公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

2021活動報告|香川県内におけるがんや難病の子どもとその家族のケアサポート事業

特定非営利活動法人 未来ISSEY

病気・障がいを抱える子どもの学び支援

2021年度の1年間の助成期間を終え、活動の成果をご報告いただきました。事業の詳細などは以下からご覧ください。



2021年事業紹介|香川県内におけるがんや難病の子どもとその家族のケアサポート事業



事業の目的 事業の内容 事業の結果 事業の成果 自己評価 課題および今後の展望

事業の目的

前年度から引き続き、社会から孤立しがちな病弱児やきょうだい児へ香川県内の学生との定期的な交流・学習支援の時間を持つことによって、対象児が楽しい時間を過ごし、治療や学習・生活などに前向きになってほしいと考えた。その為にも学生のスキルアップは必須であり、様々な視点をもつ講師を招いての研修会を実施する。

また、地域の関係各所との連携も必要だと考え、その必要性を認識してもらうために医療・教育関係者等に呼びかけ、有識者を招いてのシンポジウムを開催する。

事業の内容

① グッドブラザー(学生ボランティア)の新規登録、スキルアップ研修会の実施

② 病弱児・療養児・きょうだい児とのオンライン交流・学習支援活動、季節イベントの開催

③ 2021年度香川県小児慢性疾患を抱える子どもと家族のサポートシンポジウム「これから始まる香川の病弱児支援」の開催

事業の結果

① グッドブラザー新規登録、スキルアップ研修会の実施

グッドブラザー新規登録研修会 3回開催
スキルアップ研修会 12回開催
新規参加者:73名(内69名登録)

スキルアップ研修会参加者:計140名参加(内グッドブラザー参加90名)

新規登録研修会の様子
スキルアップ研修会の様子


② 病弱児・療養児・きょうだい児とのオンライン交流・学習支援活動、季節イベントの開催

病弱児・療養児・きょうだい児(バディ)とのオンライン交流・学習支援活動、季節イベントの開催
毎週金曜・土曜約2時間開催(バディのべ146名参加)



③ 2021年度 香川県小児慢性疾患を抱える子どもと家族のサポートシンポジウム「これから始まる香川の病弱児支援」開催

・会場参加者10名(コロナ禍でオンライン参加を呼びかけた為)
・Youtube視聴回数340回
・「大変満足 72%」「満足 24%」と大変満足度の高い内容となった。
【参加者の声】
「病弱児のための関わりは、自分の想像以上にたくさんの手段があることに気づきました。また、よくしよう、知ってもらおうと、こんなにたくさんの大人の方が、日々活動されていることに感動しました。」
「自分も病気だけど、だからこそ病気の子ども達の支援がしたくなった。」
「他県の先生方のお話を伺って、香川県の課題について考えさせられた。」

事業の成果

① グッドブラザーは、約4割が高校生、約5割が大学生という学生ボランティアで構成されている。高校やサークルにグッドブラザー募集の案内を重点的に実施しているため、多くの学生が興味、関心をもってくれて、実際に活動をしてくれている。

② 入院生活の中で学生と触れ合う時間を楽しみに参加してくれた子もおり、祝日等でお休みになると残念がるなど楽しい時間を過ごし、保護者からも信頼を得ることができた。
退院とともに交流は終了したが、「良い時間をありがとうございました。」と保護者から感謝いただけた。
定期オンライン交流には入りにくい子どもたちも、季節イベントは楽しみにしており、参加者が多い。こちらも「楽しい時間やプレゼントをありがとうございます。」「(エールバッグやだははは問題集も含め)いつもありがとうございます。」といった感謝の気持ちを、病棟スタッフを通じていただけた。
また病棟スタッフからも、「子どもたちが楽しみに待っていました。」「笑顔が見られてよかった」「グッドブラザーが、その子に合わせた言葉かけやタイミングで接しているのがすごく良かったです」といった感想をいただいている。


③ 香川県小児慢性疾患を抱える子どもと家族のサポートシンポジウムを開催することにより、多くの方とのつながりが出来た。
講師陣の先生方にはその後の研修会にも講師として参加していただいた。
また、成果物としてシンポジウム報告書を作成した。

シンポジウムの様子
シンポジウムの様子

自己評価

グッドブラザー登録研修会で登録をした学生は多いが、実際に活動をするグッドブラザーは2~3割程度となっており、学生のモチベーションを保つために試行錯誤した1年であった。
イベントを企画し参加して士気の上がった学生も多く、積極的に参加してくれるようになった。しかし、コアメンバー以外はなかなか普段の活動の参加にはつながっていないと感じた。
支援をしていたバディが楽しい時間を過ごし、退院して利用が無くなるというのは喜ばしいことであるが、そればかりではなくその子の楽しみを見いだせずに終了となってしまうケースもあった。イベント参加者は多く、イベント自体の満足度は高いが、そこから普段の支援につながるケースが少ないため、今後の課題としていきたい。

シンポジウムを開催したことにより病院の先生が未来ISSEYとつながることを積極的に勧めてくれるケースもあり、香川県内の小児慢性疾患支援に関する現状や課題を多くの方に周知できたことは、今後の香川県の支援において活かされると考える。

課題および今後の展望

子ども達への支援が喜ばれた反面、そうでなかったこともあり、学生グッドブラザーの意識改革、教育を再考していきたい。
シンポジウムでしっかりと繋がった小児病棟の医師が転勤、師長も移動したこともあり、病院との関係づくりを新たにしていくこととなるが、これまでの実績も踏まえたうえで更に強固にできるようにしていきたい。
また支援をしていた療養児が自分達も支援したいとグッドブラザーの登録をしてくれたこともあり、今後は彼女たちのようなバディとグッドブラザー、未来ISSEYをつないでくれる架け橋のような存在を育てて、支援の幅を広げていきたい。

病気の子どもと家族を孤立させない支援団体NPO未来ISSEY

代表

吉田ゆかりさん

中讃ケーブルビジョン株式会社にてアナウンサーとして勤務ののち、株式会社インペックスの専務取締役として婚礼やイベント司会等で活躍。次男の闘病経験を経て、香川県で同じような状況の子どもや家族の力になりたいと2018年11月に非営利団体NPO未来ISSEYを設立。2020年10月に法人化。自身の経験を活かし、慢性疾患により長期入院や療養をしている子どもたちの学習・学び体験の場を作っていく活動や家族の相談事業に注力している。またその子どもや家族の現状を講演活動や映像制作・上映を通じて広めている。



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