公益財団法人ベネッセこども基金

助成団体紹介

ほっこりアート のとのと

特定非営利活動法人 子ども未来研究所

被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成

令和6年能登半島地震で被災した子どもの学びや育ちの支援活動助成 活動報告

代表者名
柴﨑 嘉壽隆
事業名
ほっこりアート のとのと

支援地域/支援対象者/活動期間 活動地域や支援対象者の状況 支援の内容・方法 成果 考察

支援地域/支援対象者/活動期間

■活動地域
 石川県七尾市

■支援対象者
 上記地域内に所在する避難所・学童等:4件
 ①七尾市文化ホール(旧:七尾サンライフプラザ)(避難所)
 ②能登島 島っ子クラブ(学童)
 ③ひなたぼっこ(フリースクール)
 ④のとじま幼保園(幼保園)

■活動期間
 2024年2月11日~6月30日

活動地域や支援対象者の状況

■支援時の状況
・震災後、七尾市内すべての小、中学校が休校。校内の安全が確保された学校から順次登校が始まり、1月31日までにすべての学校が再開。
・避難所には、建物の崩壊だけではなく、上下水道に被害が出ているという理由で避難されている方も多くいました。
・上記①においては、避難されている中学生の他、親が復旧活動をするために避難所内に臨時で開設された学童に通う子どももいました。「現実逃避したい」という子、「仮設トイレが嫌だ」という子、友だちが市外避難したためさみしいという子などがおり、心のケアの必要性を実感しました。
・上記②においては、学童を運営している方々自身も被災者である上、震災直後から子どもたちの居場所を作ってきたという経緯がありました。子どもの遊びを提供し、心のケアをする外部からの支援者が必要だと実感しました。
・上記③においては、直接的には震災のことを語らないものの、大切なペットの死の話をする子が数名いました。震災により心が繊細に動いている様子でした。
・上記④においては、園庭が被害を受けたために子どもが外で遊べない状況のため、子ども達の心身の発散が必要であるとの当該施設長の話がありました。

支援の内容・方法

(1)被災者へのアートワークセラピーの提供による心理支援

【対象者】
石川県七尾市で避難生活をおくる被災者(子どもを含む)や学童等に通う未就学児~小学生。

【対象施設】
石川件七尾市内に所在する避難所・学童等、計4箇所。また、能登島の復興マルシェに出店(1箇所)。
①七尾サンライフプラザ 7回 ()内対象人数
 2/13(15名)、3/5(15名)、3/22(14名)、4/5(5名)、4/25(10名)、5/23(10名)、6/8(18名)
②能登島 島っ子クラブ 4回
 3/23(18名)、4/3(18名)、4/24(12名)、5/22(16名)
③ひなたぼっこ 4回
 4/4(6名)、4/25(6名)、5/23(6名)、6/13(3名)
④のとじま幼保園 1回
 6/12(11名)
⑤能登島 復興応援まあそい市 出店(売上は能登島地域作り協議会に寄付) 1回
 6/9(26名)

【実施者】現地派遣セラピスト 各回3~4名

■実施頻度、回数
月1~2回イベントを実施。
2024/2/11~6/30の期間で計8回現地にセラピストを派遣。
半年(9月ごろまで)は現地への派遣を継続の予定。

■告知方法
当団体サイト、SNS、避難所での声かけ

七尾サンライフプラザでのアートワークの様子
ひなたぼっこでもアートワークの様子
島っ子クラブ・復興マルシェ・のとじま幼保園でのアートワークの様子

成果

それぞれの場において、アートセラピーに基づいたアートワークを提供しました。
避難所、能登島の学童においては、来た人から自由にアートをするという形式をとりました。
フリースクール、幼保園においては約2時間の枠の中でプログラムを組み、一斉にアートワークを行いました。
具体的には、お花紙、粘土、クレヨン、パステル、綿、布等を用意し、その時々の子どもたちの様子を鑑みながら目的を設定し、画材や素材を選定しました。
子どもたちからは、集中できたのがよかった、他のことを考えなくて済んだ、こういう遊びをしたかった、という声がありました。
また、施設の方からは水が出なかったり、遊ぶ場所が限られているから、我慢していることも多かったけれど、アートセラピーの場で発散することができてよかった、という感想をいただきました。

考察

今回の気づきは、継続した支援となるべく同じ人が現地に出向くことが信頼関係の維持のためには大切だということです。子どもも大人も、まず信頼関係無くして人は辛い体験や不安をダイレクトには話すことはありません。
例えばアート中に、今抱えているあまりにも言葉にならないモノの代わりとして、何年も前に失った大切なペットの話や、過去の別れをふと思い出して話すという事象がみられました。それを受け止め対話することで信頼関係が深まり、ダイレクトではないにしても感覚的な癒やしがそこにはあったように感じます。回を重ねていくことによって、シニアはダイレクトな言葉として出来事を語り、最終的には纏まりのあるアートとなって、生きる意味を語るようになっていきました。また、子ども達は作品の色や形が明るくなり、未来の希望を表すようなアートになっていきました。
今後の展望としては、その地域のリーダーや施設の人との繋がりを持ちながら、被災者の様子を共有し、共にメンタルケアをしていけると良いと思います。また、復興の兆しが見えてきた時に、そのバトンを渡せる現地の人がいると子ども達の心の成長に良いと感じています。

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