助成団体紹介
能登演劇堂こころのケアプロジェクト(小学生コミュニケーションワークショップ)
公益財団法人 演劇のまち振興事業団
令和6年能登半島地震で被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成 活動報告
- 団体名
- 代表者名
- 茶谷 義隆
- 事業名
- 能登演劇堂こころのケアプロジェクト(小学生コミュニケーションワークショップ)
支援地域/支援対象者/活動期間 活動地域や支援対象者の状況 支援の内容・方法 成果 考察
支援地域/支援対象者/活動期間
■活動地域
石川県七尾市
■支援対象者
小学生(市内小学校10校のうち、希望校)
■活動期間
2024年5月15日~6月10日
活動地域や支援対象者の状況
■支援時の状況
令和6年能登半島地震の被災を受けた石川県七尾市ほか能登地区は、2カ月過ぎても電気も水道も通っていない地区もあり、避難所生活を送っている人も多い。
今回ワークショップを行う会場となる小学校も避難所となっているところもある。
子供たちは、いろいろ我慢も強いられ、また余震による不安等心が不安定な子供たちが多くケアが必要と思われる。
支援の内容・方法
【対象】
令和6年能登半島地震の被災を受けた石川県能登地区の小学生
【参加校】
市内4校11クラス
・5/15(水)能登島 5年生
・5/20(月)石崎 3年生・4年生・5年生・6年生
・5/29(水)田鶴浜 2年生・3年生
・5/31(金)田鶴浜 1年生・5年生
・6/10(月)小丸山 3年1組・3年2組
【参加延べ人数】
334名(劇団講師、学校教員、財団職員含む)
【場所】
各小学校の教室、ワークルーム等
【実施者】
劇団テンシーズ(金沢市)と財団職員
【支援内容】
コミュニケーションワークショップ
授業の2時限(約90分)を使って、ゲームなどでコミュニケーションをはかり、震災後に委縮してしまった身体や思考、感情をのびやかに働かせ、解放させる活動を行った。
(活動例)
・頭を使った鬼ごっこ(猫役・ネズミ役それぞれがケースに応じて鬼役、逃げ役を交代する)
・同じグループ早集まりゲーム(好きなお寿司のネタ、兄弟の数など声を出し合い同じグループでいち早く集まる)
・グループでジェスチャーゲーム(「梅おにぎり」「回転すし」「美容院」など講師のお題に対しグループで表現する)
■実施頻度、回数
全11回実施(市内4校11クラス)
■告知方法
市内各小学校へ案内文郵送、および校長訪問、聞き取り
成果
(1)発災より思うように動かせていなかった生徒たちの心身の解放
長らく体育館が避難所となっていることや、水のない生活で汗をかく運動を控える場面が続いた生徒たちだったが、身体を活動的かつ創造的に動かし活性化することで、心身を存分解放できていた。
(2)創造的コミュニケーション能力の育成
震災を機に助け合う、分かち合うことの大切さを再認識する中、ワークショップ内でも自発的なコミュニケーションを促し、生徒に自ら進んで考え、自由に表現させることを重視した。
グループワークでも意見を活発に出し合い、生徒同士互いの良さを引き出し合いながら、ワークに取り組む姿が見られた。
「またやりたい」「みんなでやるジェスチャーゲームは難しいけどたのしい」と声があがった。
(3)学校側からのコメント(一部)
「生徒同士で楽しんでいる姿、笑顔に安心した」「心配だった生徒の新たな一面が発見できた」
■参考URL 地元メディア取材
北陸朝日放送 5/18放映
「震災後の児童の心のケアを 能登演劇堂ワークショップ開催」
https://www.youtube.com/watch?v=Z-tTX4366MM
考察
(1)日常的安心感への回帰
震災の影響により非日常が日常化している状態で生徒は我慢を強いられる状況であったが、当たり前に身体を動かし、楽しんでもいいんだ、表現していいんだという機会を設けられたこと自体、活動の意義があったように思う。
(2)心のケアのための早期的、継続的支援
前例の震災記録からも、震災後の心身のケアをライフラインの復旧と同時期にかつ早期的に行えたことは有効であった。
生徒たちの心身が委縮することなく、健やかに育つためにも継続的な支援を行っていきたい。
(3)創造的復興
学校側からワークショップを通し、「控えめな生徒が前に出ていて驚いた」など、演劇のもつ力を認識していただけたことから、被災前よりもよりよくクラスが変わる、生徒が自信を見出す機会づくりを行っていきたい。