助成団体紹介
能登半島地震で広域避難する高校生への学びを通じた居場所づくりプロジェクト
オヤコノトコ
令和6年能登半島地震で被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成 活動報告
- 団体名
- 代表者名
- 佐々木 修吾
- 事業名
- 能登半島地震で広域避難する高校生への学びを通じた居場所づくりプロジェクト
支援地域/支援対象者/活動期間 活動地域や支援対象者の状況 支援の内容・方法 成果 考察
支援地域/支援対象者/活動期間
■活動地域
石川県金沢市
■支援対象者
石川県珠洲市から金沢市に避難してきた高校1年生(2024年1月当時)14名
■活動期間 2024年1月9日~6月30日
活動地域や支援対象者の状況
■支援時の状況
・活動地域(金沢市)については大きな被害はなし。
・活動開始当初は住居が定まらず避難先を転々とする生活を余儀なくされていたり、珠洲に残った家族と連絡が取りにくい状況(片親でかつ震災復旧のための仕事で多忙など)にあるなどあった。
・4月以降は金沢近郊の高校に転校する生徒と飯田高校に戻る生徒とに分かれた。
<金沢近郊の高校に転校した生徒の現状について>
・住居も決まり転校先での学校生活も始まり安定した生活をできている。
・転校先ですでにできている友達同士のグループの輪に入れず友人作りに苦戦している生徒がいる。
・転校したことで扱う教材のレベルが上がり学習面で苦労している生徒がいる。
<飯田高校に戻った生徒の現状について>
・学校生活はほぼ通常通りにおくれている様子。
・通っていた塾が震災で店仕舞いしまい塾に通えなくなってしまった生徒がいる。
・住居に関して避難所から仮設住宅に移ることができるなど生活環境が改善した生徒がでてきている。
支援の内容・方法
【対象者】
飯田高校1年生(2024年1月当時)14名
【期間】
2024年1月9日〜6月30日
【場所】
兼六BASE(1月~2月24日まで)、夜の学び舎ている(2月24日以降)
【支援方法】
珠洲から金沢に避難してきた生徒に対し学習支援を実施。
金沢に避難してきた生徒2名と1月8日に対面。震災のダメージのない地域の高校生に比べて学習面で遅れてしまうことに対し不安を持っていたため、翌日の1月9日から学習支援活動を開始。学習面だけでなく生徒たちの精神面にも考慮しながら居場所づくりを行った。
また単なる居場所ではなく、クラスメイトとのつながりを感じられるような"学校の代替としての居場所"を作ることを意識した。具体的には参加者を生徒の呼びかけで集まった生徒に限定し、1月〜3月については生徒の要望のある限り毎日活動を実施することで「学校の代わりに毎日通える場所」を提供した。
また勉強だけでなく、体育館に行って運動するなどレクリエーション活動も数回実施した。
4月以降は金沢近郊の高校に転校した生徒と飯田高校に戻った生徒に対してオンラインも活用しながら支援を継続した。
【実施者】
現地スタッフ5名で実施。
■実施頻度、回数
1月9日から6月30日までの間で14名の生徒に対して105日間(計328時間)。
1月〜3月の間は曜日に関係なく生徒の要望のある限り毎日実施。
4月以降は学校の日程に合わせて平日1~2日、土日は生徒の要望に応じて実施。
■告知方法
生徒からの呼びかけ
成果
14名の生徒に対して支援を実施することができた。
14名のうち13名は同じクラスの生徒であり、考察にも記載の通り生徒の精神面を考慮し、すでにつながりのある生徒に限定して支援を行った。これにより早期に(開始3日ほどで)学校の延長としての居場所が形成できたように感じている。
また生徒の要望に応じてできる限り毎日活動を実施した。保護者からは「助けて頂き有難うございます」「子供達が一番楽しい時間であることは間違いなし」といった声もいただいた。
活動の途中から飯田高校がオンライン授業を開始したが、当支援場所に集まりオンライン授業に参加することで、オンライン越しで飯田高校のクラスメイトの様子を見聞きしつつ金沢にいるクラスメイトと直接会話しながらオンライン授業をうけるという「飯田高校のサテライト教室」としても機能させることができた。
さらに4月に入り飯田高校に戻った生徒から「オンラインでもよいので学習支援を継続してほしい」という要望があった。要望をもらってすぐにオンラインで学習支援できる環境を準備し、金沢現地での学習支援と並行して飯田高校の生徒にも学習支援を実施した。これは7月現在も継続中である。
考察
学習支援に参加した初日に突然泣き出してしまった子が、その後に来た友人たちの顔を見てみるみる表情が明るくなっていったことがとても印象的であった。
身の回りのあらゆる物事が変化し気持ちが不安定になっている生徒たちにとって、震災前と変わらない「いつも通りの友人とのつながり」を感じられる環境が非常に重要なものであるのだと感じた。ただでさえ気持ちが不安定になっている状態で初対面の生徒や大人が多数出入りする状況は生徒の精神面に良くないと考え、生徒の募集などは行わず生徒の呼びかけで集まった生徒だけに限定して受け入れ、クローズドな居場所づくりを行った。
また学習支援をしているという情報もあまり表には出さず大学生スタッフなど関係する大人の人数も絞り、少数の中でできるだけ早期に少しでも密な関係性を築くことを意識して活動した。
現在も金沢近郊に転校した生徒に関しては現地で、飯田高校に戻った生徒に対してはオンラインで、学習支援を継続している。今後も生徒の要望のある限り活動を継続する予定であり、「震災前と変わらない友人たちとのつながり」を感じられるような居場所・学習の場を1日でも長く継続したいと考えている。