。実行項目Aの事業で蓄積された支援事例を、学校現場の先生向けのお役立ち情報としてまとめ、WEBサイトにて公開します。さらに、岡山県内のすべての学校へ、印刷したものを郵送・配布し返信ハガキによる評価や今後の課題等を情報収集していきます。
3)事業を実行していく上でのポイント・抱負
一人ひとりの子どもや家族に寄り添いながら、岡山市保健所や教育委員会、各医療機関と協力して、入院中から退院・復学後まで継続的な支援を展開していきたいと考えています。また、地元の学校と連携しながら入院中の高校生が卒業式にZOOM中継で参加できるようにスタッフを派遣するなど、ICTを活用した支援活動のノウハウや技術力をさらに高めていきます。オンライン授業が普及する一方で不安や悩みを抱える家庭や学校現場・医療機関や教育委員会などの各分野に情報提供を行い、一人でも多くの子どもたちが将来に希望を持って自分らしく暮らせる社会づくりに寄与していきたいと思います。
事務所を訪問しました
岡山県岡山市にあるポケットサポートさんの事務所を訪問し、早速今年度の事業についてご説明を頂きました。
昨年度の活動で、病気の子どもに携わる関係者の勉強会の実施で、県内外の病弱児の多職種連携の体制を作ったポケットサポートさん。今年度は医療・福祉・教育という枠を超え、支援事例を個人情報保護に配慮しながら一元化して関係者と共有することで、担当者の勘と経験に頼っていた支援事例がストックされ、事例を学びあうことが可能になっていることを見せていただきました。また、ストックされた好事例を情報として発信する方法は、ホワイトペーパーマーケティングのビジネス手法を福祉に応用されていて、実行力の高さを実感しました。
毎年、新たな課題に向き合い着実に成果を出し続けているポケットサポートさん。病児の学び支援のトップランナーとして、他地域のモデルとなる岡山モデルが進化することを、今年も応援させていただきます。
三好 祐也 さん
5歳で慢性のネフローゼ症候群を発症。義務教育のほとんどを病院で過ごす
岡山大学経済学部卒業
岡山大学大学院保健学研究科修士課程修了
研究テーマ:病弱教育、院内学級
自身の経験を通じて10年以上にわたり、病弱児の学習・復学などの自立支援と環境理解のための講演活動を行う。講演は学会や大学、小・中学校、福祉関係など多岐にわたっている。