助成団体紹介
【助成先訪問】病気とともにあるこどもとその家族を支える「北海道こどもホスピスプロジェクト」を訪問しました!
北海道こどもホスピスプロジェクト
2022年度「重い病気を抱える子どもの学び支援活動助成」の助成団体である、北海道こどもホスピスプロジェクトを訪問しました。
命を脅かす病気を持つ子どもと家族が地域の中で学びを通して豊かに生きることを支える仕組みづくり
- 重点実行項目
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テーマ①
病気とともにあるこどもがこどもらしく過ごし学べる機会、居場所の創出 -
テーマ②
活動報告会による課題認知拡大と、取り組み成果の発信 - 助成金額
- 1,360,540円
- 選考にあたっての評価点
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・当事者がオシャレを楽しむ講師になるというモデルは、病児の療養期間が伸びつつある中で、自己肯定感向上と病気の受容を生みだす新しいタイプの活動になることを期待します。
1)団体の紹介
「北海道こどもホスピスプロジェクト」は2015年7月に任意団体を立ち上げ2016年1月に札幌で、3月には旭川でシンポジウムを開催したことを発端とし、2017年4月に一般社団法人化し今にいたっている。施設としてのこどもホスピスはまだないものの、Start smallの精神で、定期的に行事を行うなど今我々にできることを丁寧に実践している。
今まで計7回の講演会を開催しこどもホスピスの理解啓発に努め、家族としての時間を大切にしてもらうための定期的なイベント(保護者向けお料理教室&ランチ会、旭山動物園への小旅行、夏祭り、BBQ、カヌー体験、ハロウィンイベント、クリスマス会、リトミック遊びなど)を実施、地域の関係団体との連携をはかることを目的として「あそびかた研究会」を実施しながら、札幌にまずは本拠地を設置すべく活動を続けている。
また、2019年にはNPO法人横浜こどもホスピスプロジェクトとの共催による第2回全国こどもホスピスサミットin北海道開催し4月28日を「日本こどもホスピスの日」、4月28日~5月5日までを「日本こどもホスピスウィーク」とする北海道宣言を出し閉幕した。
そしてNPO法人横浜こどもホスピスプロジェクトとの共催による「こどもホスピス・小児緩和ケア人材育成研修会」札幌および旭川にて開催、NPO法人しぶたねとの共催による「シブリングサポーター研修」を札幌にて開催するなど、他の病気や障がいとともにあるこども、きょうだい、保護者等を支援する団体とのつながりを深めながら活動をすすめている。
2)今回助成を受ける事業の紹介(課題、実行項目)
今回の主な事業としては2つあり、1つはユニバーサル野球大会の開催(札幌、旭川)、2つ目が小児がんの子ども、そのきょうだいを対象としたサマースクールの開催(札幌、旭川)となる。
ユニバーサル野球(https://universalbaseball.world/)は重い障がいとともにあるこども達も参加できる大型野球盤となっており、運動あそびになかなか参加しにくい子どもたちも主体的に関りをもつことができる。障がいの有る無しに関わらず子どもたちが遊びを通して心のバリアフリーを身に着けていくことも目的としている。
また、2つ目のサマースクールに関しては、今までのアンケート等から、退院後の経験できる幅の狭さを指摘する声が多くあったことから、夏休みの自由研究や小児がん経験者の多くが課題を抱える早期老化防止のための運動プログラムや野外体験、企業訪問等を取り入れた2日間にわたる学びの場を提供していきたい。このプログラムには運動部に所属する高校生もボランティアで関わることになっており、高校生にとっての学びの場としても期待される。
3)事業を実行していく上でのポイント・抱負
北海道という土地柄、面積が大変広く全道をカバーするには今回の事業ではいたっていないが、今回は札幌、旭川の2か所にて事業を集中的に展開し、病気や障がいを持つ子どもたち、きょうだいさん、そしてそれにかかわる高校生の生涯学習を実践していきたいと思っている。そして再来年度以降は函館、帯広など道内各都市での事業展開につなげていきたい。
北海道こどもホスピスプロジェクトを訪問しました
北海道札幌市にある北海道こどもホスピスプロジェクトの佐藤貴虎代表と理事の奥田萌さんを訪問し、お二人がこの活動に関わるようになった想いや、助成事業の進め方、現状の課題などについて伺いました。
佐藤代表は、難病とともに生きるこどもの心理社会的支援がご専門で、旭川で幼児教育の教授をされながら公職などにも就かれています。英国で、世界で初めてのこどもホスピス「ヘレンハウス」を見学されて衝撃を受けたことが、現在の活動につながっているとのことでした。
佐藤代表も奥田理事も本業を持ちながらボランティアで現在の活動を続けており、今できることは既存の活動をもっと多くの方に知っていただくこと。そして、病気とともにあるこどもにも、こどもとして必要な学び
(遊びや体験、人とのつながり、共感等)を享受できる機会を増やすことだと考えられていました。また将来的には、活動を通じてより多くの方に認知されることで、寄附や支援者が増え、関連団体との連携がなされ、行政やメディアとの関係性も深めながら、持続可能な活動団体となることを目指されているとのことでした。
ベネッセこども基金としても、命を脅かす病気のこどもと家族が退院後に"楽しみ""悩み相談""まなびの支援"などを受ける場として、こどもホスピスが札幌に設立されるよう応援していきたいと思っています。
佐藤 貴虎 さん
上智大学文学部教育学科卒業
上智大学大学院文学研究科教育学専攻博士前期課程修了
The University of ManchesterにてPh.D.(博士号)取得。
現在旭川大学短期大学部幼児教育学科教授。
難病とともに生きるこどもの心理社会的支援が専門。
公職として旭川市子ども子育て審議会会長、旭川市社会教育委員会、北海道上川圏域障がい者が暮らしやすい地域作り委員、北海道幼児教育相談員エリアスーパーバイザーなど。 メイク・ア・ウィッシュのボランティアなどに参加しながら「一般社団法人北海道こどもホスピスプロジェクト」代表理事を務める。